第43回NEDOピッチ「医療・ヘルステック ver.」レポート
ワクチンだけじゃない 世界を救う医療技術を開発するスタートアップ4社
アルツハイマー病の根本治療を実現する新薬を開発する
アルメッド株式会社
アルツハイマー病の治療薬は、高齢化が進む日本において最も切望されている薬の1つだろう。アルメッド株式会社代表取締役の白尾智明氏は群馬大学医学部卒業時の1985年にドレブリンというたんぱく質を発見するとともに、ドレブリンが記憶を保持する構造をつくっていることを発見した。同社はそのドレブリンを用いてアルツハイマー病の根本治療を実現する新薬の開発を進めている。
アルツハイマー病はその病因(アミロイドβ)はわかっているものの、そのアミロイドβがどのようなメカニズムで記憶障害を引き起こしているのかが分かっておらず、そのために治療薬の開発に失敗している。エーザイ株式会社はADUHELM(アデュカヌマブ)という治療薬を開発したが、これは病気の進行を抑制するモノであり、病気の原因を根治するものではない。
脳における記憶の固定化にはドレブリンが深く関わっている。これは、X線照射によるドレブリン減少が引き起こす記憶障害がドレブリンの正常化に伴って消失することにより確認されている。ドレブリンの脳内量は老化に伴って徐々に減少していくが、アミロイドβの増加によるアルツハイマー病の発症はドレブリンは急激に減少させる。これを正常化させることによってアルツハイマー病による記憶障害の根本的な治療を行う薬の開発をアルメッド社は狙っている。また、ドレブリンの血中排泄量増加から、軽度認知障害を診断する診断薬も開発する予定だ。
既にいくつかの知財は取得済みであり、2023年以降、アルツハイマー病の診断薬や治療薬の開発・販売事業を実現していく計画となっている。まず国内で診断薬の開発・販売を行っているメーカーなどとの協業を模索しており、人類全体の課題であるアルツハイマー病の克服に向けて、将来的な投資に向けた活動も進めていきたいとのことだ。
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