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iPhoneやGalaxy、あなたのスマホに最適な外部ストレージを探せ! microSDやSSDの転送速度で検証

2022年11月18日 11時00分更新

iPhoneのLightingはUSB 2.0相当の速度しか出ないため
データ転送に時間がかかる

 ここからは、実際にiPhoneとmicroSDカードスロット非搭載のAndroidスマホ、microSDカードスロットを搭載するAndroidスマホを用意し、拡張ストレージを利用して内蔵ストレージに保存されているデータをどの程度の時間で転送できるか見ていこう。

 用意したスマホは、「iPhone 12 Pro Max」、microSDカードスロット非搭載のAndroidスマホ「Galaxy Z Fold4」、microSDカードスロット搭載のAndroidスマホが「Xiaomi Redmi Note 11 Pro 5G」だ。

 また拡張ストレージとしては、ポータブルSSD「T7 Shield 1TB」と、microSDカード「EVO Plus 256GB」、そして「USBメモリ Type-C™ 256GB」を用意した。

 そして、それぞれのスマホの内蔵ストレージに、あらかじめ用意した動画データを保存しておき、その動画データを拡張ストレージに転送する時間をストップウォッチで計測した。用意した動画データのデータサイズは約14GB。転送には、それぞれのスマホに用意されている標準のファイル操作アプリを利用し、ストップウォッチで3回計測した平均を出している。

 まずはiPhoneから。先に紹介したように、iPhoneではAppleが発売する「Lightning - SDカードカメラリーダー」の利用がオススメということで、今回はLightning - SDカードカメラリーダーに、EVO Plus 256GBを付属のSDカード変換アダプターに取り付けた状態で検証した。結果は以下の表のとおり。

Lightning - SDカードカメラリーダーをiPhone 12 Pro Maxに接続

 用意したmicroSDカードのEVO Plus 256GBは、一般的なベンチマークで90MB/s前後の書き込み速度が出ているのだが、iPhoneからの転送は約6分20秒(約37MB/s)と非常に時間がかかった。この最大の理由は、iPhoneのLightning端子のインターフェース速度がUSB 2.0と同等の480Mbpsしかないためだ。その意味では、USB 2.0の実効速度としては標準的な数字と言えるだろう。

iPhone 12 ProMaxの転送速度
平均速度 平均転送時間
「Lightning-SDカードカメラリーダー」
+「EVO Plus 256GB」
約37MB/s前後 6分20秒

 もちろん、拡張ストレージとしての利用はまったく問題がなかったので、本来の目的を十分果たせるのは間違いない。ただ、大量の写真や動画データを転送するにはかなりの時間が必要となる。そのため、ある程度時間に余裕があるときや、寝る前などに転送を開始するなどの対応が必要だろう。

Galaxy Z Fold4はUSB 3.2 Gen1対応のため
高速な転送が可能

 次にGalaxy Z Fold4だ。Galaxy Z Fold4にはmicroSDカードスロットがないため、今回はポータブルSSDのT7 Shieldと、USBメモリ Type-C™で検証した。結果は以下の表のとおりだ。

Galaxy Z Fold4の転送速度
平均速度 平均転送時間
T7 Shield 1TB 約378MB/s前後 37秒
USBメモリ Type-C™ 256GB 約61MB/s前後 3分46秒

 これを見るとわかるように、USBメモリ Type-C™利用時には約3分46秒かかっているのに対し、T7 Shield利用時にはわずか37秒で転送が終了した。この差は、拡張ストレージの書き込み速度の差によるものだ。

 今回用意したUSBメモリ Type-C™はUSB 3.0対応で、読み出し速度は比較的速いものの、書き込み速度は読み出しに比べてかなり遅い。これは一般的なUSBメモリーでよくあることで、コストを抑えるために書き込み速度がやや犠牲になっているからだ。

 それに対し、T7 ShieldはPCの内蔵ストレージとしても広く利用されている高速なPCIe/NVMe SSDをベースとしており、データ転送速度は読み込み最大1050MB/s、書き込み最大1000MB/sと、ポータブルSSDとしてはトップクラスの速度を誇っている。そのため、Galaxy Z Fold4から高速にデータを転送できたわけだ。

T7 Shieldを折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold4」に接続

 とはいえ、その速度は約378MB/s程度で、本来の速度は引き出せていない。ただこれは、Galaxy Z Fold4のUSB Type-CはUSB 3.2 Gen1準拠となっているからである。

 先に紹介したように、USB 3.2 Gen1のインターフェース速度は最大5Gbps、実効速度としては450MB/s程度だ。今回の検証での実測値約370MB/sは、USBの仕様的には申し分ない速度が引き出せていることになる。

 価格はUSBメモリーのほうが圧倒的に安価だが、実際に使ってみると、これだけデータ転送を高速にできるのは非常に便利だと感じる。それも、データが多ければ多いほどその差が大きくなるので、価格分のメリットは十分にあると言っていいだろう。

コスパと汎用性が高いUSBメモリー

Redmi Note 11 Pro 5Gでは
microSDカードの利用がベスト

 最後にシャオミのRedmi Note 11 Pro 5Gだ。こちらはSIMカードトレイにmicroSDカードスロットが用意されているため、microSDカードのEVO Plus 256GBをmicroSDカードスロットに装着して計測。また、ポータブルSSDのT7 Shieldも接続して転送時間を計測してみた。結果は以下の表のとおりだ。

Redmi Note 11 Pro 5Gの転送速度
平均速度 平均転送時間
内蔵microSDスロット
+EVO Plus 256GB
約50MB/s前後 4分37秒
T7 Shield 1TB 約37MB/s前後 6分12秒

 結果を見ると、いずれも思ったほど高速ではないことがわかる。まずEVO Plus 256GBだが、転送時間は4分37秒、転送速度は約50MB/sだった。一般的なベンチマークでの書き込み速度が90MB/s程度なので、少々物足りない印象だ。

 この原因としては、Redmi Note 11 Pro 5GのmicroSDカードスロットの速度にあるものと考えられる。Redmi Note 11 Pro 5GのmicroSDカードスロットの仕様については公開されていないものの、今回検証した結果から、おそらくUHS-I SDR50もしくはDDR50対応となり、データ転送速度が最大50MB/sとなっているからだろう。それなら、検証結果と速度が合致するため、納得がいく。

 ただ、実際に利用する場面では、この速度で十分とも言える。それは、microSDカードスロットを備えるスマホの場合には、写真や動画を直接microSDカードに保存できるため、わざわざ撮影後にデータを転送する必要がないからだ。しかも、書き込み速度が50MB/s前後あれば、大容量の4K動画も問題なく撮影して保存できる。そのため、Redmi Note 11 Pro 5GのようにmicroSDカードスロットの備わるスマホでは、はじめからmicroSDカードを装着して利用するのがオススメだ。

 それに対し、T7 Shieldへの転送時間は6分12秒と非常に遅かった。これは、Redmi Note 11 Pro 5GのUSB Type-CがUSB 2.0準拠だからだ。これではせっかく高速なポータブルSSDもまったく実力が発揮できないのはもちろん、USBメモリーもあまり使い勝手が良くないだろう。そういった意味でも、Redmi Note 11 Pro 5GではmicroSDカードの利用がベストだ。

自分のスマホに合った拡張ストレージで
内蔵ストレージ容量不足を解消しよう

 今回検証してわかったように、利用しているスマホによって、利用すべき拡張ストレージが変わることがよくわかってもらえたと思う。iPhoneは接続コネクターがLightningということでやや制約が多いが、USB Type-Cを備えるAndroidスマホも、microSDカードスロットの有無やUSB Type-Cの仕様の違いで、利用すべき拡張ストレージの選び方が変わってくる。

今回の計測の様子

 自分のスマホの仕様をしっかり確認したうえで、ベストな拡張ストレージを選んでもらいたい。そして、今回の記事がその一助になると幸いだ。

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