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企業の動向を知ることでエンジニアとして自分に合った活躍先が見えてくる

いま企業が求める「一緒に働きたいITエンジニア」とは?【2021年:企業の採用担当者インタビュー企画・第2弾】

2021年09月15日 18時30分更新

 いよいよデジタル庁が始動するなど、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進があらゆる業界や企業において、かつてないレベルで必要とされている2021年。これまでの業務や商習慣をデジタル化させていくという不可逆と言ってもいい流れが進行するなかで、同時に発生する問題が「人材の不足」である。本年ASCII編集部ではIT人材不足という日本社会共通の課題へ注目し、実際問題として企業がどういう人材を欲しているのかを記事として取り上げている。

【連載第1弾はこちら!】“高度IT人材”獲得について企業へ取り組みを尋ねると「日本が求めているこれからのITエンジニア像」が見えてくる

 今回はその第2弾として連載形式で、企業各社のエンジニア職採用担当者へITエンジニア人材の採用について尋ねたインタビューレポートをお届けする。それぞれ異なる特徴や魅力を持つ各社の考えや姿勢を、ITスキルやエンジニア経験を活かした就職・転職を考える方には是非お読みいただき、ご自身に合った企業選びや将来設計に活用いただきたい。

サイボウズ株式会社
自立し、互いに学び合うエンジニアを求めている

 クラウドサービスなどを開発・提供しているサイボウズ。同社の主力製品である「kintone(キントーン)」は、東証一部上場企業の4社に1社が導入している(2021年6月末時点)とのことで、今後はUSやアジア圏など、世界展開を加速させようという段階にあり、エンジニア採用チームの大岡氏によれば、ITエンジニアは「全体的に足りていない状況」なのだそうだ。

サイボウズ株式会社 開発本部 採用チームの大岡純氏

 キャリア採用において大部分のポジションで求めているのは、即戦力レベルのエンジニア人材。いっぽう新卒採用は全体でおよそ30~40名を採用しており、そのうち10~20名をエンジニア職が占めるとのこと。インターンも毎年実施しており、それをきっかけに選考へ参加する人も多いそうだが、プログラミングがまったくの未経験だと厳しいようだ。

 求める人物像について尋ねると、新卒/キャリアいずれでも、ポジションで必要となるスキル以外に「サイボウズの理念への共感が求められる」と大岡氏。その理念とは「チームワークあふれる社会を創る」というものだ。

 サイボウズには「Action5+1」という6つの行動指標がある。これは「公明正大」「理想への共感」「あくなき探求」「知識を増やす」「心を動かす」「不屈の心体」という6項目の内容で、主に社内の人事評価に活用されている指標だが、それを採用活動においても選考基準にしているのだという。面接ではこの6項目に照らし合わせて、志望者のスキルや志望動機を深く掘り下げていくとのこと。また応募されたポジションにスキルフィットして、且つ理念に共感している志望者であれば、入社時の年齢やこれまでの転職回数に制約は設けず選考していることも大岡氏からは挙げられた。加えて、サイボウズにかつて在籍されていた方の出戻りも受け入れているとのことだ。これらはチームワークあふれる社会を創るうえで、多様な個性を重視しているサイボウズのカルチャーを反映している考え方だと言えるだろう。

 サイボウズで働くうえで必要となる考え方やマインドセットについては、同社が大切にしているという「自立」について話題が及んだ。サイボウズではボトムアップの文化があり、自走できるメンバーが多いため、主体的に行動できる人材を求めている。ただ主体的に動けるだけでは、チームワークという観点でバラバラになってしまうかもしれないが、学び合うカルチャーがあることもポイントになる。たとえば社内では誰でも参加できる勉強会や、チームによっては外部にも公開した技術イベントを定期的に行なっているそうで、自立したうえで学び合える姿勢を持つ人材であってほしいとのことだ。

 志望者へのメッセージを尋ねると、大岡氏からは「サイボウズには100人いたら100通りの働きができることが魅力のひとつ。弊社では、個々人で働く場所や時間を選択することが可能な“働き方宣言”という制度がある。仕事のスタイルや家庭事情でパフォーマンスが出る場所は人によって異なるだろうし、業務によっても最適な場所は変わってくる。例えば集中したい時は自宅が良い場合もあれば、誰かと壁打ちしながら着想を形にしていくときにはオフィスがベターな場合もある。自分が一番パフォーマンスを発揮できる働き方で、自立的に働きたい方はぜひ来てほしい。またエンジニアにとって重要な技術研鑽の時間を業務時間内に確保しているチームも弊社には多く、カンファレンスや勉強会の参加費や交通宿泊費、書籍購入代なども会社が負担することでサポートしている。そのような環境で、自立的に自身も学びつつ、学び合える人材を求めている」とコメントが寄せられた。

NECソリューションイノベータ株式会社
キャリア採用を強化、2030年へ向けて新たな価値創造に挑戦するイノベーターを求める

 NECソリューションイノベータはNECグループのシステムインテグレーター。NECグループの社会価値創造をICTで担っており、人びとの暮らしやビジネスをより良く変えるデジタルトランスフォーメーションを推進する企業である。これまでは新卒採用をメインに人材獲得をしてきたが、2020年からキャリア採用を強化したとのこと。

 キャリア採用強化の経緯について担当の金井氏に伺うと、NECソリューションイノベータがこれから目指す姿と果たすべき役割を「NECソリューションイノベータ 2030ビジョン」として打ち出すなど、今後10年を見据えた企業活動を展開するなかで、多様なビジネスを広げていくためのビジネスデザインができる人材が同社において強く求められていることが、その理由のひとつとして挙げられた。社会でさまざまな経験を積んだ人たちを採用して新しいビジネスに携わってもらうことで、ビジネスを拡大していくとともに、既存社員もそれに刺激を受けて活性化していくことが狙いなのだという。

NECソリューションイノベータ株式会社 HR戦略室 主任の金井美玲氏

 選考ではコミュニケーション力と成長意欲の2点を注視。NECソリューションイノベータにおけるエンジニア職は、開発に加え交渉などで顧客と接することが多いため、コミュニケーション力は必須だという。成長意欲については「どう自分自身を成長させたいか」という点を重視しているとのことで、新しいことを吸収するためにセミナーに参加したりコンテストに出たりした経験などは大きな加点になるのだそうだ。入社前にエンジニアとして技術力があるに越したことはないが、ポジションによっては前段の2点があれば、入社後にスキル面のキャッチアップができる環境はあると金井氏は言う。

 キャリア採用で強化している採用ポジションについて尋ねると、特にプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーなど、プロジェクト全体を見られる人材を求めているとのこと。ただ、このポジションにおいてはプロジェクト管理だけでなく、ある程度の技術経験を持っている人材が望ましいのだという。選考ではコミュニケーション力の確認のためにも技術的な部分は面接で確認しており、現時点においてはスキルテストを取り入れていないのだそうだ。

 いっぽう新卒採用は、一概に高い技術を持っていてほしいわけではないが、何か尖った技術を持っていたり、あるいはそうした研究活動などをしたりする人材は評価をしているとのこと。また、配属部署を確約した選考も用意し、特定の技術研究をしている学生が今後もその技術をやっていきたいのなら、その技術を活かせるポジション前提で選考を進めるということも行なっているということだ。

「NECソリューションイノベータは、2030年までに、着実に変わろうとしている。1万3000人の社員という規模で、より高度なSI(システムインテグレーション)によってお客様価値を最大化すること、先進的なICTとイノベーションで新しい価値を創造するために新しいことをやっていこうとしている。この規模で、しかも、ある程度基盤があるうえで、2030年に向けた未来に挑戦ができる企業はそうあるものではないので、これを面白いと思える方はぜひ応募してほしい」と金井氏から志望者へメッセージが寄せられた。

株式会社日立ソリューションズ
洞察力とネットワーキング力を持って顧客との協創関係を築けるSEが必要

 日立ソリューションズは、日立製作所のソフトウェアを製造する開発部隊に起源を持ち、いち早くグローバルに事業を展開した歴史あるシステムインテグレーション企業。人事担当の鵜原氏によると「日立グループのなかでも独立色が強く、技術にプライドを持つという社風がある。また合併や再編を繰り返しており、文化的な背景も含めてさまざまな人がいるため、キャリア採用で入社しても違和感なく働ける雰囲気」の企業なのだそうだ。このキャリア採用について同社では昨年度から採用を強化中なのだという。

株式会社日立ソリューションズ 人事総務本部 人事部 部長の鵜原靖夫氏

 キャリア採用でどのような人材を求めているのかを尋ねると、最近は必ずしも、IT企業でプロジェクトマネージャーやシステム開発の経験がなくても、顧客側の企業で現場に携わっていた経験を活かして「現場の経験とITの組み合わせによって生み出すDX(デジタルトランスフォーメーション)の価値について、理解しているような人物を評価するようになってきた」と鵜原氏は語る。システムインテグレーターとして、顧客の要望どおりに完璧なオーダーメイドをこなせるような「宮大工」的な仕事に価値があった時代は終わりつつあり、現在は、課題の本質を見抜く洞察力やネットワーキング力、人をつなげる力が求められる時代になっており、それも採用基準に反映しているのだそうだ。

 日立ソリューションズにおける「ネットワーキング力」とは、顧客を巻き込んでさまざまな試験的運用を繰り返し、ゼロからビジネスを創り上げることができるような力を意味しているとのこと。顧客に入り込んで信頼関係を築くことは従来のビジネスから引き続き重要ではあるが、さらに求められているのは、単に顧客の信頼を得られれば良いという次元とは異なる「もう少し難しい領域」に取り組み、顧客との協創を通じて価値を創出することができるシステムエンジニア(SE)なのだという。

 いっぽう新卒採用は、情報系・理工系出身者だけに限ると生活者の視点や発想に偏りが出るため、そのほかの理系や文系学部からも多様な人材を受け入れているとのこと。基礎研究を行なうようなポジションは必ずしも多くはないが、技術的に尖ったスキルや経験は当然評価しており、日立ソリューションズを志望する学生に対しては「勉強してきた技術や取り組み続けたい技術があれば、ぜひ選考の場面でアピールしてほしい」と採用担当の張氏は言う。高度な専門性を持ち、希望業務が明確な方であれば、入社前から配属希望部門の社員との交流会などを調整することも可能だとのことだ。

株式会社日立ソリューションズ 人事総務本部 人事部 採用グループ 主任の張シブン氏

 新卒採用で求める人物像を張氏に伺うと「新しい技術がどんどん入れ替わっていくなかで、興味をもって苦にならずにそれを勉強できることは第一条件。また対人バランスも必要だ。優秀なSEは必ず顧客と技術的な話で盛り上がることができる。それは新卒でも同じだと考えている。人と関わるのが好きな人、人と関わることに少なくとも抵抗を持っていない人が求められる。情報系の学部でなくても、ITの話が普通に盛り上がってできれば問題ない」と、日立ソリューションズのSEに必要とされる要素が語られた。

 日立ソリューションズで働くことには3つの魅力があると鵜原氏は言う。1点目は、日立の中核の会社で仕事することを通じて、サステナブルな社会への貢献や日本のITを牽引することができること。2点目は、日立随一の開発力がある企業であり、最先端を含めて技術を身につけたい人にはピッタリの環境であること。3点目は、フットワーク良くトライ&エラーでさまざまなことに挑戦できる会社だということ。顧客との関係構築や協創は基本としつつ「社会を支える基幹的なシステムの事業領域と、新しい社会を創る新規事業の領域のどちらでも挑戦できる環境があることが魅力」ということだ。

株式会社日立システムズ
顧客に寄り添いながら泥臭くデジタライゼーションを推進できる人材が集まる

 日立システムズはシステムの導入から設計・構築、運用、保守、ヘルプデスクまで、ITの全領域をワンストップで提供できることに強みを持っている。なかでも現在はデジタライゼーション事業に注力をしているのだという。

 現状デジタルトランスフォーメーション(DX)を導入するその前段階で立ち止まっている顧客がまだまだ多いなかで、技術導入に課題を持つ顧客へ寄り添い、DXの前段階、整理の段階から共に考え、支援・問題解決をしていくことが、日立システムズにおけるデジタライゼーション事業の特徴。そのために、好奇心をもって顧客の業務を深く理解できる力、顧客の困りごとや希望を汲み取る会話力や傾聴力、それを具現化していく問題解決力、これらを兼ね備えた人材を求めているのだと人事担当の小寺氏は言う。

株式会社日立システムズ 人財戦略部 タレントマネジメントグループ 部長代理の小寺克和氏

 新卒採用は毎年200名規模で行なっており、そのうちおよそ7割はシステムエンジニア(SE)。新卒採用ではスキル面というよりその人の持っている素養の部分を求めており、好奇心や会話力、問題解決力を重視。理系の学生が多いものの、ここ数年は文系の学生からも多くの応募があるそうで、第一線で活躍しているということだ。

 キャリア採用は、事業部によってそれぞれの現場のニーズに応じた人材の獲得が基本。現状はデジタライゼーション事業が注力分野になっているため、現場や顧客の業界をよく知っていて、知見を持っている人材が望ましいとのこと。それにプラスして技術力もあれば理想的だとしつつも「スキル面は入社後から育成していけば身に付けられるものだが、業界の知見は実際に現場で働いていないと分からない」という考えがあるそうだ。しかしそうした日立システムズの採用方針のなかにあっても、セキュリティー分野やデータサイエンティスト、クラウド領域で活躍できるエンジニアスキルを持つ人材についてはニーズが高いのだという。

 採用面接では、旺盛な好奇心やチャレンジ精神、意欲を見極めている。なかでも顧客との会話が大切なので、コミュニケーション力はよく見ているのだという。志望者には自身のこれまでの経験において「周りの人とのコミュニケーションをどのように取り、どう対応してきたのかをしっかりと整理したうえで話せるよう選考に参加してほしい」と小寺氏。それは単に経歴を淡々と述べるだけでなく、なぜそう思ってそうした行動や判断を取ったかまで、理由も含めて自分の思いや相手の思いを深掘りして話せる人物を求めているという背景が理由にあるからだそうだ。

 およそ9000社もの顧客を持つ日立システムズだからこそ、幅広い業界に携われることは同社で働く大きなメリット。また、日立グループ全体での研修制度があるため、充実した教育プログラムでスキルをさらに伸ばしてことも可能。加えて「顧客の業務を改善していくために諦めないという思いを持っている社員が多い。泥臭くはあるが、そういう思いに共感する人材が多く集まっている」と、同社の魅力を小寺氏は語った。

ユニアデックス株式会社
寛容な社風のもとでエンジニアとして市場価値を高められる環境が強み

 ユニアデックスは「ICTインフラトータルサービス企業」を銘打ち、ネットワークインフラを根幹としながら、カスタマーサクセス、つまり顧客の成功をビジネスの基軸に据えて、さまざまな事業を展開する日本ユニシスグループの企業だ。

 人事部の三谷氏へ求める人物像を尋ねたところ「顧客はインフラシステムが欲しいわけではなく、それを使ってビジネスの成功を目指している。そのためにただ納品するのではなく、一歩進んで顧客の成功は何なのかを考えられるエンジニアを採用したいと考えている」とのこと。エンジニアとしての専門領域を持ちつつも、プラスアルファとして顧客の業界や業務内容などに興味を持ってヒアリングできる人材が望ましいのだという。

ユニアデックス株式会社 人事部 部長の三谷一志氏

 中途採用においては「別業界を知っている人材」が魅力的だという。DXビジネス創生本部の鍋谷氏によると、同社は今後の事業展開を見据えていくなかで「同じ未来を想うことから。」という企業メッセージを打ち出しており、顧客目線で寄り添えること・自走できること・チャレンジマインドが高いこと・チームで仕事するうえで相手をリスペクトすることをそれぞれ重要だと考えている。そのうえで直近の未来としては、クラウドインテグレーション(サーバー・ネットワーク)やセキュリティー系のスペシャリスト、AIやIoT関連の開発スキルが必要としている。アジャイル開発やDevOpsなどの手法により開発メンバーと運用メンバーが密接に連携することで、より柔軟かつスピーディーにコア事業であるITアウトソーシングビジネスに繋げていける人材を求めているのだということ。そこから先の未来ではデータサイエンティストやビジネスをデザインするスキル、ソリューションをアーキテクトするスキルのある人材を求めていきたいという、事業パースペクティブとそこで活躍できるエンジニア像が鍋谷氏からは語られた。

ユニアデックス株式会社 DXビジネス創生本部 本部長の鍋谷健氏

 上記に加え従来型ビジネスの部門では、プロジェクトマネージャーを担える人材を中心にエンジニア採用を実施中。どのようなポジションであっても「顧客の課題を解決するためにテクノロジーとしてIT技術を使うのであり、仮説を立てて実証を続けることをトライ&エラーでできるマインドを持っていることが必要」だと鍋谷氏は志望者へ求めるポイントを述べた。

 いっぽう志望者のポテンシャルを重要視する新卒採用について担当の前田氏は「変化の激しい時代に柔軟に対応でき、かつ自分自身の芯をしっかり持ちながら、その状況を楽しめるような人材」を求めているとコメント。加えて、チームで働くことや顧客目線で働くことの大切さがベースにあるマインドを持っているかを選考では注視しているのだという。

ユニアデックス株式会社 人事部人事室 採用担当の前田北穂氏

 ユニアデックスの新卒採用では多様性を持った採用を実施しているとのこと。現状は文理や学部学科を問わずさまざまなバックグラウンドを持った方が入社されていて、文系は営業職/理系はSE職などと決めるのではなく、経験を積みながら数年後にはマーケティングやコンサルティングを担当できるようになるなど、さまざまなキャリアパスを描くことができるのだそうだ。また「女性に人気が高い企業であることも大きな特長(前田氏)」。働きやすさや労働環境、生活環境なども安心できる取り組みが社内にはあり、実績として女性の採用人数も増加中とのことだ。

 エンジニアとしてユニアデックスで働く魅力は、ネットワークセキュリティーという重要な社会インフラに新たなテクノロジーやコンテンツを加えながら、企画から運用保守まで一気通貫で事業を展開できる企業であること。そしてそのなかで技術的な目利き能力を育むことができるため、仕事を通じて「市場で売れるエンジニア」になっていけることだと鍋谷氏は語る。また「組織として社員それぞれを寛容に受け入れながら活かしていく土壌を創業から変わらず大切にしてきている社風がある。誠実でまじめな人が多い企業だ」と、同社が持っている組織としての特質も三谷氏から併せて述べられた。

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