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メルカリ、LUUP、ライナフ、日本瓦斯のSORACOM活用とは?

ソラコムが最新事例を披露 新サービス「SORACOM Arc」の破壊力

2021年06月24日 11時00分更新

 2021年6月22日、IoTプラットフォームを手がけるソラコムは年次カンファレンス「SORACOM Discovery 2021」を開催。2日目となる23日の基調講演にはソラコム 代表取締役社長の玉川憲氏やCTOの安川健太氏、執行役員の片山暁雄氏のほか、メルカリ、LUUP、ライナフ、日本瓦斯などのゲストが登壇。IoTの可能性を感じさせる多種多様なユーザー事例と新サービスが披露された。

ソラコム 代表取締役社長の玉川憲氏

恒例の新事例ラッシュ AI×IoT、ロボット、コネクテッド社会まで

 今回で6回目となるSORACOM Discoveryだが、今回は会期が3日間となり、新しい事例やサービスが数多く発表される基調講演が2日目となった。登壇したソラコム 代表取締役社長の玉川憲氏は、例年のように近況報告と事例の紹介からスタートした。

 2015年にSORACOM AirというIoT向け通信サービスからスタートしたソラコムだが、契約回線数はいよいよ300万回線を突破。顧客数も2万以上に達し、ダイキン、セコム、オムロン、キヤノンなどの大企業のほか、数多くのスタートアップ、新規事業で用いられるようになったと振り返った。

 そして、玉川氏がマイルストーンと紹介したのは、調査会社ガートナーのマジッククアドラント(マネージドIoTサービス)に初選出されたことだ。世界的なプレイヤーとして認知された証でもあるマジッククアドラントに名前が載ったということで、「ようやくグローバルプラットフォーマーとしてスタートラインに立てたと思っています。今回のイベントのテーマも『スタートライン』とさせてもらいました」と玉川氏も感慨深そうに語る。

ガートナーのマジッククアドラントに初選出

 事例も省エネ・コスト削減、テレワーク・労働力の置き換え、遠隔地のインフラ管理、現場のデジタル化、顧客体験の向上、レガシー設備のアップデート、農業や漁業のスマート化、ビジネス創出など幅広い。「いろいろな業界であらゆるモノがつながり、社会を変え始めている」と語る玉川氏は、恒例となった“ライトニング新事例紹介”を進める。

 まずミクシィは家族アルバム「みてね」のブランドで子供向けの見守り用GPS端末を開発。スポーツ用品メーカーのアシックスは物流設備の現場で用いるIoTシューズを開発し、位置情報や運動量を解析している。また、隅田川で行なわれる「早慶レガッタ」においてはドローンと準天頂衛星みちびきを用いることで、数センチ単位という高精度な位置情報を大会運営に活かしている。

早慶レガッタはみちびきを使うことで数センチ単位という位置情報を活用

 ガラスメーカーのAGCはタンクの在庫管理をIoT化したSmart Inventry Systemを構築。タンク残量が自動的にシステムに登録されるため、サプライヤーへの発注まで自動化されているという。また、東亜紡織は宮崎県にある紡績工場のデジタル化でSORACOMを活用しており、電力の需要管理、温湿度管理による製糸の品質管理、生産現場の改善などを実現している。こちらは認定パートナーのKYOSOがレガシーセンサーのプロトコル(Modbus RTU)をデジタル化するゲートウェイを開発したことで実現した。

東亜紡織は紡績工場のDX化でSORACOMを活用

 金融やヘルスケア領域においては、新生銀行が非対面で接客を可能にするバーチャル銀行の取り組みでセキュアなSORACOM Airが用いている。塩野義製薬は、ウイルスの感染範囲を調べるための下水採取のサンプラーにSORACOMを搭載。同じく認定パートナーのMAGLABが約2ヶ月でプロトタイプ開発までこぎ着けたという。

 官公庁での導入も相次いでいる。青森県は獣害対策として動物のセンサーを導入し、地元猟友会の見回りの負荷を軽減。京都府の福知山市は、地域住民への災害情報の通知にSORACOMをフル活用している。亀岡電子の浸水検知センサーにはSORACOM LTE Button Plusが内蔵されており、センサーデータをいち早くクラウド上に送り、SORACOM Harvestに蓄積し、SORACOM Lagoonで可視化しているというSORACOM三昧の事例だ。

災害情報の通知にSORACOMを活用する京都府の福知山市

 AI×IoTの事例としては、悪条件下にあるアナログメーターを遠隔監視する宇部興産の事例が挙げられた。防水・防塵仕様の小型カメラを使い、メーターの様子を画像として取り出し、画像処理でデジタル化するという手法をとった。また、JR東日本情報システムは商用施設の混雑情報をWebサイト上から確認できるように店の様子のカメラを活用。個人情報に配慮し、撮影画像をそのままネット上に出すのではなく、いったんアニメーションに変換して公開している点がユニークだ。

商用施設の混雑情報をアニメーション化するJR東日本情報システムの事例

 ロボットでの利用も相次いでいる。オムロンソーシアルソリューションズの「Toritoss」は掃除、警備、案内と一台三役をこなす万能ロボット。SORACOMの通信機能が入っているので、遠隔から設定を変えたり、カメラの画像を見ることも可能だという。また、三菱重工業の「EX ROVR」は世界中のプラントで用いられている防爆仕様のロボットで、AWSとSORACOMのサービスをフル活用している。

 最後、玉川氏が事例カテゴリとして紹介したのは「コネクティッド社会」。ヤマト運輸は、SORACOMを組み込んだIoT電球を手がけるハローライトと提携し、高齢者の見守りサービスを展開している。見守り先となる両親の部屋にIoT電球を取り付けておき、いざとなったらヤマト運輸の配送員が伺うという仕組みだ。セコムも「いつでもみまもりアプリ」という新しい見守りサービスにおいて、見守り先の部屋の温湿度を検知できるセンサーを用いており、SORACOMを活用しているという。

ハローライト+ヤマト運輸がコラボした高齢者見守りサービス

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