実ゲームでは効果のある場合も
ここからは実ゲームを利用した検証となる。すべて解像度フルHD、画質設定はプリセットの一番下の設定とし、CPUパワーの差が出やすいよう設定した。ゲーム内ベンチマーク機能の有無に関係なく、フレームレート計測は「FrameView」を使用している。
最初は「Overwatch 2」だ。画質“低”、FSR 1はオフに設定。マップ“Eichenwalde”におけるBotマッチを観戦中のフレームレートを計測した。
平均フレームレートではCore i9-13900KSはわずかにCore i9-13900Kを上回る程度だったが、最低フレームレート(より正確には下位1%のフレームレートの平均値)は約16%伸びている。
「F1 22」では画質“超低”、異方性フィルタリングは16x、アンチエイリアスは“TAA+FidelityFX”に設定。ゲーム内ベンチマーク(条件は“モナコ”+“ウエット”)再生中のフレームレートを計測した。
Overwatch 2ではCore i9-13900KSのクロックが効いたように見えたが、こちらはCore i9-13900KSと13900Kの間に差はみられなかった。Core i9-12900KSに対しては優位性はあるが、これはRaptor Lakeのアーキテクチャーの力によるもので、その点Core i9-13900Kでも同じ恩恵が得られる。ゲームと一口にいっても、効果が得られるもの・得られないものがあるようだ。
「Cyberpunk 2077」では画質“低”、DLSS SRやFSR 1は明示的に無効化。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
こちらもCore i9-13900KSならではの優位性は見いだせない。むしろ微妙にフレームレートが低いまである。描画に使われるCPUパワーが特に大きいゲームではあるが、並列度の高い処理が発生しするため、シングルスレッド重視のCore i9-13900KSのメリットはあまり活かされないということになる。
最後に「Forza Horizon 5」で検証しよう。画質“最低”、MSAAはx2に設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
ここでもCyberpunk 2077と同傾向だ。最近のゲーム処理はCPU処理の並列化が進んでいるため、Core i9-13900KSの強みが活かしづらい。
これら4本のゲームにおいて、各CPUがベンチマーク中にどの程度の電力(CPU Package Power)を使って出したのかを比較してみよう。
Core i9-13900KSの最低フレームレートが突出していたOverwatch 2では、Core i9-13900KSのCPU Package Power(CPUの消費電力)が増えたぶん仕事をしていると評価することができるが、それ以外のゲームではCore i9-13900Kと大差ないフレームレートしか出ないのにCPUの消費電力が増えている。今どきのマルチスレッド化の進んだゲームをプレイするのであれば、Core i9-13900KSのメリットは小さいと言えるのではないだろうか。
4本のベンチマーク中に観測された平均フレームレートを、先のCPUの消費電力で割り10倍したもの、すなわちCPU Package Power 10Wあたりのフレームレートも比べてみよう。
Overwatch 2ではCore i9-13900KSの効果(らしきデータ)が観測されたが、平均フレームレートはCore i9-13900Kと大差無いため、Core i9-13900KSのワットパフォーマンスは激しく悪化している。他の3本のゲームでもCore i9-12900KSを基準にすると13900KSは非常に優秀だが、Core i9-13900Kのほうが安定して高いといえる。
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