クアルコムは2月28日、スペイン・バルセロナで開催中のMWC Barcelona 2022にてプレスカンファレンスを開催。スマートフォン向けプロセッサーの新規発表はなかったものの、新しいオーディオプラットフォームや5Gモデムの「Snapdragon X70 5G Modem-RF System」を発表した。
オーディオプラットフォームは、従来のBluetoothワイヤレスオーディオと最新LE オーディオテクノロジーのデュアルモードに対応したQualcomm S5 Sound Platform(QCC517x) と Qualcomm S3 Sound Platform(QCC307x)のふたつで、S5が上位モデルとなる。
高音質での再生がポイントなっており、クアルコムが昨年発表した「aptX Lossless」に対応。ワイヤレスの通信状況にあわせてビットレートを調整。電波状況が良い場合は、1Mbps以上のビットレートとなり、ロスレスが有効となる。
ただし音楽を送信する側も同じくaptX Lossless対応している必要がある。そのためS5・S3を搭載するか、Snapdragon 8 Gen 1のように機能として対応しているプロセッサーが必要。Snapdragon 8 Gen 1搭載スマートフォンの普及と、ミッドレンジ・エントリークラスのSnapdragonにaptX Lossless機能が搭載されるかどうかが、今後の展開のカギとなりそうだ。
ネットワークは世界初の5G AIプロセッサーを搭載
5Gモデムの新モデル「Snapdragon X70 5G Modem-RF System」は、「5G AI Suite」を搭載した世界初の5G AIプロセッサー。プレゼンに登壇したクアルコム 社長 兼 CEO クリスチアーノ・アーモン氏は「AIを搭載したことで、安定した通信とさらなる高速化が期待できる」と説明。さらにQualcomm 5G Ultra-Low Latency Suite、Qualcomm 5G PowerSave 3.0、4X Sub 6キャリアアグリゲーションといった機能により、通信速度は下り10Gbpsというのは前モデルとかわらないものの、上りは3.5Gbpsでの通信が可能となる。
Wi-Fiについても新しいアナウンスがあり、Wi-Fi7対応製品の「Qualcomm FastConnect 7800」を発表。2022年後半に商用開始を予定している。
Wi-Fi 7の正式な商用運用は2024年頃とみられているが、現在のWi-Fi 6と比較して約2.4倍の30Gbps以上での通信が可能となる規格。アモン氏もQualcomm FastConnect 7800について、「前世代のソリューションと比較して60%高速化される」と説明。さらにレイテンシーも2ms(ミリ/秒)未満と低遅延。高速化と相まって、さらにパフォーマンスが向上しそうだ。
ちなみにFastConnect 7800ではBluetoothの消費電力も半減し、接続機器のバッテリー消費を抑えられる。またSnapdragon Sound Technologyにも対応しているので、ロスレス音質でのストリーミングも可能だ。
プレスカンファレンスにはゲストとしてレノボの上席副部長 兼 インテリジェントデバイス事業本部 事業本部長 ルカ・ロッシ氏も登壇し、同日発表された「ThinkPad X13s」を紹介。ThinkPad X13sは、Snapdragon 8cx Gen 3を搭載している。軽量かつ5Gでの通信にも対応している点をアピールしていた。
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