CGライブは「これから」増えていく!
―― 先ほど配信のお話も出ましたが、CGキャラクターによるライブは、配信や映画館ライブビューイングなどで目にする機会が増えました。これはやはりコロナ禍の影響でしょうか?
原田 「配信」という形での提供が増えたのはコロナ禍の影響もあると思いますが、「CGキャラクターのライブ」が増えたのは、コロナ禍とは関係なかったのではないかと思います。なぜなら、コロナ禍になった時点から作り始めても、すぐには完成しませんから。今出ている作品は、1~2年くらい前から始動していたと思います。
―― なんと。ということは、CGライブが増えたのは、コロナ禍だから声優さんがステージに立てないから仕方なく、じゃなかった……!?
原田 業界の方は『これは新しい大きなビジネスだ』と思っているでしょう。今は、特に男性キャラクターものの勢いが増しています。
―― 確かに私も、男性キャラクターのライブについて「チケットが取れない」話をSNSなどで目にします。むしろコロナ禍によって、CGライブの流行が可視化されたというべきですかね。CGライブ自体はそれこそ「ミクフェス」時代から始まっていますが、ここ数年で一気に増えたのは何故なのでしょう?
原田 まず「配信ならではの良さ」がありますね。先日も人気作のキャラクターCGライブの配信がありましたが、数万人が視聴していました。距離の制限がないので、普段来れない人も観覧できる。それこそ東京ドームが埋まるくらいのお客さんが集められるんです。
また、配信はアーカイブで見られるのもすごく魅力的かなと。1回見たあとにまたじっくり見ることができるから、CGの魅力を知ってもらうことができます。動きや振り付け、衣装や演出といった面を見てくださるお客さんが増えている気がします。
―― CGキャラクターの新しい可能性が見えてきた気がしました。
原田 そして「5G」も見逃せません。私たちもドコモさんの5G配信をお手伝いさせていただきましたがものすごい進化ですよね。また、Meta Quest 2など「VRハードウェア」にも注目が集まっていますので、会社としても業界やクライアントさんの次の動きを予測したうえで準備しています。具体的にはだいたい5年後を想定して動いていますね。
―― 5年先の変化に備えている、と。
原田 たとえば、奥山敬人くんという、うちの男性トップアクターがいるんですが、彼を10年前に育て始めた頃は、まだ歌って踊る系のモーションの需要は女性キャラクター中心だったんです。でも私は『5年後には男性キャラクターのブームが来るだろうな』と考えていました。
―― 10年前の2010年頃と言えば、男性アイドルのスマホゲームが本格的に出てくる前ですね。なぜブームが到来すると判断できたのですか?
原田 その頃は男性声優さんのステージのブームが来ていたので、次は男性キャラクターの番だろうと。そうなれば必然的に男性のモーションが必要になりますから。
また5年前には、『CGモーションの役割はさらに増えるだろう』と判断し、モーションアクターに強い子を育てていました。そして現在、その頃育てていた子たちの代表といえるJakko(ジャッコ)ちゃんは、女性アクターのトップとして『BanG Dream!』の「Roselia」や『D4DJ』の「Happy Around!」、さらにダンス要素を持つ大人気スマホゲーム複数作品でセンターを務めています。
―― 「センター」というのは、ダンスシーンで各キャラクターが中央に位置する際のモーションアクターを担当している、ということですよね。凄い! まさにトップアクターですね。
原田 そして現在は、次世代のモーションアクターを発掘・育成しています。特に男性です。5年前『アイドリッシュセブン』がきっかけで需要が増えましたね。今展開されているCGライブも、お客さんが多いのは男性キャラクターですし。最近はCGライブが女性ファンに受けていて、男性ファンにはゲームが受けているとみています。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります