楽天シンフォニーは3月1日、スペイン・バルセロナにて開催中のMWC Barcelona 2022にてプレスカンファレンスを開催。楽天シンフォニーのCEOで、先日楽天モバイルのCEOにも就任したタレック・アミン氏が登壇し、「Symworld」などの最新ソリューションについてプレゼンをした。
アミン氏は楽天入社時の2018年を振り返り「なぜ世界中にはいまだに30億人ものひとが、コネクティビティーの恩恵を受けられていないのか。そう考えたのが始まり」と、現在の仮想化ネットワーク構築の原点を説明。
そんなアミン氏も楽天に入社し、事業を進めていくにあたって当初は従来の基地局ベンダーを採用しつつ、仮想化と組み合わせていく構想だったようだが、その方向性を変えたのが楽天のトップの三木谷浩史氏だ。
三木谷氏はプレスカンファレンスにスペシャルゲストとして登壇。アミン氏がなぜ完全仮想化で進める決断をしたのかたずねたところ、予算的に従来のベンダーと仮想化両方やるのは厳しかったとのこと。さらに「自由経済ではない国の設備や機器を使いたくなかった」という。これは中国製のネットワーク機器を指していると思われるが、現在の状況を考えると、判断は正しかったといえる。
さらに三木谷氏は「25年前、私が楽天を始めたときゼロから作り上げた。当時は誰もインターネットからモノを買うなんて信じていなかったが、これが未来につながると信じている。楽天のDNAはチャレンジすること、そして私たちをいかに興奮させられるかということ」と説明した。
楽天モバイルは現在MVNOとMNOを合わせて550万のユーザーを抱える。規模としては国内他キャリアとはいまだ大きな差があり、ニュースでも楽天モバイル事業の赤字にどうしても注目が集まってしまうが、楽天はキャリアとしての事業だけでなく、開発した仮想化ネットワーク技術を海外へと販売する事業にも力を入れている。
楽天シンフォニーはそのための企業で、このプレスカンファレンスでも、アミン氏は同社の完全仮想化ネットワークの利点をアピール。実際に国内でキャリアとして大きな問題なく運用できていることが、海外での高い評価に繋がっているとのこと。
実際、楽天シンフォニーは2021年10月にドイツの新興キャリア1&1とパートナーシップを締結している。さらにMWCの開催に合わせ、アメリカの通信キャリアAT&Tとの協業も発表するなど、海外へ完全仮想化技術を提供するビジネスは順調にすすんでいる。加えて、アメリカのクラウド技術会社ROBIN SYSTEMの完全子会社化も発表しており、今後も海外との結びつきを強固にしてビジネスを進めていくようだ。
プレスカンファレンスでは、楽天シンフォニーのインテリジェント Ops製品戦略・技術セールス 責任者 アンシュル・バット氏が登壇し、同社が採用しているSaaS「Symworld」を公開し説明が行なわれた。
デモンストレーションとして「Symworld」を使って、バルセロナの会場からリアルタイムで東京の基地局を管理する様子を披露。実際の稼働状態などがチェックでき、さらに機能を追加したり、障害が起こればその部分を切り離して、新たな仮想マシンをセットするといった作業が可能となっている。
Symworldには、Twitterの投稿をピックアップする機能も装備しており、Twitter上で楽天モバイルについてのネガティブなコメントがあると、そこからネットワークの解析に活用するといった使い方ができる。また、Symworldには拡張機能をアプリとして追加することもでき、将来的にはアプリストアでサードパーティー製のアプリの販売もできるようにしたいと話していた。
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