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情報の非対称性解消で問われるのは不動産仲介業の本質

売却仲介約50万円 マンションマーケットが目指す嘘のない不動産テック

2016年10月28日 07時00分更新

もっとカジュアルに不動産取引ができる世界を

 個人的に不動産テックでのスタートアップは、日本では既存領域の壁をなかなか突破しづらい印象だった。だがマンションマーケットの場合は、将来的なデータドリブンな不動産取引のあり方を見越しつつ、「マンションの売り主」を明確なターゲットに、業界でその位置を確保しつつある状態だ。売り主側にメリットの大きな情報を提供し続けることは、業界的にビジネスとして不利益になると見られていたため、競争者が少ないうえにターゲットが絞られることでその姿勢もわかりやすい。

 さらに、不動産売却における中間業者として、パーセンテージではない、1件約50万円という手数料も響きやすい。とはいえ完全に自動化しているわけではなく、仲介を実際に行う人の部分を重要視しているため、通常のスタートアップに比べれば高くつく。だが、年内には黒字化できるということで、データ支援や営業販売支援システム構築も含めて、省くべき部分を徹底的に省いているのだろう。

 適切な不動産にまつわるデータを集め処理するテクノロジーはもちろんだが、営業マン自身もユーザー側に立場を置いた対応を目指していること自体が、業界的には将来的な価値創造につながってくる。

 スケールの面では、マンションの売り買いがウェブを介した電子相場ほどでなくともある程度自由になるときがやってくれば、同社の真の価値が見えると考えられる。


 マンションマーケットが今後目指すのは、仲介事業での取り扱い地域の拡大だ。先んじて相場情報自体は、10月の段階で全国に拡大済みだ。「コンサルタントによる高いレベルでのサポートが不可欠になるため、すぐに取り扱い地域を拡大することはできない。情報提供での認知が上がっていくことで、仲介事業についてもエリア拡大を実現できると考えている」(吉田氏)

 エリア拡大の一方で、人口減少が進む日本では、特に東京五輪を境に不動産は余る傾向にある声が大きい。果たして、不動産取引事業の未来は明るいのだろうか。

 「確かに、2020年を過ぎると日本の不動産は余るとも言われているが、売却、購入のいずれにもビジネスチャンスがあると思っている。日本の場合、不動産購入=終の棲家という発想になりがちだが、不動産取引の情報がオープンになり、売却も購入ももっとカジュアルに行うことができるようになれば、ライフステージごとに適した住宅を購入、売却することができるようになるのではないかと思っている」

 宅地建物取引業法で物件が400万円を超える場合は、3%までが上限と決まっている不動産売買の法定仲介手数料についても、吉田氏は自由化することが望ましいと考えている。

 「東京の物件の場合、1億円の物件で3%の手数料は十分にビジネスになるが、地方の場合、高額の案件はほとんどない。1000万円以下の物件となると3%の手数料では額が低くなるため、業者側も扱いたがらない。だが手数料が自由化されることで、少額案件でも取引が活発になる可能性がある」

 不動産テックもFintech同様、大事なのは法律だ。現在は法規制もあり、すべて自由に変革していくわけではないが、不動産取引にも変化が起こる兆しもあると吉田氏は語る。マンションマーケットのビジネスは、変化を見越した先にある。

●株式会社マンションマーケット
2014年5月8日設立。日本全国のマンションの相場情報を提供サービス「マンションマーケット」と、東京23区のマンションの売却仲介サービス「スマート仲介」を手がける。
直近では2016年3月、インキュベイトファンド、インベスターズクラウド、みずほキャピタルほかから、シリーズBラウンドで約2億円を調達済み。
社員数は2016年10月時点で15名。今後の展開にあたって、不動産仲介営業スタッフ、エンジニア、デザイナーを集めている。

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