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あなたの家も「駅徒歩1分」 LUUPがまちの常識を変える

2023年05月31日 11時00分更新

最寄り駅が遠く、坂の多い豊洲がLUUPで変わった

── まちの話が出ましたが、東京都内だとどういったところと連携しているんですか。

十河 いろいろな自治体などと連携しながら、まちの方と一緒に取り組みをしています。豊洲スマートシティ推進協議会さんもそうですし、大手町、臨海副都心、お台場、あとは西新宿や横浜みなとみらいなど。まちづくり協議会さんとか、エリアマネジメント団体と一緒にいろんな取り組みをしています。

── 具体的な協業内容は何なんですか?

十河 電動マイクロモビリティのシェアリング事業者なので、まずは二次交通の活性化というところです。まちの移動を便利にするところが命題としてあるのかなと。

── 便利なまちになってもらうための手伝いをすると。その代わり、自治体や企業にはポートを置ける場所を提供してもらうと?

十河 豊洲で言えば、協議会の会員企業が(物件を)持っているケースがほとんどです。そこでポートをご一緒させていただいて運営しているんですね。一方、利便性と表裏一体の安全性というところで言うと、新しい乗り物がまちの中を走りはじめるということで、正しいルールやマナーをしっかり普及させるための取り組みもしています。

── 啓発活動ですか。

十河 豊洲の駅前には広いスペースがありますが、本来走ってはいけないけれど走りたくなってしまうような空き地があるんです。あと歩道の中に自転車道が入っていたり。あとはぐるり公園などもそうですが、本来走ってはいけない場所がたくさんあったりする。それがわかりづらいので、自治体と看板を一緒につくるなどして訴求しています。2022年1月、サービス開始のタイミングでは安全講習会もさせていただきました。

── なるほど〜。

十河 それから、これは豊洲エリアの話ではないんですが、違法駐輪対策をしているケースもちょこちょこありまして。

── どういうことですか?

十河 もともと違法駐輪されている場所は、何もないので停めに来る人が多いんです。

── そこをポートにしちゃうと。

十河 そうです。そもそも駅前に自転車とかで来たい人たちがいるわけで、それならここに自転車やキックボードがあれば使ってくれるだろうと。そこにポートがあれば、自分の自転車は置けなくなりますし。たとえば渋谷駅前の商業施設では違法駐輪がたくさんあったところをポートにしていて。物理的に違法駐輪をするスペースがなくなるのと、充電のタイミングなどで巡回もしているためか、違法駐輪の台数はかなり少なくなりましたね。

── 面白いですねえ。清水建設さんとしてももともと電動マイクロモビリティはやりたいと思っていたわけですか。

 2019年くらいからずっとやりたいと思ってましたね。法律や環境が追いついていなかったので、新事業特例制度が適用されるタイミングでいよいよやりますかと。

清水建設 スマートシティ推進室 豊洲スマートシティ推進部 マネージャー 森哲也氏

── それで認定を受けて始めたのが2022年1月だった。

 そうです。豊洲はちょっと歩けば駅があるという立地じゃないですからね。橋も山登りくらいの感じなんですよね。豊洲から晴海まで行くときは電動アシスト付き自転車でもきつかったりで、個人的には早い段階で電動キックボードが欲しかったですよね。

── 実際やってみて大変だったところはありますか?

 先ほども話がありましたが、豊洲は空き地だらけで、どこでもポートを置けそうじゃないですか。でも、都市計画では公開空地に位置づけられていて置けないんですよ。

※公開空地:高層ビルやマンションの敷地にあって、誰もが自由に出入りできる公共性のある空間のこと。いわゆるオープンスペース。利用方法には様々な制約がある

── 場所があるようでいて、ポートが置けない。特区に盛り込めればよかったのに。

 ドコモさんのようなシェアサイクルは行政による特例で置けるようになっているんですが、キックボードは出たてなのでまだ入ってないんですよね。なので行政の協力を得て、通年置けるポートを確保するのが難しかったと。それが一番の問題でした。

── それは結局どうしたんですか。

 現行条例に基づいて年間のポート設置可能日数を遵守しつつ、需要の多い時期に不便にならないよう設置場所ごとに工夫して対応いただいたようです。

── なるほど……。

 それが一番かな。協議会の方では幹線道路に大きな車が多いので、電動キックボードで車道しか走れないのはちょっと危ないなと思っていて、7月の改正法施行で歩道を走れるようになることには期待しています※。あとは公園ですね。歩道で走れるようになるということは走行の安全性が担保されるということなので。そうすると臨海部や豊洲エリアの移動の自由が理想形に近づくんじゃないかと期待を持っています。

※7月1日施行の改正道路交通法のこと。電動キックボードのうち一定の条件を満たす機種は新たに「特定小型原動機付自転車」と位置づけられ、運転免許なしで運転可能になり、時速6km以下であれば歩道も走行可能となる

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