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Radeon RX 7600とのコスパ対決はいかに?GeForce RTX 4060レビュー【前編】

2023年06月28日 22時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

TGP 115Wまで回路規模を絞り込む

 RTX 4060の設計における特徴は、先行しているRTX 4060 Ti(8GB)とまったく同一である。即ちメモリーバス幅128bit、かつPCI Express x8接続という足回りが細い一方で、L2キャッシュをAmpere世代よりも多量に搭載することで、メモリーアクセス頻度を抑えてパフォーマンスを確保している。

 SM数はRTX 4060 Ti(8GB)の34基からさらに減り、RTX 4060では24基。ざっと30%減った計算となる。パフォーマンスの要となるL2キャッシュの減りもこれに合わせ25%減(32MBから24MBに減)となった。

 また、TGP(消費電力)は160Wから115Wへ大幅にダウンしており、さらに扱いやすくなっている。補助電源なしで運用できるTGP 75Wまでもう一息といったところではある。

RTX 4060と、その近傍の製品とのスペック比較

「GPU-Z」による情報:テストしたMSI製カードはブーストクロックが定格よりも+30MHz引き上げられている

「GPU-Z」による情報:ファクトリーOCモデルではあるが、Power Limit欄を見るとTGPは115Wに据え置かれている。このカードではPower Limitの上限はこれ以上引き上げることができないようだ

RTX 4060 Tiのブロック図:32bit幅のメモリーコントローラーが4基、合計で128bitバスを備える。これは8GB版も16GB版も共通仕様

RTX 4060のブロック図:メモリーコントローラーやDLSS FGの要となるOptical Flow Acceleratorの存在は変わらないが、1つのクラスター(GPC)内に入っているSM数がRTX 4060 Tiより少ない

最新フルHDゲーミング向けGPU対決

 今回は新旧GeForceの60番台対決ということで、RTX 3060と2060をそれぞれ準備。RTX 3060はVRAM搭載量12GBの初出モデルだが、VRAM消費量の多いゲームでRTX 4060とどういった差がつくかに注目したい。

 さらに、RDNA 3世代のフルHDゲーミング向けGPU「Radeon RX 7600」のリファレンスモデルも準備。PCI Express Gen 4 x8接続、メモリーバス幅128bitでVRAM 8GBと、最新アーキテクチャーを採用したメインストリームGPUの実力差を見るには丁度良い機会といえる。価格はRX 7600が4万3000円程度、RTX 4060が5万3000円程度と考えると、1万円もの差があるが、この価格差をDLSS FGという付加価値が埋めてくれるのかに注目したい。

 以上を踏まえた検証環境は以下の通りとなる。Resizable BARやSecure Boot、コア分離やHDR(Windows HD Color)はすべて有効化している。

検証環境
CPU AMD「Ryzen 7 7800X3D」
(8コア/16スレッド、最大5GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN II 360」
(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASUS「ROG STRIX X670E-F GAMING WIFI」
(AMD X670E、ATX、BIOS 1415)
メモリー G.SKILL「F5-6000J3038F16GX2-TZ5N」
(16GB×2、DDR5-5200動作)
ビデオカード NVIDIA「GeForce RTX 4060 Ti (8GB) Founders Edition」、
MSI「GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC」(GeForce RTX 4060)、
ZOTAC「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」(GeForce RTX 3060 12GB)、
NVIDIA「GeForce RTX 2060 Founders Edition」、
AMD「Radeon RX 7600リファレンスカード」
ストレージ Corsair「Force Series MP600 CSSD-F1000GBMP600」
(1TB M.2 SSD、PCIe 4.0、システムドライブ用)、
Silicon Power「PCIe Gen3x4 P34A80 SP002TBP34A80M28」
(2TB M.2 SSD、PCIe 3.0、データドライブ用)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」
(1000W、80 PLUS PLATINUM)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(22H2)

いきなりRX 7600に敗北を喫する

 まずは「3DMark」のスコアー比べからだ。テストが多いのでラスタライズ系テストとレイトレーシング系テストに分割している。

3DMark:ラスタライズ系テストのスコアー

3DMark:レイトレーシング系テストのスコアー

 Fire Strikeをはじめとするラスタライズ系テストでは、RTX 4060は前世代の60番台を15〜25%上回る一方、上位のRTX 4060 Ti(8GB)に対しては20%程度下の性能を示した。良い塩梅のポジションといえるが、RX 7600との比較では、Fire Strikeで約6%、Fire Strike Ultraで約20%という差をつけられてRTX 4060が敗北。不安の残る検証スタートとなった。

 だが、レイトレーシング系テストでは逆にRTX 4060がRX 7600に対し優位性を発揮。特に負荷の高いSpeed WayではRX 7600よりも30%程度高いスコアーを出した。このあたりはレイトレーシングにいち早く取り組んできたGeForceの強みといえる。

 ここでラトックシステム「RS-WFWATTCH1」を用い、システム全体の消費電力も検証する。アイドル時はシステム起動10分後の安定値、高負荷時は3DMark Time SpyのGraphics Test 2実行中のピーク値を示す。

システム全体の消費電力

 今回テストに投入したGPUのスペックを見ると、RTX 4060 Ti(8GB)/RTX 2060/RX 7600がTGP(あるいはBoard Power) 160Wで横並び。検証では若干RTX 4060 Ti(8GB)が消費電力を伸ばしているものの、この3者の高負荷時の消費電力は割と近い。これに対し、RTX 4060は一段低い225Wで終了している。新しいビデオカードは欲しいが電源ユニットの出力が心配という人には、TGP 115WのRTX 4060はRTX 4060 Ti以上に扱いやすいGPUといえるだろう。

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