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味が良くなり、誰でもおいしく炊けるようになった:

「家で食べられる最良の硬めごはん」バルミューダ、炊飯器に再挑戦

2022年11月09日 10時00分更新

BALMUDA The Gohan K08A
発売日 2022年11月9日
価格 4万9500円
バルミューダ

https://www.balmuda.com/jp/gohan/

 バルミューダの再挑戦シリーズ、今度は炊飯器です。

 炊飯器「BALMUDA The Gohan」が2017年発売の初代機から5年ぶりのリニューアル。デザインを一新するとともに、「蒸気炊飯」という特徴はそのままに、釜などの内部構造を大きく変更。ごはんを噛みしめたときの甘みを強くするなど、より広い層に受け入れられるように改良しました。なお新機種発売に伴い、旧機種(K03A)は終売となります。

誰でもおいしく炊けるように

 2015年に「Hello Kitchen」というかけ声とともに始まったバルミューダのキッチンシリーズ。大ヒットした高級トースター「BALMUDA The Toaster」、おしゃれ電気ケトル「BALMUDA The Pot」に続いて発売されたのが、初代BALMUDA The Gohanでした。

 BALMUDA The Gohanの特徴は、蒸気でお米を炊く「蒸気炊飯」という調理方法。内釜の外側に蒸気をつくるための「外釜」を入れるという独特の方式をとっています。

内釜を蒸気で包む「外釜」(中央)が最大の特徴

 蒸気によって内釜の全方向から均一に温度を与えることで、お米にムラなく熱を与え、粒立ちよくしゃっきり硬めに炊きあがるという理屈で、この方式だからこそかまど炊きのようにおいしくなるというのが同社の主張でした。

 しかしヒットしませんでした。原因は味わいや使い勝手が「万人受けしなかった」からだと同社では分析しています。

 具体的には、旨みや香りが足りず、噛んだときの甘みが薄いなど「ストライクゾーンが狭い炊きあがり」(同社)でした。「ただ硬いだけ」という厳しい意見もあったそうです。おいしく炊くには「水の量をかなり厳しく守らないといけない」(同)など、普段使いにはハードルが高かったことも反省点として挙げられました。誰でもおいしく炊けるようになっていなかったということです。

 そこで新製品は、炊きあがりの旨み・香り、噛んだときの甘味を強くして、誰でもおいしく炊けるよう調整しました。

味わいと使い勝手を改良した

 一番は外釜です。厚みを現行品から増したことで、蓄熱性が上がり、炊きあがりのときの熱の伝わり方が良くなりました。重量も増え、以前より持ち重りがありました。必要な水の量は200ccから180ccに減り、水量は従来ほどシビアに調整しなくても良くなりました。

重厚になり、熱の伝わりがよくなった新しい外釜

 天面の蒸気口の形状も変更しました。以前は蒸気口から逃げる蒸気が多く、米に伝わる熱が不足していましたが、その点も改善されています。外釜と内釜の隙間にも蒸気が入り込みやすく、熱が伝わりやすくなる工夫を施していました。実際、炊飯時に吹き出す蒸気が減った印象があります。

 ということで、実際に食べてみました。

「つや姫」「ゆめぴりか」を試食した

粒立ちがよく、ほぐれがいい

 炊き上がったのはしゃっきり硬めで粒立ちのいいごはん。口に入れたときから香りがよく伝わり、前回より味わいがわかりやすくなった印象を受けました。むちむちした蒸し米のような食味は初代機と同じなので、旧友と再会したような気分になりました。

むちむちした食感が気持ちいい

 BALMUDA The Gohanのむちむち食感はタイカレーのようなスープ系の料理に合うんですよね。卵かけごはんもおいしいです。冷めてもおいしいのでおにぎりやお弁当にも向いていて、以前使っていた旧機種は子どものお弁当づくりに重宝していました。

卵かけごはんにもよく合う

 もうひとつの強みは玄米です。90分でおいしい玄米が炊けるのはBALMUDA The Gohanならでは。新機種で炊いた玄米もやはりおいしく、蒸気炊飯の良さをあらためて感じました。

デザインイメージは「小さなかまど」

 外側も大きく変わりました。「小さなかまど」をコンセプトに、ずんぐりした外観にリニューアルしています。

ボディはずんぐりしたかまど形

 かまど形状は技術的な必然性があるわけではなく、あくまでも見た目を優先したもので、「かまど炊きのおいしさ」を連想させたいという意味合いも大きそうです。

 ボディの塗装にはかまどの鋳物鉄のような質感を表現するためシボ加工を施しました。一方、上ぶたは現代らしい意匠を施し、金属感を与えています。

現代らしさのある上ぶた

 懐かしさと新しさ、両方のテイストを感じられることを目指したということで、どこか現代アジアっぽい印象を受けました。

 かまど部分があるため旧機種より大きくなったように見えますが、以前は横に飛び出す羽根の部分があったため、設置面積としては小さくなりました。

(左側)旧機種、(右側)新機種

 外釜は重厚になった一方、内釜はつやのある金属的な外観に変更しています。

重厚になった外釜

内釜にはつやを加えた

 かまど形にするためフタが開く部分のヒンジ機構も円筒状のものに変更しました。内側に配線を通すのが大変だったと担当者はこぼしていました。

フタのヒンジも新しくなった

 上面操作部はフィルム印字ではなく独立ボタンを採用。画面の右側にはジョグダイヤルを追加し、タイマー設定がしやすくなっています。

ボタンは一般的なフィルム印字ではなく独立ボタンだ

タイマー設定がしやすいジョグダイヤル

 使用後に洗うパーツは以前と同じで内釜、外釜、中ぶた。釜の外側のフチが細く、汚れがたまりやすそうなのも以前と同じです。

釜の外側のフチは細い

今年2度目の「再挑戦」成功なるか

 バルミューダの再挑戦といえば掃除機「BALMUDA The Cleaner」です。

 旧機種はスイスイ動かしやすい点を売りとしていましたが、重くて動かしづらいという難点もあり、当初の計画よりも売れませんでした。そこで今年5月に、軽量化した新機種「BALMUDA The Cleaner Lite」で再挑戦しましたが、11月8日の決算会見によれば期待ほど売れていないようです。

今年5月発売の「BALMUDA The Cleaner Lite」

 寺尾玄社長は新機種が「とてもいい商品だと信じている」と言う一方、市場自体に「非常に現場の影響度が強い」特性があるとして、主に売り場のマーケティングが敗因になったという旨の分析をしていました。

 一方の炊飯器はどうなのでしょう。

 旧機種より味わいが良くなり、誰でもおいしく炊きやすくなったのが改良点。寺尾社長も決算会見で「家で食べられるもっとも良い硬めごはん」だと胸を張っていました。

 一方、旧機種と同じく保温機能はありません。炊飯容量も少人数向けの3合炊きのみで、ファミリー向けの5合炊きなどはありません。硬さの炊き分け機能もありません。機能的には従来同様、万人向けとは異なる機種です。外観まで変えてかまど炊きをアピールしますが、ほとんどのメーカーがかまど炊きをうたう中、どこまで差別化できるのかということも気になりました。

 バルミューダでは新機種の発売に際して、レシピブックを発売したり、直営店で体験イベントを開くほか、30日間返品保証キャンペーンを打っていくと話していました。ただ、BALMUDA The Clenaer Liteでも同様の施策は打っています。円安・資源高・物価高のトリプルショックで販管費を削らざるを得ず、広告や販促などマーケティングコストをおさえる必要が出てきている中、消費者に魅力を伝える方法は引き続き課題になりそうです。

 個人的にはむちむちが好みなので成功してほしい気持ちもありますが、どうなるでしょうか。

 

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