2013年09月30日18時30分

「『今のボカロ界隈は間違ってる』そう思って一度引退したことも……」

よりぬき『MIKU-Pack 03』ボカロPインタビュー Vol.2 カラスヤサボウさん

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この記事は、好評発売中の初音ミクまるごとマガジン『MIKU-Pack music&artworks feat.初音ミク 03』(関連記事)に掲載したインタビュー記事を一部抜粋して再編集したものです。インタビューの全文ならびにカラスヤサボウさんのオリジナル楽曲『ナイトタイムワンダリング』(付録CDに収録)については、MIKU-Pack 03本誌にてお楽しみください。

■ カラスヤサボウさん
よりぬき『MIKU-Pack 03』ボカロPインタビュー
ラムネ(村人P)さんと同い年で親交もあるカラスヤサボウさん(画像はTwitterアイコンより)。名前の由来は日本語らしい響き(茶房)から。鏡音リン・レンを使った疾走感のあるギターロック曲で絶大な支持を集める。ニコ動への初投稿は2010年6月の『wonder wander』。最新CDは、今年4月に“THE VOC@LOID 超 M@STER 24”で頒布した3rdアルバム『文学少女インセイン』。東方Projectの楽曲の“ボーカルアレンジ曲”も投稿している。


リン・レンの魅力は
ギターに負けない強い声


── カラスヤさんは全曲、鏡音リン・レンを使っていますが、リン・レンの魅力って何でしょう?
カラスヤサボウさん ギターの音に負けない強い声ですね。いろいろいじってみたけど、声に一番パワーがあるんです。今回はアペンドで吐息成分が多い“SWEET”と温かい“WARM”を合わせて使ってるんですけど、柔らかめの声にしてもちゃんと芯が通ってくれる。
── ストレートな力強さがロックなイメージに合いますね。
カラスヤ そうなんです。
── 今回の曲のポイントは?
カラスヤ 文化祭がテーマってことで学生時代を思い出して、じゃあ自分が初めて作った曲をアレンジして出そうって。
── いつ作った曲ですか?
カラスヤ 中学2年生、まさに“厨二”のころですね。
── 中2!? 今と作風が違うと思いましたが、そんな裏が。
カラスヤ むしろ最近の作風の方が、意識的に外してます。
── VOCAROCKでちょっと速い曲調が特徴かと……。
カラスヤ 依頼が届いたときはそういう曲調がいいのかなと思ったんですけど、すいません、今回はキラキラした感じにまとめました。
── 引き出しが多い人なんだなって驚きましたよ。
カラスヤ ありがとうございます。歌詞は中2の頃とガラッと変えてますよ。唯一、「明日もし会えたなら何から話そうか 何だっていいんだ」のところだけ、オリジナルのままです。初めてギターで曲を作っていたときに、コードと一緒に浮かんで、ずっと残ってたフレーズなんです。そこが一番リズムにも合っていて、いつかこの歌詞とメロディーで出したいなって。

「その意見は本当に正しい?」
自分で考えてみてほしい


── 意識的に作風を変えてると言っていましたが、その理由は?
カラスヤ いろいろなボカロ曲を聴いてみて、今の子たちが求めている音楽が見えてきたので、あえてやってみようと。それで『ジャバウォッキー・ジャバウォッカ』を作ったら結構みんなが聴いてくれて、「やっぱりこういう流れがあるのかな」と実感しました。
── カラスヤさんのファンは、以前に「引退する」と言ってしなかった話が気になると思いますが。
カラスヤ 『プロパガンダ』のあとですね。あの曲は「みんなが考えるきっかけになればいい」と思って、意識して投稿しました。当時の自分には、ちょっと妙な流れがあるなぁ、というふうに見えたんです。確かにエンターテインメントは消費されることに意味があるのですが、流れに逆らってでも一瞬立ち止まって、「それでいいの?」って疑問を持ってみてほしかった。
── 問題提起だったと。
カラスヤ あの曲は流行を批判しているように見えるんですけど、動画の最後に「その意見は本当に正しいのか自分で考えてくれ」ってメッセージを入れてるんです。音楽って“表現”だけじゃなくて、アイドルや物語などを魅力的に見せる“機能”としての側面もあると思うんです。僕は“表現”の色合いの強い邦楽を聞いていたので、そのころの流行にすごく違和感を感じていました。
── やりきれなかった想いを曲にしたんですね。
カラスヤ 感情の占める部分が大きかったですね。当時、大学の授業で第一次・第二次世界大戦期のヨーロッパ美術を勉強していたことも影響してます。プロパガンダとは宣伝行為という意味で、その曲自体が誘導させる目的のものだから「それに惑わされないでほしい」と思っていました。あの歌詞って、全部を追うと言ってることが自滅してるんです。それが見えたら、みんなの考えも変わるんじゃないかって。
── いろいろな価値観があっていいと思うんですけどね。
カラスヤ そうなんです。その後、すごくいろいろ考えて、誰かが間違っていると思ったことも別の人にとっては大正解で、それを考えたら絶対に正しいものなんてなくて。それなら好きなことを素直にやるのが一番だと思いました。
── 誰しも“厨二”な時期は、自分の好きなもの以外は全否定しがちですよね。
カラスヤ 『プロパガンダ』で自分の思う効果が出なくてボカロもやめようと思ったんですが、やったことにはちゃんと決着をつけるべきだろうと。だからプロパガンダ以降のいろいろ思案していた時期の曲を、いわば“公開黒歴史”のような形でCDにまとめました(笑)。
── 偉い!(笑)
カラスヤ 今回のようなキラキラした曲調が好きって言ってくれる方も多いんです。ちょっと久しぶりにやってみようかと作った曲なので、ぜひ楽しんでください。
(インタビューの全文および本ボカロPさんのオリジナル楽曲は、MIKU-Pack 03本誌でお楽しみください)

このボカロPを知る3曲

■関連サイト
MIKU-Pack公式サイト
週アス×初音ミク Twitter

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