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【写真家レビュー】Pixel 8 Proはカメラとして考えても魅力的なアイテム

個人的に仕事で使いたいのは
全員がいい表情になる新機能「ベストテイク」

 複数人が写る集合写真で、全員がいい表情になるという新機能「ベストテイク」は個人的に仕事で使いたくなる。というか、もしPixel 8/8 Proを買ったら使うかもしれない。複数人をすんなりといい表情で撮れるのは、せいぜい3人まで。4~5人になると誰かがよそ見や瞬きをしてしまい、気をつけて撮る必要がでてくる(鹿野調べ)。枚数を撮ればいいかというと、ずっとよそ見をする人がいて、1枚だけこっちを見ていると思いきや、別の人が瞬きということもある。

 そこで連写で撮った複数枚から、各人のよい表情を拾って1枚にまとめるのが「ベストテイク」だ。この機能はGoogleフォトに保存されている写真であれば、カメラを問わず実行できる。

 そこで以前、息子の保育園で行事の際に撮影した集合写真で試してみた。保育園の決まりで公開はできないのだが、試す素材としてはうってつけだ。実際よそ見や瞬きをしている子に関して、別カットから抽出した顔がいくつも候補で提示された。その中からよい表情を選択すると、瞬きはまったくわからないレベルで修正。よそ見がこちらを向いた顔に修正された子は、さすがに拡大すると不自然な部分もあったが、SNS程度のサイズであれば気付かれないだろう。

というわけで「ベストテイク」とは関係なく、ふつうに「ポートレート」で撮影した写真でご容赦を。いや、この「ポートレート」の処理がPixel 6 Pro、Pixel 7 Pro、そしてPixel 8 Proと代を重ねるごとに巧みになっているのだ

 また僕の守備範囲を外れるため、今回は軽く試した程度でお見せ(というかお聞かせ)できないのだが、動画の音声を認識・処理する「音声消しゴムマジック」もすごかった。動画から複数の音声を認識し、トラックとして表示。それぞれスライダーでボリュームを調整できる。

 たとえば踏切の警報音や電車の走行音、救急車のサイレンなどは「ノイズ」というトラックで表示される。それを最大限までマイナスすると、ほぼわからないレベルまで静かになる。一方で話し声などそれ以外の音声は分離されており、しっかり残すことができた。いわばイヤホンのノイズキャンセリング機能がさらに高度になった感じだ。プロ向けの動画編集ソフトにもやっと搭載されたような機能が、スマホでできてしまうのに驚かされる。

カメラとして考えても8Proは魅力的なアイテム

 なんてことを書いた直後の2023年12月7日、突如グーグルから高性能AIモデル「Gemini」が発表された。同日から英語版ではあるが、Pixel 8 Proではモバイルに特化した「Gemini Nano」を体験できる。その恩恵はさまざまで、カメラ機能だけでも動画の手ブレ低減や高画質化、過去に撮影された写真も含めて人物撮影における明るさの向上に寄与するという。

 あいにくGemini Nanoは試すことができず、それどころかPixel 8 Proで触ったアプリといえば「カメラ」と「フォト」のみ。写真と少しばかり動画を撮っただけだが、カメラとして考えても8Proは魅力的なアイテムだ。僕個人はアップル経済圏にすっかり取り込まれていることもあり、iPhoneから離れられずにいるが、うまく折り合いがつけばGoogle Pixelシリーズを使ってみたいとも思う。まあ息子は大きくなったら確実に欲しがるだろうなぁ(笑)。

 

筆者紹介――鹿野貴司

 1974年東京都生まれ、多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、フリーランスの写真家に。広告や雑誌の撮影を手掛けるかたわら、精力的にドキュメンタリーなどの作品を発表している。

 写真集に『山梨県早川町 日本一小さな町の写真館』(平凡社)など。公益社団法人日本写真家協会会員。

 

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