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来るWeb 3.0の時代を見据えて

IoTビジネスを通して顧客のDXやIoT化を支えるソニーネットワークコミュニケーションズ

2022年08月18日 09時00分更新

 7月6日~7日に開催されたソラコムの年次イベント「SORACOM Discovery 2022 ONLINE」のキーノートとして、ソニーネットワークコミュニケーションズ 代表取締役執行役員社長の渡辺潤氏が登壇。「IoTグローバル戦略とソラコムとの協業」と題したセミナーを行なった。

ソニーネットワークコミュニケーションズ 代表取締役執行役員社長 渡辺潤氏

ソラコムと提携し、法人向けソリューションを提供するソニーネットワークコミュニケーションズ

 ソラコムは、2021年6月にソニーグループと資本業務提携を発表し、グローバル展開において協業を進めている。今回のセミナーでは、2022年5月に発表したソニーネットワークコミュニケーションズとのIoTプラットフォームサービスに関する提携内容などについて説明した。

 ソニーネットワークコミュニケーションズは、ソニーグループにおいて、通信事業を中心に、IoTやAI分野を担当しており、高速光通信サービスのNURO光や、格安SIMなどのNURO mobile、ソニー独自のLPWA通信規格のELTRESなどのネットワークサービスを提供している。さらに、ネットワークサービスを活用した法人向けソリューションも提供している。

ソニーネットワークコミュニケーションズのIoTビジネス展開例

 ソニーネットワークコミュニケーションズの渡辺潤社長は、「コロナ禍では固定通信の需要が高まり、昨今ではオフィスへの回帰により、代わって無線通信の需要が高まってきた。この間、一貫して成長しているのが、IoTデバイスをつなげるサービスである」と切り出す。その上で「ソニーネットワークコミュニケーションズでは、IoTビジネスとして、スマートホーム、スマートオフィス、ロジスティクス、ヘルスケア、安全みまもりと幅広く手掛けている。また、デバイスメーカーである強みを生かして、ソリューションに結びつくデバイスも一緒に提供しているのが特徴である」と述べた。

 また、「欧州市場は、北欧を中心に展開している。拠点があるスウェーデンでは、福利厚生がしっかりしており、インキュベーションに対するハードルが低い。新たなことに挑戦するという人たちが多く、楽しそうに仕事をしている。その結果、ユニークなソリューションが誕生している。スマートオフィスソリューションNimwayは、欧州で開発し、日本に展開している」などとした。

 2022年5月に発表したIoTプラットフォームサービスに関する提携は、ソニーネットワークコミュニケーションズの100%子会社であるソニーネットワークコミュニケーションズスマートプラットフォームとソラコムによる協業であり、ソラコムが提供するSIMを通じたフルMVNO回線や、グローバル回線を活用。監視カメラ画像を利用したクラウドAI分析や、IoTデバイスの製造段階においてSIMを組み込むといった用途に利用できるとしている。

両社の業務提携により顧客のDX、IoT化を支える

 渡辺社長は、「日本国内では通信インフラを提供できる状況にあるが、海外展開を進める上で、ソラコムとの提携は有効な手段になる。ソニーグループ全体では、海外でのビジネスの方が大きい。ビジネスを大きく前に進めることができる」と述べた。

 また、日本では通信環境が安定しているが、海外ではその常識が通じないことにも触れ、「ロジスティクスやヘルスケアの分野、IoTデバイスが利用される場所は、とくにつながりにくい。さらに、地域によって、キャリアの得意、不得意が明確にある。顧客にサービスを提供する際に、この地域はつながらないとはいいにくい。そこに課題があったが、ソラコムのマルチキャリアを活用することで解決できる。その点は大きなメリットになる」とした。

 その上で、「デバイスを開発する立場としては、eSIMが利用しやすい。eSIM対応のキャリアを増やしてもらえるとうれしい。また、衛星を利用した新たなメッセージ送信機能にも期待している」と述べた。

Web 3.0の時代は分散型トークン経済圏の時代

 さらに、渡辺社長は、「Web 3.0の時代になると、これまでのプラットフォーマーの時代から、分散型トークン経済圏の時代に変わると言われている。ここでは、クラウドを仲介せずにサービスを利用でき、スマホやPC以外のデバイスが直接つながることが増加する。必要とされる要素は、通信網と、通信網につながるエッジデバイスに収れんされる。ソニーグループはデバイスの強みを持っており、通信の領域では、今回のソラコムとの連携が大きな役割を果たすことになる」と語った。

Web 3.0の時代は分散型トークン経済圏の時代に変わる

 スマホやPCでは、人が通信設定を行なうが、IoTデバイスでは自動設定や遠隔での設定が重要になる。これを解決するという点でも、ソラコムの技術が有効だと考えているという。

 ソニーネットワークコミュニケーションズでは、日本、欧州、米国、インドで事業を展開。さらに、ロジスティクス、スポーツ、農業・畜産、ヘルスケア、教育、居住空間、働き方、環境モニタリングの領域に展開。「Web 3.0の時代は、IoTデバイスを製造しているメーカーにとっては追い風が吹くことになる。ソラコムとの協業により、ともに成長したい」と語ったほか、「ソニーネットワークコミュニケーションズは、ソニーという大きなグループのなかにいるが、どんどん挑戦し、攻める会社を目指している。その点でも、ソラコムとの協業はいい機会である」と述べた。

IoTビジネスを通して、グローバルに社会に貢献していく

 セミナーでは、現在、ヘルステック分野において、両社で話し合いを開始していることにも触れ、「いい展開につなげたい」と述べた。

 また、「ユーザーにクラウドサービスを提供する際に、ソラコムのサービスとより緊密に連携できるように機能を作り込みたい考えている。ソラコムでは、仕様をオープンにしており、それをベースに協業を進めたい」などと述べた。

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