PCゲームのダウンロード販売サイト『Steam』から、面白いゲームを発掘して紹介するレビュー連載。第25回は、小さな箱の世界に街を縦に積んでつくり上げる街づくりシミュレーション『Block'hood』を紹介する。
街づくりゲームと言えばだだっ広い空間のあまり邪魔にならなさそうなところに発電所を建て、そこからちまちまと拡張していって気付けばデデーンとでっかい街になっていた――なんてのが普通だがBlock'hoodはちょっと違う。いや、だいぶ違う。
Block'hoodにはそもそも土地がない。最大でも10×10=100マスの広さしかないため、家やオフィス、工場などを建てているとすぐに土地がいっぱいいっぱいになってしまう。
「じゃあどうすんのか?」→「横がないなら縦に積めばいいじゃない!」というのがこのゲームなのだ。
チュートリアルで基礎を学ぶのは必須
Block'hoodには与えられたミッションをクリアしていく“CHALLENGE(チャレンジ)”と、自由に街をつくる“SANDBOX(サンドボックス)”の2種類のゲームモードがあるのだが、その前にまずは“TUTORIAL(チュートリアル)”からプレイするのをオススメしたい。
というのも、なかなかルールが特殊なのでいきなりサンドボックスに手を出しても「ワケがわからないよ」に陥る可能性が大なのだ。自由に街をつくりたければまずチュートリアル、次にチャレンジをプレイして仕組みを理解しよう。
ただしBlock'hoodはまだアーリーアクセス版であり、まだまだ情報もまとめられていないためその仕組を理解するのも一苦労。そこで筆者が実際に数時間プレイして「たぶんこういうルールだな」と理解したゲームシステムとともにゲームを紹介していきたい。
オブジェクトの建設コストはない
Block'hoodで街をつくる方法はカンタンだ。右下のオブジェクト一覧から、建てたいオブジェクトをフィールドに配置するだけでいい。建設コストといった概念はないため、好きなオブジェクトを好きなだけ建てられる。
そして建てたオブジェクトが邪魔になってきたら、今度はメニューの“DELETE”を選んでから削除したいオブジェクトをクリックするだけでいい。
こちらも撤去コストは存在しない。このゲームではお金(コスト)はゲーム内資源のひとつとして設計されており、資源を生み出さないアクションに対して資源は消費されない仕組みだ。
難しく考えるのも面倒なので、要するに建て放題壊し放題と考えてくれればそれで良い。
資源はオブジェクトから生産される
建設したオブジェクトからはそれぞれが水や電気、新鮮な空気といったさまざまな資源が生産される。井戸からは水が湧き、ソーラーパネルからは電気が作られる。
こうした資源をもとに、労働者や加工品といった新たな資源を作っていくのがBlock'hoodだ。
たとえば労働者、汚れた水、生ごみ、買い物客を生産する小さなアパートを稼働させるには、新鮮な空気、電気、水、環境の資源がそれぞれ必要だ。必要な資源が足りていなければそのオブジェクトは稼働せず、そのうち廃墟となってしまう。
お金も資源のうちのひとつであり、井戸ではなく貯水タンクにすれば生産される水の量が増えるかわりにお金が消費される、といった具合だ。
そしてそのお金はパンやビールなどの加工品を生産し、それを買い物客に売りつけることで生産できる。もちろん買い物客も生産しなければならないため、廃墟だらけの街にしないためにもプレイヤーには厳しい資源管理能力が求められる。
交通は“向き”であり渋滞の概念なし
また、道路事情についてもBlock'hoodは変わっている。このゲームには“渋滞”の概念が存在せず、道路(通路)を隣接させるだけで良い。ただし、建物の向きが関わってくる。建物が道路の方向を正しく向いていないと道路があっても通れないのだ。
こうした「きちんとアクセス経路があるかどうか」はデータ画面からチェックできるため、必要な資源を用意したのに一向に建物が稼働しない、といったときはアクセス経路を疑うことも重要だ。
。一方で木や貯水タンクなど道路がなくても問題ないオブジェクトもあり、そのあたりはプレイしながら覚えていくことになるだろう。
建物の組み合わせで資源生産量が変化
オブジェクトが資源を生産することは上記で説明したが、それ以外に隣接させるオブジェクトによっても資源の生産量が変化する。
たとえば小さなアパートの横に木を植えると、生産される資源量が増える。
逆に隣に工場を建てると資源量が一気に減少する。
こうした組み合わせは、シムシティで表すなら住宅地区の隣に工業地区を設置するようなものだと思えば良い。と言っても、Block'hoodでは公害や病気すら資源のひとつとして考えられているが……。
“高さ”にまつわる制限も
なお、オブジェクトによっては地面にしか設置できないものもある。
ひとつ例を挙げると油田がそれにあたる。さすがに空中から石油を生産することはできないため、油田は必ず地面に設置しなければならない。
。じゃあそれ以外はなんでも良いのかというとそうでもないし、何より無計画に建てていると街の整備が難しくなってくる。
なぜなら、上に何かが建設されているとその真下のオブジェクトは削除できないのである。考えてみれば当たり前の話なのだが、街が大きくなってくるとこれがなかなかに厳しい制限となる。
。上級のオブジェクトを稼働させられるようになったため、不要なオブジェクトを削除したいがそれははるか下層、なんてことになるとどう削除したものか悩まされることになる。
思い通りのラピュタをつくるのは難しい
以上のルールを踏まえたうえで街を作っていくのだが、これが非常に難しい。
最初から大規模な街を作ろうとするとお金が枯渇することが多く、かと言ってあまり費用のかからないオブジェクトばかり手掛けていくとどんどんスペースがなくなっていき、あっという間にごちゃ混ぜ高層タワーができあがってしまう。
高層化するほど街の改造が難しくなるため、あちらを立てれば、もとい建てればこちらが建たず、といった具合だ。
ただし、そのことを差し引いても街づくりゲーとして新しいシステムをプレイするのは楽しいし、まるでパズルゲームを解いているようで面白い。何よりBGMが素晴らしく、いまもBlock'hoodの音楽を聞きながら原稿を書いている始末だ。
思い通りの街をつくるには全てのオブジェクトが消費する資源、生産する資源を頭に叩きこまなければいけないだろうが、そのルールを覚えるまでのプレイも十分に楽しませてくれる。シミュレーションゲーム好きの人はぜひプレイしてみて欲しい。
動作環境を満たすゲーミングPCはこちら!
Block'hoodの推奨動作環境は、旧世代のミドルクラス“GeForce 700シリーズ”以上となっている。ユニットコム『LEVEL∞ (レベル インフィニティ) C-Class | コンパクト・ミニマムモンスター・ゲーミングPC』の場合、最小構成で7万7738円でも、GTX750Tiを搭載している。ゲーミングノートの場合、クアッドコアCPUとGTX960Mを搭載する『Lev-15FH057-i5-LE [Windows 10 Home]』クラスがオススメだ。
『Block'hood』
●Devolver Digital
●980円(2016年3月10日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows、Mac
ジャンル 独立系開発会社、シミュレーション、ストラテジー、早期アクセス
■著者:篠原修司
・Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: KiDD
・Twitter:@digimaga
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