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「AI技術×ビジネス」で成果を出す!エンジニアが伸びる精鋭AIスタートアップの秘訣に迫る

エンジニアが働きやすい組織と環境

マスクド:エンジニアが働きやすい環境について伺います。コロナ禍におけるフルリモートからオフィスへの出社に切り替える企業も増えていますが、御社としては今後どのような体制を考えていますか。

藤原:以前のような全員がいつもオフィスで働く形には戻らないので、物理的なオフィスとリモートワークの両方のメリットを活かしたオフィスにリニューアルを検討しています。弊社でもコロナ禍により東京から別の地域へ引っ越したり、ワーケーションを行ったり、さまざまな変化がありました。こうした多様な働き方を、積極的に支援します。

 また、副業も業務に支障がなければ申請ベースで許可しています。例えば、大学の博士課程に進みたい社員が、所属したい研究室向けに副業をしています。社内だけでなく外部でも経験も積みたい社員には、副業を認めていきたいと思っています。

マスクド:藤原様も博士号をお持ちですが、強みやメリットなどはございますか?

藤原:一つ目にはAI・機械学習エンジニアとしてはコンピューターサイエンスにおける特定の分野で高い専門性を持っている点です。中心となる柱があれば他分野における技術のキャッチアップもスムーズですし、社内で指導できる立場にもなれます。技術的な知見のおかげで、プロジェクトにおいても非常に高いパフォーマンスを発揮してくれます。

 二つ目は課題発見力や問題解決力が養われることです。とくに博士課程は、自分で研究テーマを見つけて論文を書きながら、課題を見つけて解決して証明する一連の流れを経験できます。クライアントと進めるプロジェクトでも同様のプロセスを踏むので、考え方や仮説の立て方だけでなく失敗した場合にどうやってアプローチし直すかを考えるスキルは、私自身、博士課程で養われました。修士号や博士号を持つ人は、こうした面で高いパフォーマンスを出しやすいという強みがありますね。

 会社としてもアカデミアとの繋がりも重視しており、学会への参加も推奨しています。研究者ではありませんがソリューションデザイナが学会に参加して、研究発表の概要を掴むなどもしています。他にもアカデミアからの技術をビジネスに活かすなど、会社全体として知見を得ることも鍵ですね。

マスクド:最後の質問ですが、今後の組織作りについてどのようにお考えでしょうか。

藤原:経営の立場として、組織を50人、100人と拡大させていくことを目指す上では、OJTの体制をどう整えていくかが重要になると考えています。OJTとして熟練者であるシニアがまだ経験の少ないジュニアを指導して、価値を高める仕組み作りを目指しています。特に機械学習におけるモデル開発は大人数による集団作業ではなく、個々人が責任をもって取り組むという状況になりがちです。これでは作業や知見が閉鎖的になるため、シニアのメンバーがジュニアを指導・支援しながら組織全体の価値を高めていくことが大切です。拡大における歪みを回避しながら、サステナブルな組織作りを推進します。こうしてAIスタートアップとして上位の一角に食い込みたいです。

まとめ

 以前の過熱したAIブームにおける「成功するかどうかはわからないが、とにかく投資しよう」という単発のPoC止まりだった時代は過ぎ去り、ビジネスとして価値が出るかを判断する時代に差し掛かった。その結果として、ビジネスのコアな部分でAIを用いて価値を生み出すことをミッションとするLaboro.AIが、クライアントからのリピートを獲得することも納得できる。研究開発などアカデミックな分野に注力しながら、ビジネスとしてもエンジニアが成果を出せる環境を両立させる同社は、設立から5年経過してもエンジニアからの退職者がいないという。「技術とビジネスプロセスの適切な融合」を掲げ、その実現を目指すLaboro.AIには、さらなる飛躍に期待したい。

著者プロフィール
空前のAIブームに熱狂するIT業界に、突如現れた謎のマスクマン。
現場目線による辛辣かつ鋭い語り口は「イキリデータサイエンティスト」と呼ばれ、独特すぎる地位を確立する。
"自称"AIベンチャーを退職(クビ)後、ネットとリアルにおいてAI・データサイエンスの啓蒙活動を行う。
将来の夢はIT業界の東京スポーツ。
最新書籍「データ分析の大学」が好評発売中!

■関連サイト

株式会社 Laboro.AI

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