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7万円台からの新世代メインストリーム、GeForce RTX 4060 Ti(8GB)レビュー【前編】

2023年05月23日 22時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

RTX 4070 Tiを大胆にテコ入れ

 すでにRTX 4060 Tiのスペックは発表済みだが、簡単に概要を眺めてみよう。RTX 4060 TiのSM数はVRAM構成に関係なく34基。SM数が絞られているハンデを動作クロックで補うように、ベース/ブーストクロックともに上位のRTX 4070よりも高く設定されている。

 今世代の60番台は、メモリーバス幅が128bitと狭いことが最大の特徴(かつマニアにはネックに見える部分)だが、このハンデはAda Lovelace世代のGeForceが備える巨大なL2キャッシュで緩和している。

 高画質〜最高画質設定では、解像度が高くなるほどメモリーバス幅の狭さが強烈なボトルネックになるが、RTX 4060 Tiでは32MBのL2キャッシュを備えることでキャッシュヒット率を上げ、これにより実効メモリー帯域を増やし、処理性能を落とさず処理させることができる。このL2キャッシュをどれだけ増やすかでメモリーバス幅のハンデが出る負荷の高さが決まるが、128bit幅+L2 32MBではフルHD、192bit幅+L2 36MB(RTX 4070)ではWQHD向け、ということだ。

RTX 4060 Ti/ RTX 4060と、その近傍のGPUとのスペック比較

掲載当初、一部スペックを誤って表記していました。訂正してお詫びいたします。(2023年5月24日)

「GPU-Z」による情報。メモリーバス幅128bit、GDDR6 8GBという構成が特徴。この時使用したGPU-ZはまだRTX 4060 Tiに未対応であるため、一部情報に抜けがある

RTX 4070 FEのTGPは定格160W、最大175W(定格の9%増)までブースト可能

 RTX 4060 Tiの強みはTGP(Total Graphics Power)は160W、AGP(NVIDIAが提唱する謎指標:Average Gaming Power)は140Wと低く、RTX 2060相当の消費電力で圧倒的な演算性能(FP32で22.06TFLOPS対6.451TFLOPS)を生み出せる。DLSS FGへの対応やAV1ハードウェアエンコード対応のNVEnc(RTX 4070と同様に1基のみ)搭載など、Ada Lovelace世代のGeForceから実装された付加機能はすべて備わっている。

フルスペックAD106コアのブロック図:NVDecが複数あるのは、プロ向けの「RTX 3000 Mobile Ada Generation」等に使われているコアであることを示している

RTX 4060 Tiのブロック図:フルスペックAD106に比べると若干SMが減り、NVDecも1基に絞られている。メモリーコントローラーは32bit幅が4基、合計128bitとなる

RTX 4060のブロック図:RTX 4060 TiよりもさらにSMが少ない。Optical Flow Acceleratorが搭載されているので、こちらもDLSS FGが利用できる

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