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2025年3月のフィッシング詐欺状況は「5年前の1年間分がひと月で降って来た」

詐欺メールが過去最多! 1ヵ月で25万件報告の内訳は1位ニセAmazon、2位は納得の……

2025年04月28日 09時00分更新

2025年3月のフィッシング報告件数(フィッシング対策協議会公式サイトより)

5年前の年間報告件数を上回る数字

 恐れていた展開が……。

 フィッシング対策協議会が発表した2025年3月分の「フィッシング報告状況」によれば、「報告件数」は前月から10万8713件増えて24万9936件に達しました。減少しがちな旧正月からの反動なのか、あっさり過去最多を更新してしまいました。

 2020年全体の報告件数がおよそ22万件でしたから、5年前の年間報告件数を上回るフィッシングメール/SMSがわずかひと月の間に飛び交っていたことになります。凄まじい勢いと言えるでしょう。

 これほどまでに急増した理由として同協議会は、「類似した文面のフィッシングメールが受信者に大量に届き続けていること、迷惑メールフィルター等をすり抜ける量が増えていること」が考えられ、なおかつ、「日本国内のISP、自組織で構築運用しているメールサービスの多くは、このような大量送信への対応が遅れている」ためだとしています。

 なお昨年は、やはり3月に急増してそのまま夏まで右肩上がりで増え続けました。それを考えると、今年は夏まで過去最多を更新し続ける(=上半期のみで100万件を突破)なんてことも……。まずはISPなどの対応に期待したいところです。

証券会社を騙るフィッシング増加! 口座乗っ取りも

 さて、報告の内訳は、Amazonを騙るものが報告件数全体の約22.5%、そしてAppleを騙るものが同じく14.2%を占めました。次いで1万件以上あったANAとVISAを騙る報告をあわせると、4ブランドで全体の約58.2%を占めました。

 Appleが2位につけた理由は、集計期間中にiPhone 16e、iPad Air、そしてMacBook Airが立て続けに発表された影響だと思われます。

 分野別ではEC系約39.6%、クレジット・信販系約27.8%、航空系約6.5%、決済系約5.6%、証券系約4.1%、配送系約2.9%、金融系約2.7%で、件数の急増を受けて全体的に増加傾向だったようです。

 フィッシングメール/SMSの誘導先(偽Webサイト)にあたる「URL件数」は、前月から2万9217件増えて5万1735件でした。ひと月で倍以上増えた計算になります。

 そして悪用された「ブランド件数」は前月から15ブランド減って84件でした。内訳はクレジット・信販系が24ブランド、金融系14ブランド、証券系8ブランド、通信事業者・メールサービス系6ブランド、EC系6ブランドで、特に証券系ブランドを騙ったものが目立ちました(参考1参考2)。

 同時期には証券口座の乗っ取りが多数発生しており、証券各社からの注意喚起メールの文面がそのままフィッシングに流用されるといったケースも確認されています。

 そのほか新生活を始める人たちを狙ったインフラ会社や宅配系を騙るフィッシングも増加しているとのこと。今後は大型連休に伴って航空・鉄道・高速道路関連の組織・団体を騙るフィッシングが増える可能性大です。

2025年3月のフィッシングサイトのURL件数(フィッシング対策協議会公式サイトより)

2025年3月のフィッシングに悪用されたブランド件数(フィッシング対策協議会公式サイトより)

 もしあなたが怪しいメールやSMSを受け取ったら、可能ならばフィッシング対策協議会に報告することをおすすめします。

※これらの数値はあくまでも「報告」件数ですので、実際の動向を完璧に反映しているとは限りません。フィッシング詐欺被害の報道が増加し、その脅威が明らかになればなるほど、同協議会に一報する人も増えていると考えるのが自然です。とは言え、現状の傾向を見るには最も適した数字でしょう。

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