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動画エンコードもRTX 3090 Tiの半分に!? 内なる平穏を得られる最強GPU

DLSS 3でGeForce RTX 4090の真の実力を開放!4K+レイトレ最高画質で120fpsを実現

2022年10月12日 13時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

アプリによってはRTX 4090 FEの
パワーを使いきれない場合も?

 続いては「DaVinci Resolve Studio 18」で検証する。今回は検証用のβビルドを利用することで、デュアルAV1エンコードも試すことができた。テストはProRes 422 HQ動画を利用した再生時間約2分の4K動画を編集し、これを4Kまたは8KのMP4に書き出す時間を測定した。ビットレートは80000Kbpsとし、エンコーダーはGPU即ち“NVIDIA”を指定、コーデックはH.265もしくはAV1(RTX 4090 FEのみ)とした。

DaVinci Resolve Studio 18:H.265のGPUエンコード時間

DaVinci Resolve Studio 18:AV1のGPUエンコード時間

 デュアルNVEncの威力は圧巻だ。8K動画であってもRTX 3090 Tiや3090 FEの半分以下の時間で処理ができる。AV1コーデックは残念ながら比較可能なGPUがなかった(インテル Arc Aシリーズで後日試してみたいところだが……)が、H.265と大差ない速度で書き出せるのは驚くしかない。

 もう1つ、DaVinci Resolve Studioに搭載されたMagic Maskの処理もチェックしてみよう。ここではタイムラインに読み込まれたDCI 4K動画(再生時間は30秒弱)に写っている人物を、AIが判定してマスクをかける処理の時間を計測した。つまり、最初のフレームでマスクがかかった状態から動きをトラッキングするボタンをクリックし、最終フレームの処理が終わるまでの時間である。

DaVinci Resolve Studio:Magic Mask処理時間

 ここでもRTX 4090 FEは他のGPUを圧倒している。RX 6950 XTだと2分以上待たされる処理が、RTX 4090 FEだと20秒以下で完了するのは感動的ですらある。動画編集時のイライラを少しでも無くしたいクリエイターなら、RTX 4090は決して高い買い物ではないだろう。

 画像や動画のアップスケールやノイズ除去にも、GPUを利用したAI処理が使われる。そこで、「On1 Resize AI」を使ったリサイズ処理をチェックしてみよう。30枚のJPEG画像(800ピクセル四方)を読み込み、これを縦横2倍、即ち400%の拡大処理を行わせる。30枚すべてに処理をかけてJPEGに出力する時間を計測した。

On1 Resize AI:30枚のJPEG画像の拡大処理実行時間

 ここでも確かにGPUパワーの影響が反映されている。RTX 3090 TiやRTX 3090 FEではRX 6950 XTと大差ない速度だったが、RTX 4090 FEでは一気に10秒以上の短縮に成功した。

 しかし、すべてのアプリがRTX 4090によって高速化されたわけではない、という例もお見せしよう。次は「Topaz Gigapixel AI」で同じような処理を実施する。こちらは学習モデルに“Severe Noise”を指定しノイズ除去も追加した。AIプロセッサーの設定では明示的にGPUを指定し、メモリー使用量も最大に設定している。

Topaz Gigapiexl AIによる処理時間

 今回の検証ではどのGPUも3分台で終了したが、RTX 3090 TiとRTX 3090 FEが速く、RTX 4090 FEは3番手。Topaz Gigapiexl AIがRTX 4090 FEを上手く扱えなかったのかもしれないが、RTX 4090 FEがあれば無条件で速くなるわけではないようだ。

まとめ:速さを求めるのにこれ以上のGPUはない
ただし、金に糸目をつけない人向け

 以上で3回に渡るRTX 4090 FEレビューは終了だ。16384基ものCUDAコアのパワーはゲームでもクリエイティブ系アプリでも極めて有用だ。もし自分の作業環境の遅さがGPUにあるのではと疑っているなら、RTX 4090を導入してしまうのはどうだろう。RTX 4090で太刀打ちできなければ、原因は他にあるからだ(Topaz Gigapiexl AIのようにRTX 4090でも奮わない例はあるが……)。

 ゲームに使う場合、ディスプレー環境も4K(以上)にしなければ強みを発揮できないという制約はあるが、Cyberpunk 2077のような超重量級ゲームでも快適にプレイできる環境が作れるだろう。RTX 4090を導入すれば、今後しばらくGPU性能について心配する必要はなくなる。即ち、“内なる平穏”を享受できるはずだ。

 しかしながら、この環境を躊躇無く用意できる個人は、今の時代相当に限られる。比類なきパワーといっても、単体で30〜40万円のパーツはそう気楽に買えるものではない。消費電力が高めなのもネックだが、何より同梱の8ピンケーブル×4変換のケーブルは見た目的に邪魔すぎる。となれば12VHPWRを直出しできる電源ユニットも一緒に揃えたい。

 さらに、大型カードに合わせてPCケースの新調を……等と考えていけばあっという間に50万円コースだ。RTX 40シリーズ最大の売りであるDLSS Frame Generationが一般に試せるようになるのはまだ先だし、動画編集アプリにおけるAV1対応まだ十分とはいえない。じっくりと検討し、覚悟を決めてから購入に踏み切りたいものだ。

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