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災害対策の主体が分散してしまっている問題:

首都直下地震が来たらこれがヤバい。清水建設の社会実験で分かったこと

2023年03月31日 11時00分更新

GoProで撮った被災状況をTeamsで生中継

大村 あとは次世代モビリティの展示ですね。エンビジョンというベンチャー企業がデザインした「Stroke Cargo Trike」という自転車で、ぐるり公園を走ってもらいました。

── これは三輪車なんですか?

大村 そうです。阪神淡路大地震のときに、ママチャリが移動手段や水を運ぶために10万円相当で売られていたことに衝撃を受けた、エンビジョンのデザイナーさんが開発されたものですが、これが60リットルまでお水を運べる自転車なんです。平時は子どもを載せたり、バーベキューセットを運べたりもします。そしてデザイン的にも格好よく、豊洲のライフスタイルにも合うのではないかと思い提案しました。

── ほしいですね。

大村 そうですよね。1台40万円ですが……(笑)。

── ああ〜〜……。

大村 会場では実際にお水を置いて、みなさんに持ってもらって。成人男性だと20リットル、成人女性だと10リットルを両手で持って運ぶのが限界ですが、電動アシスト付きなので60リットルまで安定して運べると。防災拠点にこれが1台あれば、避難物資をピストン輸送することも提案しました。

大村 また、特に国交省が力を入れた取り組みとして、災害があったと想定して国道を走って、道路が通れるかどうかをGoProや携帯で撮影し、ここを災害本部としてMicrosoft Teamsでリアルタイムに映像を中継するといった実験もしました。

── おお〜〜。いいですね。「この橋はもたんだろう」みたいな。

大村 渋滞が起きているとか、道がひびわれているとか確認しました。あと船ですね。最後は災害があって道路がずたずたになったとき、実は海が一番安心なインフラだねと。阪神淡路大震災のときも自衛隊が海から救援物資を運んでいたと聞いております。

── 海から!へえ〜。

大村 ミチノテラスに避難してもらった人が3日後になると備蓄品の食料がつきるので家まで帰ってもらわないといけない。こうした広域避難をまさに船とBRTでやってもらいました。BRTも新橋までは環状2号線と交通量の多い都道なので優先順位を高く道路が通れるようになることを想定し、BRTでピストン輸送すべきなのかを議論すべく、こうした社会実験をしたという形です。

── ぼくの知り合いが『『帝都復興史』を読む』という本を書いたんですよ。十数巻ある『帝都復興史』という復興の記録を読み解く本なんですが、それによれば震災の1ヵ月後くらいにはすごい組織が作られている。しかもメンバーが渋沢栄一とか超スター軍団なんですよ。彼らがものすごいスピードでいろんなことを変えていった。それにもおそらく船の話が出ていたと思います。

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