JAPAN INNOVATION DAY 2022「ロボット活用による完全無人化次世代データセンタの創出に向けた共創の取り組みについて」
NTTCom、共創でつくるロボによる完全無人化された次世代データセンター
ASCIIはビジネス交流イベント「JAPAN INNOVATION DAY 2022」を2022年3月11日(金)から18日(金)にかけて開催。本稿では、3月18日に東京・赤坂の会場からライブ配信したNTTコミュニケーションズの共創プロジェクトを紹介するセッション「ロボット活用による完全無人化次世代データセンタの創出に向けた共創の取り組みについて」のレポートをお届けする。
データセンターの無人化を目指し、共創パートナー6社とPoCを実施
NTTコミュニケーションズ(以下、NTTCom)では、同社のサービス/アセットと、社外のパートナーのサービス/技術をかけ合わせて、新規事業の創出を狙うオープンイノベーションプログラム「ExTorch」を2019年から実施している。2021年度の第2期では5つのプロジェクトが立ち上がり、そのひとつが「完全無人化された次世代データセンターの創出」プロジェクトだ。
近年、データセンターは増え続けており、メンテナンスコストの増大とメンテナンス人材の不足が課題だ。一般的なデータセンターの年間運用コストは1拠点当たり6億円。そのうち45%が人件費。さらに人件費の約55%は手動による設備巡回が占めており、この部分をロボットに置き換えるだけでも大きなコスト削減が見込める。
プロジェクトでは、データセンターの運用業務の効率化・省力化を目指し、6社の共創パートナーとの協業でPoCに取り組んでいる。共創パートナーは、ロボット/ソリューション/ソフトウェアの3グループに分けられ、ロボットパートナーは、THK株式会社、東京通信機工業株式会社、RobiZyの3社。THKはサービスロボット、東京通信機工業はレール型ロボットカメラを提供。RobiZyは、アドバイザリーパートナーとしてロボットメーカーの紹介やプロジェクトの支援を担当。
ソリューションパートナーは、タキゲン製造株式会社とリョービ株式会社の2社がラックやドアの自動開閉システムを提供。ソフトウェアパートナーには、NECが顔認証ソフトウェアを提供、というのが現在の体制だ。
検証フィールドには、NTTComの所有するデータセンター内の共創スペース「Nexcenter Lab」を使用。実際のデータセンター内の一部をPoC環境として提供しており、パートナー企業は、新しいサービスや技術の開発にNTTComの高速ネットワークやクラウドサービスを安価に利用できる。
入館受付・アテンド、サーバーの設備点検をロボットが代行
PoCでは、実際のデータセンター運用業務のうち、特に稼働のかかる点検業務とお客様受付・アテンド業務の2つを中心に、Nexcenter Labにロボットを配置して遠隔操作でデータセンター運用業務の代行ができるかどうかの検証を行なった。
セッション会場では、THKのサービスロボットによるアテンドのデモストレーションを実施。
来客者がロボット頭部のディスプレーにタッチすると顔認証受付システムが起動し、事前登録した情報から認証をパスするとアテンド業務に進む仕組みだ。
ロボットはコントローラーを使って遠隔操作が可能で、前後左右への移動、回転、高さの調整、上半身の回転、手の曲げ伸ばし、モノをつかんで持ち運ぶ、といった動作が行なえる。
続いて、データセンター内での設備点検の様子をデモ動画で紹介。
データセンター内のドアにはリョービの自動ドア化システムを設置。サーバルームに入るとタキゲン製造の開発した自動開閉システムにロボットから信号を送り、ラックの扉を開く。ロボットのカメラ映像を見ながら遠隔で接続状態などを点検し、作業が終わると再び信号を送って扉を閉じる。
東京通信機工業のレール式カメラを使った点検では、天井に施設されたレールを360度カメラが動き、ラック内や空調設備などの設備を遠隔で確認できる。レールにはRFIタグが貼られており、任意の場所に移動できる仕組みだ。
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