選ぶなら感覚性能の「iPhone 14 Pro」通常版とProの差が開いたiPhone 14世代(本田雅一)
フロントカメラでのシネマティックモード撮影。日陰での画質が上がっている
スペックや性能の高さを体験の質に
実は今年もまずはベンチマークテストから評価を始めてみたのだが、予想通りにクロック周波数は少しだけ(200MHzほど)向上していたものの大きなものではなかった。A16 Bionicは、新しいユーザーとのインタラクティブ要素である「ダイナミックアイランド」のために、Display Engineという回路を追加したり、4800万画素CMOSセンサーを活かしたカメラ機能を実現するための新しいISP(イメージシグナルプロセッサ)、常時点灯モードを実用的にするためのOLEDパネルコントローラなど、具体的な利用体験の向上を目的にA15 Bionicを改良したものだと考えられる。
過去最も高性能なiPhone向けのSoCであり、業界でもトップの実力であることは疑いようがないが、それはA15 Bionicも同様。今回はあえて異なる部分に力を入れている。
そしてカメラについてだが、「4800万画素」というスペックに着目するならば、これまでより高精細、高画質という部分を強く訴求するため、その画素数を大きくフィーチャーするのだろうが、iPhone 14 Proは4800万画素のRAWファイルを記録することはできるが、JPEGやHIEFなど現像後の画像を記録する際には1200万画素でしか吐き出さない。実際に1200万画素で十分、体験の質を高めることができるからだ。
4800万画素になったことで、とくに色情報の密度が高くなり、細かな描写の情報量も確実に増えているが、実際にiPhone 14 Proのカメラを使い始めて最初に驚かされるのは、そうした拡大しなければわかりにくい細かな違いではない。もっと感性に訴える、エモーショナルな部分に響くところが大きく改善している。
最終的にそれらはiPhone 14 Proに搭載しているカメラのレンズ、センサー、ディスプレイなどと関連し、その上で動かしているソフトウェアの信号処理、それを効率よく処理するための半導体設計などとつながっていく。
しかし使い始めて感じるのは、そうした文字上のことではなく、アクションモードの驚きの安定性、安定した配光特性で明るさも十分な内蔵LEDフラッシュ、自然なボケ味が得られるようになったポートレイトモード、感情を煽るようなさらに雰囲気のある動画が得られるようになったシネマティックモード、暗所での驚くべき高感度や十分な光がない撮影場所でも見えてくる素材ディテールなどだ。
日が暮れた後の動画撮影。かなり明るく見通しの良い映像になる
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