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GeForce RTX 3050 Laptop GPU搭載でアクティブスタイラスペンも付属

16インチ液タブとしての運用も可能なハイスペックビジネス2in1ノート「Summit E16 Flip A11U」レビュー

2021年09月27日 11時00分更新

文● 周防克弥 編集●ASCII
提供: エムエスアイコンピュータージャパン

モバイル用最上位CPUやRTX 30シリーズなど盛りだくさんのスペック

 続いて気になる性能のチェックをするため各種ベントマークテストを行なってみた。まずはスペックの再確認をしておこう。

 CPUはインテルの第11世代Coreプロセッサー「Core i7-1195G7」を搭載している。開発コード名「Tiger Lake」といえば昨年末に「Core i7-1165G7」が登場し、CPU単体での性能はもちろん従来モデルとは比較にならないグラフィック性能をもつことで有名だが、「Core i7-1195G7」はその上位モデルに相当する最新のCPUだ。TDPは28W、4コア8スレッドで動作しベースクロックは2.9GHz、ターボブースト時には最大5.00GHzまで上昇する。

 「Tiger Lake」が発表された2020年9月以降、2021年1月にはTDP35W版の「Core H35」シリーズや、2021年5月にはゲーミングノートやクリエイター向けノート用でTDP45Wの「Tiger Lake-H45」と呼ばれる上位シリーズが出始めている。今回の「Core i7-1195G7」は最初期に登場した「Core i7-1165G7」の系譜である「Tiger Lake UP3」シリーズの最上位CPUで、用途としてはモバイルノートなどの薄型ノート用で低電圧版CPUだ。性能よりもモバイル用に低消費電力を重視した設計ではあるが、その性能は「Core i7-1165G7」で証明されたように、従来の低電圧版CPUとは一線を画する性能をもっているCPUだ。

コードネーム「Tiger Lake-U」、TDP28W、10nmプロセスで設計されているのが確認できる。

CPUに内蔵されたIrisXeグラフィック。プロセッサーの実行ユニットは96基搭載されている。

 ディスクリートGPUにはNVIDIAの「GeForce RTX 3050 Laptop GPU」を搭載。専用のビデオメモリは4GBと、RTX 30シリーズの中ではエントリークラスに位置するGPUだが、フルHD解像度のゲームやMMOPRGなどで遊ぶには十分な性能があるCPUだ。軽めのゲームやクリエイティブ系ソフトでGPUの機能を利用するには十分な性能といえる。3Dゲーム重視ではないクリエイティブ用途向けのPCなら高いコストパフォーマンスと、発熱が低く抑えられるため上位のGPUよりもよほど使い勝手がよい。

GeForce RTX 3050 Laptop GPUが確認できる。専用メモリは4GB搭載されている。

 搭載メモリは32GB、ストレージは1TB SSDを搭載している。CPUにTiger Lakeを搭載しているということはストレージ接続にPCIe4.0接続に対応しているということ。当然ながら「Summit E16 Flip A11U」に搭載されている1TB SSDもPCIe4.0接続になっている。

ストレージがPCIe4.0で接続されているのが確認できる。シーケンシャルリードで約5000MB/s、ライトが約2500MB/sと十分な速度が出ている。シーケンシャルアクセスが早いのがわかるがランダムアクセスにも注目だ。大容量ファイルを一気にコピーするようば場合以外、ソフトの起動やエクスプローラー操作ではランダムアクセスのほうが重要で、こちらも十分すぎるほど早いのがわかる。

 「Summit E16 Flip A11U」には、PCの状態をチェックしたり一元で設定できるソフト「MSI Center PRO」が付属している。このソフトでは、PCのパフォーマンス切り替えやキーボードバックライトの設定、Winキーの無効化などが行なえるが、ベンチマークテストではパフォーマンス設定で一番性能が出ると思われる「ハイパフォーマンス」モードに切り替えて測定した。またWindowsの電源管理でも一番性能が引き出せる「最も高いパフォーマンス」に設定している。

PCの様々な設定を一元で行なえる。ベントマークテストの実行時にはパフォーマンスモードに設定している。

高いCPU性能と専用GPUでクリエイティブ作業に向く

 定番のベントマークテスト「CINEBENCH R23」を実行し、初期起動時の設定になっている10分の連続動作後に測定を行なった。「CINEBENCH R23」はCPUでの3Dレンダリングを行なうソフトで、CPU単体のマルチスレッド時とシングルスレッド時の性能を測ることができる。タスクマネージャーとCore Tempを表示し動作状況と温度の様子をモニタリングしている。

CPUはテスト開始直後から100%の使用率で最大3.90GHz前後までの上昇が確認できた。CPU温度は1部のコアに若干の温度上昇が確認できたが、基本的に問題は無さそうで放熱対策もしっかりしているようだ。

「CINEBENCH R23」のテスト結果。

 マルチで「5905」、シングルで「1527」となかなかのスコアだ。参考までに「Core i7-1165G7」は搭載機によって振れ幅が大きく、4500〜5300くらいになるが1割強スコアが伸びている。モバイルノート用のCPUとしてはかなり良い性能が出ている。

 続いてこちらも定番のベンチマークテスト「PCMark 10」でも測定した。「PCMark 10」は様々なPCの動作状況をエミュレートし総合的な性能をチェックできるベントマークテストだ。

「PCMark 10」のテスト結果。詳細を見ると項目ごとのスコアが確認できるがどの項目も高い。

 総合スコアは「5890」とこのクラスではかなり高いスコアが出た。これはハイエンドノート向けのCPUである、旧世代のCore i7-9750Hを上回り、Core i7-10870Hあたりと肩を並べるスコアでかなり高いと言える。各項目も高いスコアだが「Apps Score」や「Spreadsheet Score」は5桁を超えていて、通常のPC利用なら不満を感じることは無いと思われる。

 GeForce RTX 3050 Laptop GPUはRTXシリーズの中でもエントリーに位置するGPUだが、どれくらい3Dの性能が出るかをみるため「3DMark」の「Time Spy」でも測定した。

「3DMark」の「Type Spy」総合スコア。

 総合スコアで「4230」GPUは「4047」でCPUが「5694」となった。フルHD解像度で軽めのゲームやMMORPGなら余裕で遊べる性能をもっているのが確認できるが、GPU単体の性能としては若干低めだ。薄型筐体に収めているため電力制限を受けている可能性が高く、重い3Dゲームを遊ぶには画質などの調整が必要だろう。しかし、エントリークラスのゲーミングノートPCに多く搭載されているGeForce GTX 1650 Tiよりはワンランク上の性能が出ているので、GTX 1650 Tiではもの足りないと考えている人にはうってつけだ。

あらゆる作業を難なくこなすメイン機にしたい全部入りノートPC

 16型2in1ノートに低電圧版ながらも高性能な最新Core i7に、エントリークラスではあっても重い3Dゲーム以外なら十分な性能をもつRTX 3050 Laptop GPUの組み合わせは、低い消費電力で発熱を抑えることができ、とてもバランスが良い。32GBメモリにPCIe4.0接続の1TB SSDや、DCI-P3相当の高色域モニタ、MIL規格に適合する堅牢性と信頼性など、運用に十分すぎるスペックをもっており、価格は約28万円とそれなりの価格だが、十分な価値があると言えるだろう。ビジネスユーザーだけでなくクリエイティブ用途やモバイル可能な液タブを探している人にもオススメしたいノートPCだ。

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