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Radeon RX 7600とのコスパ対決はいかに?GeForce RTX 4060レビュー【前編】

2023年06月28日 22時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

ゲーム検証はフルHDのみで比較

 ここから先は実ゲームでの検証となる。いつものように解像度をフルHDから4Kまで舐めるように検証するのではなく、フルHD環境のみの検証とした。主に筆者の置かれている時間的・体力的制約による判断だが、足回りが同じように細いRTX 4060 Ti(8GB)レビューを見れば、どういったテストで音を上げ、どう息切れするのかがおおよそ掴めるだろう。代わりにいつもよりも少しだけゲームの幅を拡げて検証することでご容赦いただきたい。

 また、これ以降の検証はゲーム内ベンチマーク機能の有無に関係なくすべて「FrameView」を用い、ディスプレーに表示されたフレームレートで比較することとした。前述の通り解像度はフルHDとし、一部ゲームを除いてアップスケーラー(DLSS/FSR)を利用した時のフレームレートも検証した。DLSSやFSRの設定はフルHDであることを鑑みすべて“バランス(Balanced)”とする。DLSS FGの利用できるGPUでは、例外なくDLSS FGも併用することとする。

 また、すべてのカードはNVIDIAの電力測定デバイス「PCAT v2」を経由して接続され、ベンチマーク時のカードの実消費電力(TBP)の平均値、さらに平均フレームレートをTBPで除したワットパフォーマンス(Perf/Watt)も同時に取得した。

 まずは久々に「Apes Legends」で試してみよう。画質は最高設定とし、射撃訓練場で一定の行動をした際のフレームレートを計測した。行動の最後にはバンガロールのスモークを目の前に2発撃ち、その煙が晴れるまで待機している。

Apex Legends:1920×1080ドット時のフレームレート

 3DMarkではRX 7600の下というポジションにいたRTX 4060だが、実ゲームになるとRX 7600と同等以上という展開に。平均フレームレートを基準にすると、RTX 4060のほうが5%程度上という結果になった。一方、RTX 4060 Ti(8GB)に対しては16%ほど低いフレームレートを示した。前回のRTX 4060 Ti(8GB)の結果と重ね合わせると(マザーボードは違うが)、RTX 4060はRTX 3060 Tiよりも若干下といったところか。

 では、Apex Legendsで検証している際のTBP(Total Board Power)と、ベンチで得られたフレームレートから算出するワットパフォーマンス(Perf/Watt)の比較もしておこう。

Apex Legends:ベンチマーク中のTBP(左)とワットパフォーマンス(右)

 RTX 4060のワットパフォーマンスは従来のRTX 40シリーズ同様に良い。Ampere/Turing世代のRTX 3060/RTX 2060と比較しても40〜50W低い消費電力で動き、ワットパフォーマンスは2倍近い値が出ている。RX 7600に対するアドバンテージもしっかり出ており、Ada Lovelaceのワットパフォーマンスの高さがここでも証明された。

 続く「Overwatch 2」では、画質“エピック”を選択しレンダースケール100%、フレームレート上限600fps、さらにFSRはオフに設定。マップ“Eichenwalde”におけるBotマッチを観戦中のフレームレートを計測した。

Overwatch 2:1920×1080ドット時のフレームレート

 ここでのRTX 4060とRX 7600の力関係は、3DMarkの結果に近い。RTX 4060のほうが約1万円高いのにRX 7600と同程度。Apex LegendsやOverwatch 2のような“RTXテクノロジーを必要としない”ゲームにおいては、RTX 4060の費用対効果は相当に厳しいと言わざるを得ない。

 こうしたゲーム“だけ”を遊ぶのであれば、値の下がったRTX 3060 Tiあたりで楽しむのが賢い選択だ。RTX 4060 TiからCUDAコア数を削りすぎたとも言える。RTX 4060のTGPを115Wに切り詰めた理由がわかればもう少しポジティブな評価もできたと思うが、それが不明なままではRX 7600に対する1万円差は足枷と言わざるを得ない。

Overwatch 2:ベンチマーク中のTBP(左)とワットパフォーマンス(右)

 ワットパフォーマンスを見ると、RTX 4060はOverwatch 2でも優秀だ。ただ、いくら電気代が上昇している世の中とはいえ、RTXテクノロジーを使わないゲームにおいてワットパフォーマンスだけで一点突破できる魅力はない。

 続く「Call of Duty: Modern Warfare II」では、画質は“極限”、アンチエイリアスは“ウルトラ品質”に設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。このゲームは先の2つに比べてやや重いので、アップスケーラー(DLSS/FSR 2)を有効にした時のフレームレートも計測する。アップスケーラーの設定は前述の通り“バランス”となる。

Call of Duty: Modern Warfare II:1920×1080ドット時のフレームレート

Call of Duty: Modern Warfare II:DLSS/FSR 2“バランス”設定、1920×1080ドット時のフレームレート

 もともとCall of Duty: Modern Warfare IIはRadeonとの相性が良いゲームであるため、RX 7600はRTX 4060を平均フレームレートで大きく上回った。2番目のグラフはDLSSやFSR 2使用時のパフォーマンス比較だが、こちらでもFSR 2を利用したRX 7600のフレームレートがよく伸びている。また、RTX 4060はDLSSによって旧世代GeForceに比べてしっかりフレームレートを伸ばしているようだが、RTX 4060 Ti(8GB)との差は約20%と非常に大きい。前述の通り価格やTGPを下げるために回路規模を削りすぎた感が強い。

Call of Duty: Modern Warfare II:ベンチマーク中のTBP(左)とワットパフォーマンス(右)

Call of Duty: Modern Warfare II:DLSS/FSR 2使用時におけるベンチマーク中のTBP(左)とワットパフォーマンス(右)

 フレームレートではRX 7600に敗北を喫したRTX 4060だが、実消費電力やワットパフォーマンスにおいては負けていない。だが、ゲームにおいてはより良いビジュアル体験、そしてフレームレートが重要であるため、ここだけを見てRTX 4060を評価するのは難しい。

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