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モバイル重視な12.5型VAIOは小さくてパワフルなマシン

第12世代CPU搭載新VAIO SX12 | ALL BLACK EDITIONがVAIO Zを超越

2022年06月14日 12時30分更新

 新VAIO SX14と同時に新VAIO SX12も発表された。本日6月14日より受注開始し、最短で7月1日に届く。今回のアップデートポイントは、第12世代インテルCoreプロセッサーを搭載したこと。最上位モデルは、Core i7-1280Pを搭載したALL BLACK EDITIONで、5Gモジュールも載せられることから、もはやVAIOのフラッグシップモデルであるVAIO Zの優位性はボディーがフルカーボンで軽いことぐらいとなってしまった。

 今回は、そんな最上位モデルとなるVAIO SX12 | ALL BLACK EDITIONをひと足早くお借りできたので、その実力を検証してみた。

軽量モバイルPCながら14コア20スレッドの爆速

 今回発表された新VAIO SX12の詳細については、VAIOのサイトを参照していただくとして、ここではVAIO SX12 | ALL BLACK EDITIONのスペックを紹介していこう。

 まずCPUは、先述のとおり第12世代インテルCore i7-1280Pプロセッサーを採用。動作周波数はPコア(Performance-core)1.8GHz~4.8GHz、Eコア(Efficient-core)1.3GHz~3.6GHz。コア/スレッド数は、Pコアが6コア/12スレッド、Eコアが8コア/8スレッドで合計14コア/20スレッド。従来モデルの最速モデルでも4コア/8スレッドだっただけに、コア数だけでもかなりのパフォーマンスアップが期待できる。

「HWiNFO64」によるシステム概要の表示

 さらに、プロセッサーの能力を最大限に引き出すVAIO独自技術「VAIO TruePerformance」に対応。Base Powerは28Wだが、Max Turbo Powerが64Wなので、電源周りはVAIO Zで培ったノウハウを活用しているはずだ。VAIO Zと違いシングルファン構造だが、冷却用のヒートパイプは従来に比べて太くなっており、冷却効果を高めている。

VAIO SX12の内部構造。ヒートパイプを外した状態で、コンパクトなサイズの中に凝縮されていることがわかる。ストレージはM.2スロットを採用し、メモリーはオンボードだ

ヒートパイプは太くなり冷却性能を高めている

 GPUは、CPU内蔵のインテル Iris Xe グラフィックスで、動作周波数は1.45GHz。メモリーは、DDR4-2133の16GBか32GBかを選択可能。ストレージは、第四世代ハイスピードSSD(PCIe 4.0対応 NVMe 暗号化機能付き)256GB/512GB/1TB/2TBの4タイプを用意している。

 今回新たに搭載されたのがWi-Fi 6Eだ。これまでのWi-Fi 6に加え、6GHz帯の最大1200MHzという広帯域を利用することで、高速かつ大容量の転送が可能となる。ただし、現状は日本ではまだ認可前のため、認可され次第アップデートにより利用可能となる。

 また、ALL BLACK EDITIONにのみ5Gモジュールも搭載可能となった。これまではVAIO Zのみが利用できたアドバンテージであり、5Gを利用したいからという理由でVAIO Zを選んだという人もいただろう。それが本モデルでも5Gモジュールも搭載できることで、新VAIO SX12や新VAIO SX14も選択肢として挙げられるようになった。

5G用のアンテナは、ディスプレー上部に加え本体手前の左右端にも備えられている

 外観はほぼ変わっていないが、ALL BLACK EDITIONは、オーナメント部分がガンメタ色になり、より精悍さが増している。サイズは約287.8(W)×205(D)×15.0~17.9(H)mmで重量は約899g~(VAIO SX12の最低重量)。従来モデルよりわずかに重くなっているがALL BLACK EDITIONでも900g台前半に抑えられている。

ALL BLACK EDITIONでは、オーナメントがガンメタ色に、ロゴ部分はブラックになっている

 インターフェースも従来どおりで、USB-C端子は2つ備えているものの、どちらも右サイドにあるためVAIO Zのように電源を接続する際に左右どちらにするか選べない。USB-A端子やLAN端子があるのはVAIO Zにない強みだが、USB-C端子は左右に分けてほしかった。

本体左サイドには、USB-A端子とステレオミニ端子(ヘッドセット対応)を備える

本体右サイドには、USB-C端子、USB-A端子、HDMI端子、LAN端子を装備。USB-C端子はThunderbolt 4、USB Power Delivery、USB4、USB 3.1、DisplayPort 1.4に対応する

 1つだけ従来モデルから削られているのが、USB-A端子での5Vアシスト充電機能。これにより、電源アダプターを忘れた際に、充電する方法が1つ減ってしまったが、最近のスマホはUSB-Cが主流なので、大きな問題にはならないだろう。

 キーボード周りも特に変更はなく、従来モデルからVAIO Zのキーボード構造を踏襲しているので、タイピングのしやすさはピカイチ。静音性も高く、無限パームレストにより長くタイピングしても疲れにくい特徴は健在だ。

キーボードまわりは従来モデルと変わらない。写真は隠し刻印仕様のキートップ

電源ボタンには指紋認証センサーを内蔵。電源オンで指紋認証も同時に行なわれる

20スレッドとやらの実力を見せてもらおう

 さっそく新VAIO SX12 | ALL BLACK EDITIONの性能をチェックしてみた。計測にあたっては、電源を接続した状態で「VAIOの設定」の「CPUとファン」を「パフォーマンス優先」にして行なった。また、お借りしたのは開発機のため、製品版とは違う結果になる可能性があることをあらかじめご了承願いたい。なお、今回お借りしたマシンのスペックは以下の通りだ。

今回計測したVAIO SX12 | ALL BLACK EDITIONの主なスペック
CPU インテル Core i7-1280P プロセッサー
画面解像度 フルHD(1920×1080ドット)
メモリー 32GB
ストレージ 第四世代 ハイスピードSSD(NVMe 暗号化機能付き) 512GB

 まずは、定番のCPU性能を測る「Cinebench R23.200」から。計測は標準設定の10分回したときのスコア。このため一発計測よりは数値が低くなる。

「Cinebench R23.200」の結果

 結果はマルチコアが8913pts、シングルコアが1676ptsと優にVAIO Z(Core i7-11375H搭載モデルのマルチコアで6500pts程度)を超えている。スレッド数が大きく違うので当たり前といえば当たり前だが、シングルスレッドでもCore i7-11375Hが1610pts程度だったので、シングルコア性能も向上していることがわかる。

 ただ、同スペックのVAIO SX14 | ALL BLACK EDITIONで同様に計測したが、マルチコア9446pts、シングルコア1815ptsだったので、開発機による個体差が出ているかもしれない。

参考までにVAIO SX14 | ALL BLACK EDITIONでの「Cinebench R23.200」の結果

 次に、アプリを実行したときの性能をチェックする「PCMark 10」を実行した。

「PCMark 10」の結果

 スコアは5340でCPU内臓GPUながら5000超えと好結果。Essentials(Web系作業)が10003、Productivity(文書・表計算の作業)が6661、Digital Content Creation(クリエイティブ系作業)が6204となっており、意外とクリエイティブ系も頑張っており、簡単な写真編集ぐらいはこなせる印象だ。

 続いてCPU内蔵GPUではあるが、3DCG性能を測る「3DMark」も実行してみた。実行したのは、DirectX 11を利用する「Fire Strike」とDirectX 12を利用する「Time Spy」の2つ。

「3DMark」のFire Strikeの結果

「3DMark」のTime Spyの結果

 結果としては、Fire Strikeが4811、Time Spyが1844とCPU内蔵GPUとしては健闘している。そこで、ゲームのベンチマークテストも行なってみた。実行したのは、「ドラゴンクエストX ベンチマークテスト Ver.1.6」と「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」の2本。

「ドラゴンクエストX ベンチマークテスト Ver.1.6」の結果

 結果は、ドラクエがグラフィック設定を最高品質にしてフルHD解像度でフルスクリーン表示の場合、8323と「とても快適」の判定となった。これならグラフィックの品質を調整すれば、ライトな3DCGゲームであれば十分遊べそうだ。

「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」で標準品質(ノートPC)での結果

「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」で高品質(ノートPC)での結果

 一方ファイナルファンタジーは、グラフィックの設定を高品質(ノートPC)にし、フルHD解像度のフルスクリーン表示の場合、5850の「やや快適」判定。グラフィック設定を標準品質(ノートPC)に落とすと、7804とスコアは伸びたが判定は同じ。平均フレームレートがいずれも60fpsを切るため、FPS系のゲームでは快適にプレイするのはなかなか難しそうだ。

 もう1つ、ストレージ性能もチェックした。定番の「CrystalDiskMark 8.0.4」でNVMeモードにて計測。

「CrystalDiskMark 8.0.4」での結果

 シーケンシャルリードで6822MB/秒、シーケンシャルライトで4909MB/秒と、現状のPCIe 4.0対応NVMe SSDとしては高速の部類だ。なお、計測したストレージ容量が512 GBで、ほかの容量だと値が変わる可能性があるので留意してほしい。

 そして最後に、バッテリーベンチの「PCMark 10 Modern Office Battery Life」を実行してみた。液晶の輝度は20%にし、「VAIOの設定」の「CPUとファン」は「バランス」にして計測している。

「PCMark 10 Modern Office Battery Life」の結果

 結果はスコアが5090、時間は9時間52分だった。PCMark 10のバッテリーテストは結構厳しいので、かなり短くなるものの、公称値が約24.5~27時間となっているので、もう少し伸びてほしいところ。とは言え、約10時間持てば1日出歩いてモバイルワークしても電源は不要というレベルだろう。

ちょっとした写真の編集もこなせるビジネス向けマシン

 このように性能的にはVAIO Zを超え、豊富なインターフェースでビジネスワークでも柔軟に対応するVAIO SX12 | ALL BLACK EDITION。14型のVAIO SX14とどちらを選ぶかで悩むところだが、1kgを切ったコンパクトなサイズは小さなカバンにも入り、持ち運ぶ際に便利。画面サイズもフルHD解像度ならギリ100%スケール表示も可能なので、モバイルワーク主体の人にオススメだ。

 VAIO SX12 | ALL BLACK EDITIONは、通常モデルだとCPUがCore i7-1260P(P4+E8コア)までしか選べないが、ALL BLACK EDITIONだとその上のCore i7-1280P(P6+E8コア)だったり、5Gモジュールが選択できたりと通常モデルとはカスタマイズできる選択肢が異なる。性能で選ぶならALL BLACK EDITION一択だ。

 ボディーカラーはオールブラックのみだが、キーボードは隠し刻印や英字キーボードも選択でき、こだわりのあるマシンにカスタマイズできる。価格はVAIOストアの場合30万2500円から(VAIOストア パソコンあんしんサポート付属)だが、各種割引やキャンペーンなどを活用すればもう少し安く手に入れられそうだ。

 今後数年使うことを考えたら、購入時点で最高性能のマシンを選択するのがいちばん。コンパクトでパワフルなモバイルマシンを所望しているなら、VAIO SX12 | ALL BLACK EDITIONは最良の選択肢の1つとなるはずだ。

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