週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

1000W級の大容量&80PLUS PLATINUM取得のハイエンド電源「XPG CYBERCORE」レビュー

2022年03月22日 11時00分更新

文● 鈴木雅暢 編集● ASCII
提供: エイデータテクノロジージャパン

 ADATAのゲーミングブランド「XPG」から、ハイエンドシステム向けの電源ユニット「XPG CYBERCORE」が登場した。80PLUS PLATINUM対応の高変換効率、人気の高品質ファン「VENTO PRO 120 PWM」を採用した静音性などが特徴で、出力容量1000W/1300Wの2モデルがラインアップされている。今回は1000Wモデルを入手したので早速レビューしよう。

XPG CYBERCOREは、XPGブランドから登場したハイエンドシステム向けの電源ユニット。1000Wと1300Wの2タイプがある

Amazon.co.jpへのリンク(XPG CYBERCORE 1000Wモデル)
Amazon.co.jpへのリンク(XPG CYBERCORE 1300Wモデル)

省エネで環境にも優しい80PLUS Platinumの高効率/高力率

 XPG CYBERCOREの特徴の1つが、80PLUS Platinum認証取得の裏づけがある高変換効率と高力率だ。80PLUSは変換効率の客観的な指標で、最上位のTitaniumから無印(Standard)まで6段階のグレードがあり、上位に行くほど変換効率が優れていることを示す。XPG CYBERCOREは、上位から2番目のPlatinum認証を取得していて、最大で92%以上の効率で変換することができる。

80PLUSの仕様(115V、非冗長電源)。認証を取得するには、10%、20%、50%、80%それぞれの負荷率時の変換効率と力率の要件をクリアする必要がある

 変換効率が高いということは電源自体の消費電力と発熱が低いことに直結し、静音化もしやすくなるというメリットがある。本製品は低負荷時はファンを止めるセミファンレス仕様だが、それを実現できるのも変換効率が高いからこそだろう。

 なお、80PLUSでは変換効率とともに「力率(Power Factor)」の規定もあり、Platinumでは「0.95以上(1が最良)」であることが定められているが、本製品は「0.99以上」と最高に近い仕様だ。

 力率は、交流の皮相電力に対する有効電力の割合。交流の場合、電流と電圧の位相に時間のズレが生じやすく、単純に「電力=電流×電圧」とはならず、消費されない無駄な電力が生じる。この無駄な電力は消費されずに回路(家庭の外)へ戻っていくため、PCの消費電力には見える形では影響しないが、発電所/送電所の負担になり、(家庭/施設全体の)力率によって割増や割引をしている電力会社もある。1000W以上の大出力電源では、高力率のほうが望ましく、0.99と高い力率の本製品は安心して使える。

ハイエンドシステムに対応する強力なスペック

 XPG CYBERCOREの主なスペックは以下の表にまとめた。1000Wの大容量でありながら、奥行きは160mmと比較的コンパクトにまとまっている。必要なケーブルだけを使えるフルモジュラータイプのため、設置スペースは最小限。通常サイズのATXケースであれば、問題なく搭載できるだろう。

消費電力と動作音 XPG CYBERCORE 1000W XPG CORE REACTOR 750W XPG PYLON 750W
80PLUS PLATINUM GOLD BRONZE
ファン VENTO PRO 120PWM 120mm FDB 120mm FDB
ファン速度 0~2150rpm 660~2400rpm 864~2000rpm
ケーブル フルモジュラー フルモジュラー 本体直付け
コネクター ATX 20+4ピン
EPS12V 4+4ピン×2
PCI-Express(6+2ピン)×6
SATA×12
4ピンペリフェラル×4
ATX 20+4ピン
EPS12V 4+4ピン×2
PCI-Express(6+2ピン)×6
SATA×12
4ピンペリフェラル×4
ATX 20+4ピン
EPS12V 4+4ピン
PCI-Express(6+2ピン)×4
SATA×8
4ピンペリフェラル
保護回路 OPP、OCP、OVP、UVP、SCP、OTP、NLO、SIP OPP、OCP、OVP、UVP、SCP、OTP、NLO、SIP OPP、OCP、OVP、UVP、SCP、OTP、NLO、SIP
コンデンサ 100%日本製105度 100%日本製105度 メイン日本製105度
保証期間 10年間 10年間 3年間
サイズ 150×160×86mm 150×140×86mm 150×140×86mm

 ケーブル構成については、1000Wクラスとしては標準的。CPU用8ピン(4+4ピン)ケーブルが2本、グラボ用のPCI-Express(6+2ピン×2)ケーブルが3本と、消費電力の高いCPUとGPUを搭載したハイエンドなシステムにも対応できる内容となっている。

出力仕様表。+12V系シングルレールで1000Wの出力が可能だ

CPU用8ピン(4+4ピン)ケーブルが2本、グラボ用のケーブルは3本、SATAケーブルは3本でコネクターは12基

人気の高品質ファン「XPG VENTO PRO 120 PWM」をセミファンレス運用

 冷却ファンに「XPG VENTO PRO 120 PWM」を採用している点も大きな特徴だ。ADATAと日本電産サーボ(Nidec)とのコラボレーションによって共同開発された“プロ仕様”モデルで、独自のファンブレードデザインと高精度デュアルベアリングの採用により、高い静圧と風量、静音性を実現している。

 ファンの回転速度は負荷率に応じて可変する。公開されているファンカーブでは、最大1950rpm(スペック表では2150rpm)。負荷率30%までは0rpm、つまり300Wまではファンが回らない。負荷率60%(600W)までは1000rpm以下の静音運用ができる。

XPGとおなじみNidecのコラボによる「XPG VENTO PRO 120 PWM」を搭載。単体製品としても静かな高性能ファンと評価が高い

ファンの回転速度は負荷率に応じて可変する。負荷率30%までは0rpm、つまり300Wまではファンが回らない

100%日本製105度コンデンサを採用、10年の長期保証

 内部を見てみよう。整流時のPWM制御をICで行なうデジタル変換方式を採用しており、高い変換効率と省スペースを両立させている。制御ICはサイドに建てつけたコントロール基板上に実装されている。PFC回路は、2組のスイッチを使うインターリーブ方式。これにより、0.99以上という高い力率を実現しているわけだ。

内部の様子。ダイオードなどの発熱が高い部品にはしっかりしたヒートシンクが装着されている

交流電流を入力するインレット部分。ノイズをカットするためのコイルやコンデンサが実装されている

力率を改善するためのPFC回路はスイッチを2組使うインタリーブ方式。0.99以上という高い力率を実現している

 電源の品質、寿命に直結する電解コンデンサについては、すべて日本製で、85度品よりも温度耐性が高く長寿命な105度品を採用している。1次側は日本ケミコンの電解コンデンサが、2次側には日本ケミコンのほかにニチコン製の固体電解コンデンサが搭載されていることを確認した。ダイオードなど発熱の高い部品に実装されているヒートシンクもしっかりとした作り。10年間長期保証ができるのも品質に対する自信の表れなのだろう。

コンデンサはすべて日本製の105度品。1次側のコンデンサは、信頼製で定評のある日本ケミコン製の105度品を2本利用している

メインストランスは「E216944-W」を搭載している。よく見かける部品だ

PWM制御をICでデジタル処理することで高変換効率と省スペース性を両立している。デジタル処理用ICはサイドに建てつけられた制御基板上に実装している

+12V系電流から+5V、+3.3V系電流を生成するDC-DCコンバーターには、日本ケミコン製やニチコン製のコンデンサが使われている

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう