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F2.0のボケ味が語る。都会の隙間で“人知れず”生きる猫たちの奇跡的ショット8選

都会の生活道路を悠々と横切ろうとする猫。たまたま歩いてくるふたりがいたけど、F2.0という明るいレンズを付けていたので、人が大きくぼけて、いい感じの背景になってくれた。2017年10月 富士フイルム X-T2

人が写り込むからこそ見えてくる「猫と街の物語」

 ちょっと反省してるところなのである。先日、知人の猫写真家である柳沢諏訪郎さんの猫写真展「おんなじ街で生きている」を訪れ、あれこれ話をしながら写真を鑑賞させていただいた。この写真展、タイトル通り、人も猫も同じ街で生きているのだよというのがテーマで、街の隙間に生きている猫の写真を集めたものなのだ。

 そして、どの写真にも人が少し写ってる。人がいることで、人と猫が共存している街が浮かび上がってくる。わたしもそういう街の隙間で暮らしている猫が好きなので、今回はそんな写真をセレクトしようと思ったのだ。

 だがしかし、どれも古いものばかり。最近、なるべく人が写り込まないよう、なるべく撮影場所が特定できないよう、気をつけて撮るクセが付いちゃってるのだ。

 もちろん、写り込んでる人が特定できる写真はだめ(猫を撫でてる姿とかは声をかけて許可もらって撮るけど)。街の猫の写真だけど、たまたま人が写り込んでるなあというくらいがいい。できれば、その人が猫に気付いてない、あるいは猫を無視してるとなおいい。

都会の喧騒と、見過ごされる猫たちの絶妙な距離感

 冒頭写真は東京都港区という都会のど真ん中にいた猫。猫好きからすれば、そこに猫がいれば目が行っちゃうのだけど、たいていの人は猫がいても気に留めないのである。

 次は東京都豊島区の駅の近く、多くの人が行き交う場所にいた2匹の猫。でも後ろのベンチに座ってるふたりは猫には目もくれない。そんな1枚だ。

はからずも2匹の猫とふたりの人という対比になった1枚。2匹ともカメラ目線をくれた。2017年11月 富士フイルム X-T2

 次はとある商店街で昔撮った写真。多くの人が行き交うなか、それを気にすることなくくつろいでる猫。この商店街はそんな感じで猫が当たり前のように街に溶け込んでたので好きだったのだけど。

猫がいる商店街を見つけて、当時は何度か通った。昭和っぽい商店街でくつろいでる猫と、猫には目もくれず歩いていくふたり。2012年8月 ソニー NEX-5N

 遠くにちょっとだけ人が写っているのもいい。これは東京のど真ん中、中央区の路地。右奥に人が集まっているのは、超人気店の行列。ランチタイムが過ぎていても待ってる人がいる。でも、誰もその路地に猫がいることに気付いてないのがいい。猫的にもありがたいだろう。

狭い路地と猫。奥には人気店の行列が小さく写ってる。街の裏側に佇む猫だ。2013年11月 オリンパス Styles1

這いつくばって見えてくる「足元と猫目線」の交差点

 猫を撮るときはだいたい這いつくばり……いや、さすがに街中でそれはしないけど、できるだけ猫目線に合わせるべく、しゃがんで低い位置で撮る。すると人の足だけが入ることになる。そういうのも面白い。

 歩いてる人は猫に気づきもしないけど、猫の方はちゃんとチェックしてるのだよという1枚。右から左へ歩いてきた人をチェックしてるハチワレ。

住宅街に猫を見つけてカメラを構えたらたまたま右から人が歩いてきたので撮った1枚。猫の目線がいい。2023年11月 ソニー α7C II

 足だけシリーズ、もうちょっと行きます。次も猫に気付かず(あるいは無視して)通り過ぎる人。後ろに2匹の猫がいるのだけど、フェンスの向こうにいる猫は歩いてる人をちゃんとチェックしてる。

猫が2匹いたので道路の反対側から狙った1枚。駐車場にいる猫が通り過ぎる人をチェックしてる。2012年7月 オリンパス OM-D E-M5

 もう1枚。道路上にいる猫を撮ろうと構えていたら、奥から歩いてくる女性が。猫はどうするかなと思ったら、その女性に近寄っていった。近所の顔見知りだったのか、その猫があまりに人なつこかったのか。そしたらその女性はすっと猫を避けたのだ。その瞬間である。

猫が近づいてきたのに気付いてすっと避けて歩く人。猫がちょっとさびしげ。2022年8月 OMDS OM SYSTEM OM-1

 最後はまた商店街の猫。猫の背中である。猫の後ろ頭をその高さで撮ると、猫目線で街を見てるような感じが出る(よね?)。

 電柱の後ろに隠れてるので、果たして何を見ているのかわからないけど、向こうから来る人はまさか猫が隠れているとは思うまい。

長崎にて。猫の背中越しに街を見る。2018年5月 オリンパス OM-D E-M1 Mark II

 という感じで、街と猫と人でした。

 なお、人をこっそり撮ってるわけじゃなくても、街で低姿勢でカメラを構えてると何かと不審なのは確かなので、そこは気をつけるべし。この人怪しいと思われて通報されることもあるので、その時は素直に猫を撮っていたのであって、決して怪しい撮影をしてたわけじゃありません、と撮った猫写真を見せましょう。

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筆者紹介─荻窪 圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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