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高齢化・過疎化の進む中山間地域での自動配送ロボット利用。TISの実証実験で見えた難しさ

 さまざまな地域課題や社会課題の解消や、ドローンやスマートシティなどとの組み合わせで期待されている自動走行ロボットを活用した配送サービス。日本でも各種実証実験が進んでいるが、いよいよ実装が見え始めている。2020年より実施されたNEDOによる実証実験で見えてきた動きを追いかける。

 少子高齢化・過疎化の進む中山間地域では、日常の買い物などに不自由する買い物難民が社会課題だ。TIS株式会社は自動配送ロボットによる生活支援サービスの実現に向けて、自治体やNPOなど複数の事業者と連携し、バスやタクシーなど公共交通や人手による配送と、自動走行ロボットによるラストワンマイル配送を組み合わせた配送サービスの実証実験を行なった。

買い物支援のラストワンマイルを自動走行ロボットが配送

 福島県会津若松市湊地区は、少子高齢化・過疎化が進み、近くにスーパーがなく、公共交通も減ってきている。クルマを運転できない高齢者世帯は日用品の買い物にも不自由する。こうした中山間地域の買い物困難者への支援としてドローンや自動走行ロボットの活用が期待されている。

 TISは、会津若松市やNPO、地域の事業者と共同で、「中山間地域での生活支援向けロボットシェアリング型配送サービス」の実証実験を実施した。配送サービスのイメージは、住民が買い物を依頼すると、タクシーや公共バスなどで商品を地域拠点まで運び、NPO担当者が商品の受け取りとロボットへの積み荷をして、各住宅までの自動配送する、というものだ。

 利用者の少ない過疎地域では配送サービスだけではコストが見合わないため、実現には配送以外の業務といかに連携させるかが課題だ。ロボットを有効利用するため、集落でロボットをシェアし、配送サービスのほかに、集荷や見守りパトロール、路面診断や害獣検知といった複数業務への活用を目指す。

 実証機は、自動運転向けのLiDARを使用する株式会社ティアフォー製のロボットと、ドローン用の衛星測位システム使うイームズロボティクス株式会社製の2種類を使用。後者は、事前に地図を作成しなくてもよいので、導入・運用コストを抑えられるのが特徴だ。2つのロボットはともに時速6キロ以下で同じルートを走行し、それぞれ問題なく目的地にたどり着けるかの検証が行なわれた。

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