週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

【現地レポ】次期Apple Watchはどうなる? watchOS 9の進化から読み解く(山本 敦)

2022年06月09日 12時00分更新

睡眠のステータスをより細かくデータ化してアプリに表示する新機能「睡眠ステージ」

睡眠アプリで「眠りの質」が記録できるようになる

 ワークアウトのほかにもwatchOS 7から加わった「睡眠」アプリが、ユーザーの生活習慣の記録にますます深く入り込む。

 watchOS 9から「睡眠ステージ」という新機能が加わる。これはApple Watchが内蔵する加速度センサーと心拍数センサー、および数多くのApple Watchユーザーから集めたビッグデータより生成された機械学習モデルを使い、ユーザーが「レム睡眠」「コア睡眠」「深い睡眠」の状態にあることを検知するというアップデートだ。

 ユーザーの睡眠ステージはiPhoneのヘルスケアアプリにも記録され、グラフや数値により指定期間の傾向を俯瞰したり、Apple Watchで取得した心拍や呼吸などの記録と結びつけて健康状態のセルフチェックに役立てられる。

 人間の営みとして科学的に解明できていない領域がまだ多く残されている「睡眠」について、アップルは米国の主要な医療・学術研究機関と連携しながら、意欲的な研究を続けている。ブリガム・アンド・ウイメンズ病院、アメリカ心臓協会と提携しながら進めてきた、健康的な運動の促進と心臓血管の健康改善を目的としたApple Heart and Movement Studyもそのひとつだ。研究成果は、次期watchOSへの「睡眠ステージ」機能の実装にも結びついている。

 米国ではiOSのResearchアプリケーションを導入した一般のユーザーが、iPhoneやApple Watchを使いながら日々取得したヘルスケアのデータを、アップルが提携する医療機関による研究を支援するために提供できる仕組みが整っている。集められた膨大なビッグデータは、これまでにもアップルデバイスによる健康促進のための機能の開発や、医学的な発見の可能性を高めることにも貢献してきた。

 例えば睡眠と健康の結び付きは、世界の各地域に暮らす人々の生活習慣、あるいは体型などの違いによっても影響を受けるはずだ。日本のApple Watchユーザーがよりよい睡眠習慣が得られるように、Researchアプリケーションを活用したローカルな研究の足場を固めることも、これからは有効ではないかと筆者は思う。

 現在のwatchOSにも、ユーザーが設定した就寝時間をApple Watchがリマインドしたり、就寝準備時に睡眠集中モードをオンにする機能がある。睡眠ステージが新たに加わることによって、良質な睡眠を取ることをユーザーに促したり、改善のためのコーチングを提供することもできるようになるはずだ。

ユーザーの睡眠習慣をサポートする機能が現行のwatchOSにもある

 アップルはヘルスケアのコーチング機能をアプリに載せることについてどちらかと言えば控えめなので、サードパーティのデベロッパがユニークなアプリやサービスを作ってくれることも含めて今後の発展を期待したい。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この特集の記事