仕事で海外行って英語が想像以上に話せないことに気づいたときの絶望感は異常だ。挨拶はよくても細かい趣味や仕事の話をされるとダメ、死ぬ。誰とも目を合わせずiPhoneを見て「消えたい」と連ツイしつづけることになる。消えたい。
消えないためには勉強しなければならない。社会人が勉強するなら英語学習サービスが効率的だ。アスキースタートアップは2016年4月25日に学習テクノロジーEdtechにかんするセミナーを開いて最先端の英語学習サービス3種類を紹介した。
登壇した企業は“レアジョブ”のプロダクト企画部齋藤俊仁部長、“ENGLISH COMPANY”を展開する恵学社岡健作代表取締役、“POLYGLOTS”の山口隼也Founder & CEO。わたしを片言しどろもどろ地獄から救いだしてくれる蜘蛛の糸を誰が垂らしているのか。
TOEIC400点アップも狙える英語サービス
まずレアジョブはオンライン英会話サービス業界No.1。フィリピン人講師のマンツーマンレッスンが1レッスン129円から受けられる。安い。
講師はフィリピン現地で厳しい面接をしていて採用率わずか1%とそういう意味でもレアジョブ。利用者は男性6割女性4割。フィリピン人講師と1回10分ほど気軽に会話できるLINEのようなアプリ『Chatty』もリリースしている。
最近では短期集中の成果コミットサービス“レアジョブ本気塾”も開校している。オフラインとオンラインを混ぜたブレンデッドラーニングというらしい。
英語のパーソナルジム“ENGLISH COMPANY“は「あなたの英語力を90日で劇的に変えるパーソナルジム」を売り文句とした、結果にコミットする英語塾。特訓でTOEICの得点を上げる。
そもそもストレス要因である勉強が習慣になるわけがない(そうだな)という前提のもと3ヵ月の集中トレーニングをする。立命館大学教授監修による第2言語習得研究の知見をもとにしたレッスンで短期で爆発的な成果を出すのが目標。
新卒1年目の社員がTOEIC455点→855点になるなどめざましい進化を遂げているらしい。この3ヵ月で英語がぺらぺらになるわけではなく、劇的な英語力の伸びを通して「自分は英語ができる」という有能性(ケイパビリティー)を高め、「できる→好き→続く」という状態をつくるのが目標とか。
POLYGLOTSは継続率7割の英語学習アプリ。隙間時間に英文を読んでリーディング学習ができる。わからない単語はタップで意味を表示してくれる。
世界中の英語ニュースから興味・感心がある記事をレコメンドしてくれる。読んだ量や速さは記録する。わからなかった単語はブックマーク保存しておいてあとからテストしたりできる。洋楽の英語歌詞を見ながら勉強したりもできる。
カメラで英語の記事とかをスキャンすると英和辞書がひけて便利。「TOEICのリーディングPart7対策にうってつけ」だそうだ。
インプットとアウトプット、どちらの学習が大事か?
うーんこれはすごいぞ!そしてセミナーは進む。
英語学習でインプット(読む聴く)とアウトプット(書くしゃべる)どっちが大事?という話はそれぞれの立場がわかりやすく、面白かった。
レアジョブは英会話サービスなのでアウトプット派。日本人はきれいに言おうとするのが特徴。出すところが苦手。もっているものを出しきる勇気というか、単語でもいいからやってみることが大事。
ENGLISH COMPANYは第2言語習得研究の観点からインプット派。まず覚えるところからはじめるのを“インプットファースト“というらしい。覚えていない言葉を話すなんて普通にありえないし、TOEICなら800点~900点くらいでないと単語力をもっているうちに入らないという。大量のインプットと少しのアウトプットが大事だという。さすが特訓塾だ。厳しくてすごい。
ちなみに適当なインプットで適当なアウトプットを繰り返して間違った言葉づかいが定着することを“化石化”と呼ぶそうだ。化石化……。
POLYGLOTSはインプット主体のリーディングアプリだがあえてアウトプット派。語学学習は人のマネ(まねび)が大事だから。相手の反応、相槌の打ち方や表現の仕方がインプットになる。人と英語で話して恥をかくことも大事なインプットになるという立場だ。死にたくなりそうだが、練習であらかじめ死にたくなっておけば本番で死にたくなっても大丈夫そうだ。
インプットとアウトプットがこんがらがってきたが、セミナーはどんどん進む。「学習テクノロジーが進化すると勉強しなくてもよくなるんじゃないですか?」と司会のガチ鈴木が言いはじめた。
あれっ司会が暴走しているのかな?と心配になったが結果は面白いことになった。3社がそっくりおなじ答えを返したのだ。その答えとは「たとえテクノロジーで自動翻訳ができるようになったとしても人は学習しつづけるだろう」
そんなバカな!信じられない!
ほんやくコンニャクができても英語塾はつぶれない
なぜ人はサボれるのにサボらないのか?POLYGLOTSさんはこう言う。
トランスレーターの精度が上がるのはたしか。日本語がリアルタイムで翻訳され、デバイスに瞬時に入ってくる時代は来るはず。でも結局のところ人が語学学習をしたいモチベーションはそこだけじゃない。インターネットができるとリアルにコミュニケーションをとる必要はなくなると思われていたが、むしろ現実は逆になった。会って、自分の言葉で表情で理解したい、表現したいという欲求が上がってきた。語学もおなじことが言えるはず。自分の言葉で伝えたい、理解したいという欲求は人間であるかぎり続くはずだ。
たしかになるほど。ENGLISH COMPANYさんはこう言う。
そういう時代は来るんじゃないですかね、普通に。ただ、語学学習をしなくていいと言っても、語学学習をする人がいなくなるわけではない。いまも英語を勉強しなきゃいけない人はそんなに多くない。なくても困ってない人ばっかり。できたら有利なのかなというくらい。できたら有利という状況は変わらないと思う。まあ、海外の通販サイトからモノを買うときなどは楽になるはず。
たしかにネットは便利そうだが。最後にレアジョブさんはこう言う。
夢物語をいえば、頭にチップを埋め込んで英語が話せるようになるような未来がきたらいいなと思う。ただ先の未来なので時代が来るかと思ったら来てほしいが、現実的なところはちがう。いいサービスができて、学習コストが圧倒的に下がる。実質的に英語ができる人が増えていくというのが直近の未来ではないかと。
うーーーんたしかに。3社とも英語学習サービスの会社だから学習意欲がゼロになったら困るよという話でもあると思うが、納得した。「なぜほんやくコンニャクができても英語塾はつぶれないのか?」という話で得心がいった。
そんなわけで3社をふくめて教育テクノロジーがすごいサービスはいろいろある。これだけあるのだから学習効率は昔に比べて進歩しているはずだ。
わたしはとりあえずアカウントを放置しているレアジョブ英会話を再開しよう。その前に単語帳アプリ『Mikan』を再開してTOEIC単語くらいは終わらせよう。せっかくすごいサービスがあってもこっちが一歩をふみだせなければ何も変わらないのだ。まずは1週間だ。うりゃあーーーーー。
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