非常に珍しい「使いたくない派」だった!
高橋 私はスマホを持たせない派ではないので、息子が小6のときに同級生たちと離れてしまうこともあり、「今のうちにLINEでつながっておけば?」と渡そうとしたのですが、息子は私の仕事内容をわかっていて、しかも著書まで読んでいたので、「(スマホは)怖いし、面倒くさいから要らない」と。
―― まさかの反応!
高橋 私のほうが、「せめてLINEはやりなよ」と勧めるぐらいでした(笑) それからも何度か勧めたのですが、結局学校では使えないので息子は「要らない」と言い続けて、高校に合格した後も「面倒だよ」と言うので、「高校生になったんだから(自分の)スマホぐらいは持ちなよ!」と渡しました。
―― 完全に逆転していますね(笑)
高橋 ですから自分専用のスマホとしては高校デビューになりますが、もちろん家ではすでにさまざまなアプリを触っていましたし、私がペアレンタルコントロールもきちんと設定しましたので、最初は時間制限などを入れ込みつつ、と考えています。
―― それにしても、「スマホ使いたくない派」は珍しいですね。
高橋 低学年の頃からテレビで私のコメントを見ていたりしたので、「(スマホは)怖いモノ」だという刷り込みが……。慌てて「使い方がわかれば大丈夫だから!」と色々教えまして。その甲斐あって、さっそくLINEにハマっているようです。もともとタブレットなどのデジタル機器は使いこなしていたので、すぐに慣れるでしょう。
子どもがYouTubeを見る機器はまさかの……
―― 世の保護者の方々が悩んでいるのは、スマホデビュー後の「使い過ぎ」です。良い対策はありますか?
高橋 それはネット依存の問題と同じです。「私の利用時間は長過ぎる。もっと短くしたほうが自分にメリットがあるし、やりたいこともできるようになる」と本人が思うことで、はじめて第一歩を踏み出すことができます。
―― 本人の自覚ありきなのですね。
高橋 そうですね。中高生時代は反抗期でもあり、今どきはネット検索で抜け道や対策がいくらでもヒットしますから、親のごり押しでは解決しません。ましてや我が家は型落ち端末がいくらでも転がっていましたから、何世代も前のiPhoneでYouTubeを楽しんでいたこともありました。
逆に自覚があるお子さんの場合は、たとえば塾の先生などにパスワードをかけてもらって、自分では絶対にわからない状態を作り出す、といった策を講じていたりもします(笑)
―― ゲームメーカーに取材した際のエピソードを思い出しました。「かつて自社でアップしたYouTube動画がパソコンやスマホではなく、圧倒的にニンテンドー3DSで閲覧されていて驚いた。その後、3DS自体が下火になったのでさすがに今はスマホだろうと思って調べ直したら今度はアプリ(LINE)経由が優勢だった」とか。
高橋 我が家もゲーム機は制限していました。Nintendo Switchの設定は簡単ですし。これまでもトラブルのきっかけを聞くと「ゲーム機のブラウザ経由」だったことがよくあるのです。
最近の小学校低学年はスマホではなく、さまざまな機器やアプリに搭載されている「専用Webブラウザ」を使いこなすので、それらすべてを塞ぐのは至難の業です。高機能なWi-Fiルーターを購入して個別に制御するという方法は考えられますが……。
―― すべてのご家庭でそれができるかと言えば、難しいでしょう。
「子どもは制限解除方法を知っている」と思うべし
高橋 しかも巷に出回っている「裏ワザ」の内容や拡散力を考えると、一方的に管理するのは労力に見合わないと思います。あくまでも本人の自発的なコントロールをオススメします。
―― YouTubeで検索すると、そうした類の動画が山ほどヒットすることに驚きます。アプリやゲーム単位での解除系TIPSも人気のようです。
高橋 子どもたちは各々「自分の機種やアプリ用の解除方法はないかな?」と検索してまわるわけです。動画だけでなく、「知恵袋」的なサービスでも回答されています。
―― YouTuber側もPVアップのためにこぞって「ニーズを満たす」動画投稿に励むわけですから、親御さん個人では太刀打ちできませんよね。
高橋 機能制限は抑止力になりはするものの、子どもはすぐに解除方法が存在することに気づきますし、それが口コミでも広がるわけです。クラスメイトの誰かがたどり着いてしまえば、あっという間にシェアされて、クラスメイト全員が解除方法を知っている状態になります。
―― しかし諦めてノーガードにするわけにもいきませんよね。
高橋 ですから親御さんたちには、「アプリ・ゲーム・SNS、すべて便利ですし面白いです。しかしそれらが無料である理由を考えたことがありますか?」とお話しています。
「本当に無料だったら社員が食べていけませんよね。ですから個人情報を入手してハマらせて課金させる仕組みを世界屈指のプロフェッショナルたちが本気で練り上げています。それが人気のアプリやゲーム、SNSなんです。そんな環境に子どもたちを徒手空拳で向かわせて良いわけがない。コロッと(アプリ側の)言いなりになるに決まってるじゃないですか!」と申し上げています。
たちまち心身に影響して、生活に支障が出て、その果てにやるべきことをやらなくなってしまいます。だから子どものスマホの機能は保護者がコントロールすべきです。そのうえで、たとえば志望校に合格する、部活のレギュラーになる、ドレスを着てピアノの発表会に出るといった、「自分にうれしいことが起きる何か」を子ども本人に見つけてもらう。それではじめてスマホ一辺倒ではなくなるのです。
ちなみに息子は「けん玉」でした。結果、段位を取ったり、大会で優勝したりすることができました。家ではずっと練習していましたね。「自分が認められるもの」なら、勉強じゃなくても良いのです。「自分はがんばればできる」という自尊心にもつながりますから。
―― スマホではなく、けん玉ガチ勢だったのですね! なるほど、スマホよりも優先度が上になる「何か」を見つけることが大切なことがわかります。
高橋 実は、秋あたりに出る本でまさにそういったお話を語っています(笑)
―― では、「乞うご期待!」ということで(笑)
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