ミクシィ、LIXIL、grigryなどがサービス作りとSORACOMを語る
ソラコムが3キャリア対応プランを発表 衛星通信も取り込めるように
SORACOM Airはマルチキャリア対応に Soracom Mobileも日本やアジアで使える
戦略のひとつでもある「グローバルなプラットフォーム展開」では、SORACOM Air for セルラーなどのグローバル展開について紹介した。
SORACOM Air for セルラーで提供しているIoT SIMでは、日本だけで使えるSIMとして、NTTドコモとKDDIのMVNOとして回線を提供しているが、グローバル向けのSORACOM IoT SIMは、ソラコム自身が作っており、日本を含めてマルチキャリアで利用できるようになっている。
「現在、IoT SIM の89%がSORACOM IoT SIMであり、日本市場向けのSIMは11%である。創業時にはまったくなかったグローバルなプラットフォームが、これだけ使われていることはうれしい。また、プロダクトのなかにチップ型のeSIMを使うケースが多く、すでに54%を占めている」とした。
日本の企業が海外で利用する事例も増加しており、POCKETALKのAI翻訳機や、FUJITECによるアジア地域のエレベータの環境情報の取得、三菱重工ではグローバルで展開するプラント巡回防爆ロボットに採用。米BeeHeroでは、AIを活用した養蜂家支援サービスに、Withingsではヘルスケア情報の取得にSORACOMを利用している。
そんなSORACOM IoT SIMの基盤になっているのが「plan01s」である。
「利用者からは、主要国においてはマルチキャリア環境で使いたい、LTEでも使いたいという声があり、それにあわせて進化させてきた。現在、150カ国、280キャリア、に対応。LTEでは192キャリアでつながるようになっている。これは昨年よりも大きく増加している。SORACOM IoT SIMは、ソラコムが作っているため、ソラコムのテクノロジーをふんだんに注ぎこんでいる。目玉のひとつがサブスクリプションコンテナであり、無線経由(OTA)で回線契約(サブスクリプション)を書き込むことができる。たとえば、日本で利用することが多いため、日本でのデータ通信料が安いサブスクリプションを入れるといったことが可能になっている。plan01sに入れられるサブスクリプションは4種類あるが、今後、北米や南米に特化したサブスクリプションにも対応していく」と述べた。
また、サブスクリプションも進化しており、今回「planX1」では、ソフトバンク、KDDIに加えて、新たにNTTドコモにも対応し、ひとつのサブスクリプションで国内3つのキャリアに対応できるようになったという。「こうした進化によって、SORACOM IoT SIMのカバレッジは164の国と地域、319キャリアになる。世界の83%の国をカバーできることになり、今後もさらに拡大していくことになる」と玉川氏はアピールした。
一方でグローバル展開において課題だったのは、遅延などの問題が発生しやすい部分があったことだ。「米国でつなげる際に、欧州の事業者のネットワークであると、インターネットの出口は欧州になり、データが世界を横断し、遅延が発生していた。そこでランデブーポイントを欧州、米国、日本に設置し、通信経路を最適化できるようにした。新たにオーストラリアにもランデブーポイントを追加して、オセアニアでの低遅延化とデータローカライゼーションを図れる。また、ランデブーポイントには、必要に応じて顧客向けゲートウェイであるVPG(Virtual Private Gateway)を設置することができ、さまざまなサブスクリプションを使用することで、世界中のIoTデータを、指定のクラウドに安全に送信できる」という。
さらに、iPhoneおよびiPad向けのeSIMデータ通信サービスである「Soracom Mobile」も進化させた(関連記事:Soracom Mobile、日本を含むアジアで利用できる「アジア・パシフィック周遊プラン」&「国別プラン」を提供開始)。新たに日本を含むアジアで利用できる「アジア・パシフィック周遊プラン」と「国別プラン」の提供を開始する。従来は、欧州、北米、オセアニアで提供してきたが、これらのプランの一部では価格の引き下げも行なった。「新たな国別プランでは、日本だけの利用では、1GB/30日間で、6.89ドルで使用できる。アジア各国で使う場合には周遊プランを選べばいい。タブレットを日本で利用したいという場合や、急な海外出張の場合にも利用できる」とした。
玉川社長は、こうしたグローバル展開の成果を振り返り、「創業したときには、グローバルのコネクティビティをどう提供するかについては見当がつかない状態だった。だが、7年を経過し、164の国と地域で利用できるようになった。モノだけでなく、人もつなげることができるようになった。『世界中のヒトとモノをつなげ、共鳴する社会へ』というビジョンをさらに追求していきたい」と述べた。
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