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メリット多し! 格安SIMを使って固定回線風に使う方法やルーターを考える

2022年07月31日 12時00分更新

 自宅のインターネット回線としてモバイル回線を使うことは、金銭的なメリットのほか、障害発生時のバックアップとしてもメリットがある。そこで今、モバイル回線を固定回線風に使うためのモバイルルーターやサービスにどんな選択肢があるか調べた。

モバイル回線を固定回線的に使うには、モバイルルーターをそのまま使う方法が最も簡単。クレードルに有線LAN端子がある機種も

コスト面でも、障害対策としても注目される
モバイル回線の固定回線的利用

 MVNOの格安SIMや3大キャリアのオンライン専用プランなど、低料金のモバイル回線はいろいろあるが、それを自宅のネット回線として用いる手法は以前からあった。契約さえすれば、工事しなくてもすぐに使えるほか、場所を移動しても機器も持ち歩けば利用し続けられる。

 そして最近話題の通信障害時の対策としても有効だ。たとえばスマートフォンで使っているキャリアで障害が発生し、自宅回線として使っているキャリアが問題なく使えている場合は、SIMを入れ替えることで回避できる。使い方や組み合わせ方にもよるが、普段使わないサブ回線を別途用意するよりも低コストで済ませられる可能性もある。

 あまり使わない場合は、月1000~2000円程度のプランで賄えるほか、楽天モバイルの月3278円で無制限の回線や、速度は遅くていいならmineo「マイそく」のように月990円から、というようなプランもある。

高速で通信量無制限の回線となると、エリア内という条件にはなるが、やはり楽天モバイルが第一候補となる

モバイルルーターを使うこともできるが、デメリットもある

 インターネット接続そのものを「Wi-Fi」と言い換えてしまう人がいるように、最近のネット接続といえば無線LAN経由がほとんどという状況だ。以前なら、無線LANでネットに接続するのはノートPCくらいだったが、プリンターやテレビ、ゲーム機、スマートスピーカーを始め、多くのIoT機器は最初から無線LAN接続が前提となっている。

 家庭内の機器のすべてが無線LANで接続できるなら、モバイルルーターを使って、充電アダプターを接続して電源を入れっぱなしにしておけば、それで固定回線の代替になる。注意することといえば、無通信状態が続いた場合でも自動でスリープモードに入らないように設定を変更することくらいだ。

 ただし、有線LAN機器もつなぎたいとなった場合は面倒だ。一部の機種では専用のクレードルを使うことで有線LANが利用できるものもあるが、対応しない機種も多い。

 また、モバイルルーターをそのまま使った場合、停電時でもバッテリー駆動でそのまま使い続けられるが、バッテリーを使い切ったあとで電源が復帰しても、電源ボタンを押すなど操作しないと通信は復旧しないケースがある。また、据置型の無線ルーターなどと比べて、電波の到達度など、無線LANの親機としての性能が不十分なこともある。

据置型のモバイルルーター、いわゆる「ホームルーター」が便利

 そこで、筆者のおすすめは据置型のモバイルルーターだ。据置型なのに”モバイル”ルーターという表現には矛盾があるが、SIMカードを挿入してモバイル回線に接続できるLTEなどの通信機能を持ち、固定回線的に利用できる。通常の無線LANルーターと同様に電源スイッチなどはなく、コンセントを差し込むと起動し、抜けば動作が止まるという単純明快な操作が逆に便利だ。

 これらは「ホームルーター」や「LTEホームルーター」などと呼ばれることが多く、具体的にはアイ・オー・データ「WN-CS300FR」、NECプラットフォームズ「Aterm HT100LN/HT110LN」、そして最近発表されたピクセラ「PIX-RT100」などが存在している。

アイ・オー・データ機器「WN-CS300FR」。発売から若干時間がたっており、無線LANが2.4GHz帯のみのIEEE802.11nとなるものの、まだまだ十分に使える

 これらの3機種は1万円台で購入でき、無線LANルーターとして各種機器を無線接続できるほか、有線LANポートも備えており、有線LANしかないPCなどとも接続できる。有線LANがあるため、最新のWi-Fi 6対応の無線LANアクセスポイントを接続して使う機能もある。WN-CS300FRとPIX-RT100はモバイル回線のバンド固定機能があり、楽天モバイルを使う際、通信量の制限があるバートナー回線(au回線)に接続してしまうことを防ぐこともできる。

 しかし、WN-CS300FRやPIX-RT100では問題もある。SIMカードサイズがnanoSIMではなく、microSIMや標準サイズなので、スマートフォンとSIMを入れ替えて使う場合に支障がある。

 現在のSIMカードの提供はマルチカットタイプが多いため、一度nanoSIMで切り取っても、枠を残しておけばmicroSIMや標準SIMとして使うことは不可能ではない。ただ、こうしたアダプターなどを用いた異なるサイズのSIMの挿入は慎重になったほうがいい。丁寧にやれば問題がないことがほとんどだが、雑に作業すると接点を折る故障に繋がる。安全にスマートフォンとの差し替えを想定しているのなら、nanoSIM対応のAterm HT100LNまたはHT110LNを選ぶのがいいだろう。

裏技で安価に出回る各社のサービス用の
LTE対応ルーターが使える場合もあり

 安定的に使うのなら、前述のような単体で販売されているSIMフリーの据置型モバイルルーターを使うのがベターだが、LTEや5Gが使えるサービスの製品を使う方法がある。過去にも紹介しているが、UQ WiMAX(やau)のWi-Fi homeシリーズは流用の定番(「激安入手可な据置型LTEルーター+格安SIMで月1000円以下の固定回線(?)を実現する」)。追加設定が必要で、接続するバンドに制限は生じるが、ドコモやソフトバンクのネットワークでも使えた実績がある。

UQ WiMAXやauから発売されているWi-Fi homeシリーズの「Wi-Fi home L01s」。nanoSIM対応で中古相場は驚くほど安い

 また、ソニーのAIホームゲートウェイ「NCP-HG100/Cellularモデル」はバンド3にも対応するため、3大キャリア以外に楽天モバイルのSIMでも使えたという実績がある。

 これらはネットオークションや中古ショップなどで出回っている。特にUQ WiMAXのWi-Fi homeシリーズは1000円以下という値がつけられることもあり、ダメ元で試してみる価値がある。最近では5Gサービス対応機も中古で出回りはじめている。ドコモ「home5G」用の「HR01」にもSIMロックはないため、MVNOの格安SIMや他社ネットワークのSIMで使えたという実績をネット上で見ることができる。

 注意しなければならないのは、これらはあくまで裏技的に利用実績があったというだけで、正式な対応機種ではないこと。過去にpovo1.0でWi-Fi homeシリーズが使えないということがあったほか、今後のソフトウェアアップデートやネットワーク側の対応でどうなるかわからない。チャレンジするなら十分な理解と覚悟のうえとなる。

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