週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

システムの状態がわかるスマホ大の液晶を搭載しPCIe Gen5 SSDもそのまま使える最高級マザー「Z790 AORUS XTREME X」をレビュー

2023年11月02日 10時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII
提供: 日本ギガバイト

 インテルのCoreプロセッサー(第14世代)の発売に合わせ、各社から新しいZ790チップセット搭載マザーが発売された。Z790チップセットそのものはなにも変わっていないため、新CPUを使うために新しいZ790マザーを買う必要はない。だが、新しいマザーには新しい知見や設計、デザインエッセンスが取りこまれている。出たばかりの“新モノ”をいち早く使いたいという人なら、新Z790マザーに注目だ。

GIGABYTE「Z790 AORUS XTREME X」。実売価格は19万8000円。Core i9-14900KやCore i9-13900KSといったハイエンドCPUをお迎えするに相応しい最高級のマザーといえる

熱を抑え込むという強烈な意思を感じるハイエンドマザー

 ここで紹介するGIGABYTE「Z790 AORUS XTREME X」も、こうした新Z790マザーのうちのひとつ。製品名の「(e)XTREME」が示す通り、GIGABYTEが考える最強マザーを形にした製品である。CPU周辺には巨大ヒートシンク、マザー表面はM.2のヒートシンク、裏にはバックプレートとかなりゴツめの見た目だ。ハイエンドモデルだけあって価格も19万8000円と“かなりいいお値段”になってしまったが、最強でなければ気が済まない人にとっては要チェックの1枚といえる。

 本稿ではZ790 AORUS XTREME Xの見どころを紹介しつつ、本製品最大の売りである冷却力(特にM.2)について検証していこう。

基板表面が露出しているのはCPUとメモリースロット+1本目のx16スロット周辺だけで、残りのスペースはすべてヒートシンクやカバーで覆われている。IOカバーに5インチの液晶(後述)を備えているのも本製品の大きな特徴となる

マザーの裏側はほぼバックプレートで覆われている。CPUに一番近いx16スロットの付近が凹んでいるが、これはバックプレートとスロットを補強するメタルパーツをつなぐためだ

 ハイエンドマザーといえばまずは電源回路のフェーズ数を競う風潮があるが、本製品では合計26フェーズもの強烈な電源回路を採用していることを売りとしている。26フェーズの内訳はCPU用の“VCORE”を24フェーズ(12フェーズを2系統パラレルで持つ)、内蔵GPU用に1フェーズの“VCCGT”、さらにPCI Expressやメモリーコントローラー向けに2フェーズの“VCCAUX”となっている。VCOREフェーズとVCCGTフェーズにはそれぞれ105AのSPS(Smart Power Stage)が使われており、多量の電力を食らうCore i9-14900Kでも安定性と高性能を両立させた運用が可能になる。

 さらにこの電源回路が動作時に発する熱は8mm径のヒートパイプと表面をナノカーボンで覆い、フィンの表面積を“従来品の10倍(同社談)”に増やした「Fins-Arrayヒートシンク」で冷却される。第14世代の“K付きモデル”をフル回転させてもビデオカード級のヒートシンクを付けることで熱を抑え込むという同社の強烈な意思が感じられる。

CPUを囲む長城のようなヒートシンクは全高36mm(図中右手側)。IOシールド側(左手奥側)は上部に液晶パネルがあるため42.5mmとさらに高い

CPUソケット周辺をぐるりと囲む電源回路。図中左のIOシールド側にはUSB 10GbpsのハブやThunderbolt 4、2.5Gbps/10GbpsのLANチップなどがズラリと並んでいる

MOSFETはルネサス「RAA220105」。105A対応品だ

PWMコントローラーはルネサス「RAA229131」が使われていた

EPS12Vコネクター側は全体がプラスチック製のカバーで覆われており、普通のマザーでは露出するCPUファンやEPS12Vコネクターを覆い隠している。PCケース内側に干渉するような場合、このカバーは簡単に外せる

カバーを外した状態

EPS12Vコネクターは金属で補強されている。ケーブルのコンタクトもキツめで大電流を流した時のロスを抑え、発熱しても周囲を覆う金属で放熱を促すという設計だ

CPU温度などをリアルタイムで表示する
液晶をIOシールド上に搭載

 Z790 AORUS XTREME X最大の見どころは、この電源回路のヒートシンクを覆うIOカバーに5インチの液晶「LCD Edge View」を搭載し、システムの情報をリアルタイムで表示するという点にある。下位モデルである「Z790 AORUS XTREME」もこの位置に液晶が配置されているが、最上位モデルのZ790 AORUS XTREME Xはさらに大型の液晶を採用したわけだ。

 この液晶が表示できる情報はCPU温度とVRM温度は常時固定、さらにCPUのクロックやコア電圧、各部ファンの回転数など最大3項目が一定時間で切り替わる。ブート時には今どこを初期化しているのかといったメッセージも出るため、トラブルシュートにも役立つといった塩梅だ。ただこの液晶の表示をカスタマイズする方法が未実装であるため、好きな画像を配置するようなことはできない。画竜点睛を欠くといった感じで非常に残念だ。ここはアップデートに期待したい。

IOカバー上に設置された液晶は、システムが起動するとCPU温度やVRM温度が常時表示されるほか、3つのシステム情報が順繰りに表示される。この3つを好きな項目に絞り込んだり、任意の画像を表示する機能があれば良かったのだが……

マザー通電直後は初期化のプロセスが順繰りに表示される。POSTコードを表示するLEDは別にあるので不要なのだが、こういう機能は見ていて楽しい

POSTコードを表示するLEDはATXメインパワーコネクターを覆うカバーの上にある。隣りに見えるボタンは左からリセット/ 電源/ CMOSクリアーとなる

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう