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“Ecoモード”でRyzen 5 7600Xをお手軽省電力CPUとして使うなら メモリーはコスパ重視で問題なし!

2023年01月12日 11時00分更新

Ecoモードの動作を確認!消費電力や温度をチェック

 設定は以上で終わりだが、気になるのはその効果。そこで、「CINEBENCH R23」を使い、性能とCPUの温度、そして消費電力などを調べてみた。

 まずは性能からだ。

デフォルトではMulti Coreが15149pts、Single Coreが1968ptsになった

EcoモードではMulti Coreはスコアが下がって14470pts、Single Coreはほぼ同じ1962ptsに

 単純にスコアを比較してみると、デフォルトからEcoへとモードを変更することで、Multi Coreは約4.5%ほどダウンしていた。これに対してSingle Coreは6ptsしか変わらず、誤差の範囲となっていた。

 Ecoモードではマルチスレッド性能こそ抑えられているものの、シングルスレッド性能への影響はほぼない状態だ。

 続いて、気になるCPU温度の変化を見てみよう。

 ここではCINEBENCH R23のMulti Coreテスト中のCPU状態を、「HWiNFO64 Pro」で読み取ることで比較している。

 多くの情報が取得できるが、ここでは「CPUダイ(平均)」(以下、CPU温度)と「CPU PPT」(以下、PPT)に注目してみよう。

デフォルトのCPU温度は最大87.4℃。PPTは最大101.923Wとなっていた

EcoモードのCPU温度は最大80℃。PPTは最大87.973Wとかなり低くなっていた

 どちらも、約10分間のテストが終わる直前の状態での比較だ。CPU温度とPPTのどちらも最大値で比べてみると、Ecoモードにすることで温度は約7.4℃、PPTは約13.95Wほど低下したことになる。

 温度が低ければ、それだけファンの回転数を下げても冷やせるという意味でもある。ファンの回転数が下がれば騒音も小さくなるため、Ecoモードが静音性の面で有利になるのは間違いない。

 なお、PPTはPackage Power Trackingのことで、CPUが使用する電力と考えてもらっていい。Ryzen 5 7600XのEcoモードでは、このPPTの上限を88Wに制限することで省電力化を実現しているわけだ。実際の数値も最大87.973Wとなっており、うまく機能していることがわかる。

 ちなみに、PPTが88Wというのは、従来のRyzenでいうとTDP 65Wの場合の設定だ。また、TDP 105Wの場合は、PPTが142Wとなる。

 PC全体での消費電力の変化は、ワットチェッカーを使って簡易的にチェックした。刻々と変化するのであくまで参考だが、観測範囲におけるピークに近い数値がこれだ。

デフォルトにおけるPC全体の消費電力最大値は、154W前後となっていた

Ecoモードでは少し下がり、PC全体の消費電力最大値は138W前後だ

 ピーク時の電力差は、約16W。デフォルトの電力と比較すると、約10.4%の省電力化に成功していることになる。

 CINEBENCH R23のMulti Coreスコアを電力で割り、1W当たりのスコアを計算してみると、デフォルトでは約98.4pts/W。これがEcoモードでは、約104.9pts/Wと上昇しており、電力効率が改善されていることがわかる。

 ここまでは、あくまで高負荷が続く場合の性能について調べてきたが、低~中負荷が断続的に発生する状況ではどうだろうか。こういった状況でも性能が落ちるのであれば、Ecoモードを使うのはためらってしまうという人もいるだろう。

 とくに性能が落ちて欲しくない用途といえば、ゲームだ。そこで、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」を使い、デフォルトとEcoモードとでスコアがどのくらい変化するのか調べてみた。

 なお、内蔵グラフィックスを使用するため、解像度を「1920×1080」、画質を「標準品質(デスクトップPC)」、モードを「フルスクリーンモード」としている。

デフォルトでのスコアは5246で、評価は「普通」となった

Ecoモードでも差はほとんどなく、スコアは5253、評価は「普通」だった

 結果は見ての通りで、スコアの差はほとんどなく、まったく同じといっていいだろう。Ecoモードでもゲームであれば性能低下はなく、デフォルトと変わらない性能が出せるということが分かった。

高負荷時の消費電力と温度上昇を抑えるEcoモードを活用しよう!

 Ryzen 7000シリーズは純粋な性能の高さが魅力だが、発熱や消費電力が大きくなりがち。電力効率や静音性を重視するならこの部分がネックとなってしまうのだが、Ecoモードをうまく活用することで、この問題を緩和できる。しかもRyzen Masterを使えば、そんなEcoモードが手軽に使えるのがいいところだ。

 オーバークロックで高性能を追い求めるのと同様、省電力性や静音性を追い求めるのもまた、自作PCの楽しさ。デフォルトのまま使うのもありだが、せっかく手軽に使えるツールが用意されているのだから、使わない手はない。

 Ryzen 7000シリーズをすでに持っている、もしくは購入を予定しているのであれば、Ecoモードを試して欲しい。きっと省電力化や静音化の役に立ってくれるはずだ。

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