上位モデル級の電源まわりと高性能なVRMヒートシンクで安定動作
価格は低めでもCPU電源回路は妥協せず!コスパも放熱も優れたAlder Lakeマザーボード、MSI「MAG B660 TOMAHAWK WIFI DDR4」
CPU電源回路は冷却も重要だ。MSIでは大型アルミヒートシンクを採用している。とくにCPUソケット左側のヒートシンクはバックパネルの横まで大きくせり出す構造だ。アルミ製という点でプラスチック製カバーと比べると造形がシンプルになるが、梨地の部分、ヘアライン加工部分を組み合わせ、さらにペイントも加えている。シンプルと言うよりはTOMAHAWKの名のとおり少しミリタリー的な見た目で、ゲーミングという用途にもマッチしているだろう。
CPU電源回路とVRMヒートシンクの性能を、CINEBNECH R23 Multi Coreテスト実行中のログで見てみよう。組み合わせたのはCPUがCore i7-12700K、CPUクーラーはツインタワー型でデュアルファンの空冷タイプだ。サイドフローであることに加え、バラック状態でのテストなのでVRMにはほとんど風が当たらず、主に自然対流での値と捉えていただきたい。EPS12Vは2本とも接続しており、Power Limit設定は4096Wだ。
左端、ほとんど見えないが横軸(カウント)「1」の時点でベンチマークが始まり、CPU使用率(Total CPU Usage)とCPU温度(CPU Package Temperature)が急上昇する。それと比べるとVRM温度(VRM Temperature)は緩やかに上昇していく。この上昇のカーブの緩やかさがポイントになる。MAG B660 TOMAHAWK WIFI DDR4は、10分間のベンチマーク中、終盤の40カウントは54℃±0.5℃でほとんどフラットだ。CPU電源回路の100%負荷時の発熱と、VRMヒートシンクの放熱性能が54℃付近で平衡しているのだろう。
また、ベンチマーク終了直後から速やかに40℃台半ばまで低下する。CPU負荷が抜け、CPU電源回路の発熱が急速に収まり、一方でVRMヒートシンクは放熱を続ける。ベンチマーク前(計測前にもベンチマークを実行し10分のアイドルを設けている)の37.5℃に戻るまでにはある程度の時間を要するが、この挙動を見るかぎりCPU電源回路も効率がよく、VRMヒートシンクも放熱性能に優れていることが分かる。ケースファンを組み合わせた実運用でも効果的にVRM温度を引き下げてくれるだろう。
「排他利用」を減らし、分かりやすく必要十分以上の拡張性
MAG B660 TOMAHAWK WIFI DDR4はATXフォームファクタだ。MAG B660 TOMAHAWK WIFI DDR4の拡張スロットはPCI Express 5.0 x16×1、PCI Express 3.0 x16(4レーン動作)×1、PCI Express 3.0 x1×1とかなり控え目の設定になっている。ATXと言えば拡張性をイメージされるが、Intel B660がZ690と異なるところでCPU−チップセット間のバス幅が半減している点がある。つまりあまり欲張っても、拡張スロットとSerial ATAやM.2が排他利用となる。MAG B660 TOMAHAWK WIFI DDR4はそうした複雑なルールが生じるのを嫌ったのだろう。唯一、排他利用となるのはSerial ATA 3.0の7番ポートとM.2の3番スロットだ。
M.2スロットは3基。最上段の1番スロットはCPUに接続されておりPCI Express 4.0 x4接続が利用可能、2番スロットはチップセット接続だが接続はPCI Express 4.0 x4がサポートされている。3番スロットはチップセット接続でPCI Express 4.0 x2がサポートされている。Serial ATA 3.0は6ポート(5番からスタートする)。5〜8番ポートはチップセット接続。このほかにASMedia「ASM1061」を用いてA、Bポートを追加している。Intel B660はSerial ATA 3.0を4ポートしかサポートしておらず、MAG B660 TOMAHAWK WIFI DDR4では従来のモデルと同じ6ポートとするために追加チップを搭載して対応したわけだ。
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