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Zen 4で性能は別次元の領域に到達!?「Ryzen 7000シリーズ」全モデルレビュー【概要+基本ベンチ編】

2022年09月26日 22時00分更新

将来性を重視したSocket AM5

 Ryzen 7000シリーズはCPU形状とソケット規格も大きく変化した。長く使えるプラットフォームを志向した結果、より新しいDDR5やPCI Express Gen5が採用され、その結果としてCPUはLGA1718へ、ソケットは「Socket AM5」に変更された。

 従来のuPGAを捨てた理由はDDR5対応のほかにCPU直結のM.2スロットを最大2基設置できるようにPCI Expressのレーン数を28に増やしたこと等でピン数が足りなくなったのはもちろんだが、LGAにすることで電気的特性も向上している。

 さらにSocket AM5ではソケットへの供給電力も最大230W(AM4では最大142W)まで引き上げられた。Ryzen 9 7900Xと7950XのTDP 170Wというスペックは、このパワーリミットを限界まで使える設定である。

Socket AM4とAM5の差異を主に物理的機能面からまとめた表。一番下のPlatform Power Controlとは電源インフラの制御技術「Serial VID Interface」を指し、Ryzen 7000シリーズでは電圧変化の反応時間がより短く、キメの細かい制御が可能になった

Socket AM5。インテル向けのソケットと異なり、全体にピンが生えている。レバーの押下圧はLGA1700程ではないが、結構重め

 ただSocket AM4用クーラーとの互換性を確保するためにCPUのフットプリントを据え置いた結果、ヒートスプレッダーはキャパシターをまたぐような形状になった。ヒートスプレッダーの下は空洞であるため、シリコングリスを盛りすぎてしまうとヒートスプレッダーの下にグリスが入り込んでしまう可能性もある。そのためRyzen 7000シリーズには導電性のあるグリスはオススメできない。液体金属グリスの使用にも十分な注意が必要だ。

新旧Ryzenの形状比較。Ryzen 5000シリーズ(右)に比べ7000シリーズ(左)はヒートスプレッダーの形状から小さく見えるが、基板そのもののフットプリントは全く同じ

裏面の変化も劇的だ。Ryzen 7000シリーズ(左)はLGA1718を採用したため、裏面には電極のみが並ぶ。インテル製CPUと違い電極のある部分とない部分が市松模様のように配置されているのは、信号品質を稼ぐためと考えられる

インテル製CPUではキャパシターは主に裏面に設置されているが、Ryzen 7000シリーズでは全て表面に実装されており、ヒートスプレッダーがそれをまたぐ格好で設置される。一部キャパシタには樹脂のようなものでコーティングされていものもあるが、裸のものもある

Ryzen 7000シリーズのヒートスプレッダーは単なるブリッジだ。RyzenロゴのR側から覗けば向こうが見通せる。内部にシリコングリス等が入り込まないように扱うことをオススメしたい

 ちなみに、AMD製CPUにおけるPower Limitに相当するPPT/EDC/TDCのパラメーターは下図の通りとなる。TDPの1.35倍がPPTという計算式はSocket AM4からそのまま継承されている。

Socket AM5におけるTDPから導かれるPPT/EDC/TDCの定格値の表。TDP 65W版のRyzen 7000シリーズはまだ発表されていないが、来年以降に出るものと推察される

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