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AMD、3D V-Cache搭載「Ryzen 9 7945HX3D」を発表!従来品に比べ平均15%のゲーミング性能向上を謳う

2023年07月28日 10時00分更新

 AMDの3D V-Cache技術はCPUコアに直接L3キャッシュのダイを結合させることで、PCゲームのパフォーマンスを飛躍的に向上させる技術だ。Socket AM4時代の「Ryzen 7 5800X3D」から始まり、AM5時代に入ると「Ryzen 9 7950X3D」を筆頭に3モデルを追加。国内未発売モデルを含めると合計5種類の3D V-Cache搭載Ryzenが存在する。

AMDの資料より抜粋。3D V-Cacheモデル搭載Ryzenを時系列にまとめるとこのようになる。一番下の「Ryzen 5 5600X3D」は国内販売予定は(今のところ)ない(AMD談)

 3D V-Cache搭載Ryzenのパフォーマンスは筆者のレビューで検証済みだが、一番のネックはデスクトップ向けしか存在しないということ。ノートPCに3D V-Cache搭載Ryzenが来たらどれだけパフォーマンスが上がるか……という思いが遂に通じたのか、AMDは初のモバイル向け3D V-Cache搭載モデル「Ryzen 9 7945H3XD」を発表した。

 16コア32スレッド、最大クロックは5.4GHz、TDPは55Wよりという純粋にゲーマー向けではなく、ゲームもクリエイティブなアプリも快適に使いたいハイエンド志向の強いCPUとなる。搭載製品は8月下旬より発売される見込みだ。

Ryzen 9 7945HX3Dは、デスクトップ用のRyzen 9 7950X3DのクロックやTDPを絞り、ノートPCの冷却システムに適用させたもの、といえる。TDPは55Wとあるが、設計次第ではもう少し上に引き上げることも可能だ

3D V-Cacheの実装方法はRyzen 7000X3Dシリーズと同じ方式だ。図中にある2基の白いブロックは単なる高さ合わせのダミーで、3D V-Cacheは中央にあるやや盛り上がったブロックである(一番下のベースがCPUダイ)

 3D V-Cacheを持たないRyzen 9 7945HXとゲーミング性能を比較すると、最も性能が出たゲームでフレームレートが53%向上、効果の出なかった1タイトルを含めた11タイトルでは平均15%高速であるとAMDは主張している。さらに3D V-Cacheを利用することで、3D V-Cacheが無い状態よりもワットパフォーマンスも向上するという。

Ryzen 9 7945HXと7945HX3Dを11本のゲームで比較した結果(解像度はフルHD)。11本のゲームでは平均15%程度の性能向上が3D V-Cacheで達成できたと主張する

3D V-Cacheを利用することでワットパフォーマンスも向上する。Ryzen 9 7945HX3Dと7945HX(左端の灰色バー)をそれぞれTDP 40Wと70Wでそれぞれ動作させた場合、TDP 40W環境では7945HX3Dの方が7945HXより23%も高いフレームレートを出せるという(ゲームは「Shadow of the Tomb Raider」)

 Ryzen 9 7945HX3Dにおいても、3D V-Cacheを搭載したコアは2基あるCCDのうち片側だけである。つまり、Ryzen 9 7950X3Dと同様にWindowsがゲームであると判定したゲームであれば、3D V-Cacheを備えたCCD0が優先的に使われ、ゲームでないと判定されれば3D V-Cacheを持たないがクロックの上限が高いCCD1側で処理されるという仕組みになる。

 デスクトップ用のRyzen 9 7950X3Dや7900X3Dは、この仕組みを活かすために若干のコツ(BIOS更新から、WindowsのXbox Game Barのアップデートまで)が必要だったが、Ryzen 9 7945HX3Dはシステム込みで出荷されるため、導入のハードルはより低い。

 ゲームなのにWindowsがゲームと判定できないゲームはパフォーマンスが伸びきらないという設計的な弱点は残るものの、ゲーミングノートPCにおける究極のCPUとして注目すべき存在といえる。ライバルであるインテルのモバイル向け第14世代Core(Meteor Lake)はL4キャッシュ的なシステムを載せるとされており、ゲーミングノートPCの性能競争はさらに面白くなりそうな気配もある。製品の登場が非常に楽しみだ。

Ryzen 9 7945HX3Dを搭載した究極のゲーミングノートPCは8月より順次出荷の見込み。ASUS「ROG Strix SCAR 17 X3D」は8月22日にグローバルで発売の見込みだ(国内販売に関してはまだ知らされていない)

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