これまでクルマとスマホは開発スピードの違いが大きすぎた
CESでは数年前から「クルマが主役」と言われてきた。しかし、自動運転など当初期待されていたイノベーションはなかなか起きていない。
かつてクアルコムの関係者がぼやいていたのは、「モバイル業界とモビリティ業界では開発のスピードが違いすぎる」ということだった。スマートフォンは毎年必ずと言っていいほど新製品が登場する。しかしクルマのモデルチェンジは数年に1回という頻度だ。どんなにクアルコムがクルマ向けのハイエンドなチップを作ったとしても、クルマメーカーが採用して実際にクルマに搭載されるのは何年も先ということになっている。
ソニー・ホンダとしては、この「モバイル業界とモビリティ業界の開発スピードの違い」に立ち向かわないといけないことになる。
川西社長は「クルマとITの開発スピードの違いについてはこれまでの基準がどこまで正しいのかを見直す時期に来ている気がする。これまでの習慣的なプロセスがあり、それに従って評価期間を決めてきたところがある。そのためクルマ向けの半導体はどうしても出てくるまでに5年かかる。
しかし、スマートフォンは毎年新製品が出ている。クルマもスマホと同じにするとは言わないが、何かしら一定の評価期間を足せば、もっと加速できるのではないか。ただ、車載用半導体の品質レベルをどこに持っていくかはこれからの課題だし、ある程度収斂されていくともっと早く作れるようになるのではないか。実際中国メーカーはそうしている。ただ、そのやり方が正しいのかということを誰も断言できないのがジレンマでもある」と言う。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう