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【第1回】「少年ジャンプ+」編集長細野修平氏による大学特別講義

「少年ジャンプ+」細野編集長が語るデジタルマンガの現在

『SPY×FAMILY』と『怪獣8号』が2枚看板
『チェンソーマン』第二部も連載中

 続いて、最近のヒット作について。「少年ジャンプ+」の2枚看板と言っても良いのかなと思いますが、『SPY×FAMILY』と『怪獣8号』という作品があります。

 『SPY×FAMILY』はTVアニメも放送されており、累計発行部数2700万部(講演当時)突破しています。過去に「このマンガがすごい!」「次にくるマンガ大賞」で1位を取っていて、名実ともに「少年ジャンプ+」を今支えている、そして「少年ジャンプ+」を有名にしてくれた偉大な作品だなと思っています。

 2019年に始まった作品ですが、正直ここまでヒットすることになるとは私たちも想像していなかった、というところです。

 『怪獣8号』も大人気作品です。こちらも「次にくるマンガ大賞」、そして2020年のコミックス第1巻年間売上ランキングで第1位を獲っています。アニメ化が発表されていまして、期待しており、今まさにすごい人気になっています。

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 さらに、『ダンダダン』は2021年4月にスタートしました。圧倒的な画力で「全国書店員が選んだおすすめコミック」で1位を獲っています。さらに、ヨーロッパでも非常に評価が高く、フランスで出版されている集英社のマンガの、初版コミック部数が過去1番だったこともあります。『ヨーロッパでは絵の上手い作家さんが好まれるのだな』ということをすごく実感しました。

 加えて『タコピーの原罪』。こちらは2021年12月から始まって2022年の3月に終了した短い作品だったのですが、とても話題になりました。最終回間際はTwitterのトレンドをめちゃくちゃ賑わすことになりまして、非常に読者の心を揺さぶる作品になっています。

 なお、タイザン5先生は「週刊少年ジャンプ」で『一ノ瀬家の大罪』という作品を始められており、これも読者の心を揺さぶりそうな作品だなと思っています。

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 そして、なんと言っても藤本タツキ先生は外せません。『チェンソーマン』は第一部が「週刊少年ジャンプ」で連載されたのちTVアニメが放送され、現在第二部が「少年ジャンプ+」で連載中。こちらも人気です。一方、『ルックバック』は2021年の7月に話題になった読切作品です。

 ここ2~3年のマンガ界は藤本先生がシーンを席巻していると言っても過言ではないと思うのですが、藤本先生の連載デビューは「少年ジャンプ+」なんです。

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何を達成すれば「週刊少年ジャンプを超えた」ことになるのか?

細野 次に「少年ジャンプ+」の狙い――どんな目的でやっているのかについて少し深掘りしようと思います。

 「少年ジャンプ+」の目標・コンセプトは、「ジャンプを超える」です。「超える」が何を指しているのかと言えば、2つあると思っています。1つは新しいヒットを作ること。つまり『ONE PIECE』や『鬼滅の刃』を超えるような大ヒット作を作ること。もう1つが、ヒットを作るための「仕組み」を作ることです。

 「週刊少年ジャンプ」がヒットを連発してきた理由は、彼らが持っているアンケートシステムではないかと考えています。

 ジャンプのアンケートと聞くと、『打ち切りを決めるものですよね』みたいなことを思っている人もいるかもしれませんが、私たちとしては「話が面白かったかどうかを作家さんにフィードバックするシステム」だと思っています。作家さんがマンガを面白く改善できる仕組みだと。

 これを「少年ジャンプ+」でも作りたいなと考えています。

ジャンプを超えるとは

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