内閣官房(コロナ室)、内閣府(科技)主催「ニュー・ノーマル・テックピッチ」開催
空飛ぶクルマなど新しい日常を築くテック企業8社
商業施設や観光地、150以上の自治体で導入が進む、「空き状況可視化」サービス
続いて登壇したのは、株式会社バカンの代表取締役 河野剛進氏。同社は「いま空いているか1秒でわかる、優しい世界を作る」をミッションに、店舗の空き状況を可視化するサービスを開発している。
同社が捉える社会課題は、行列や混雑、待ち時間の解消だ。コロナ禍において大きく変わったのは、混雑がリスクという捉え方をされるようになったことだと河野氏は話す。これまでは、おもに商業施設や百貨店、駅、空港などで使われていたが、現在は安心と快適さを両立しながらオペレーションを回すために、自治体や観光地などでも導入が進んでいるという。
同社のサービスは、スマートフォンなどを通じて、今自分がいる周辺の空き状況が把握できたり、空いている席をその場で取り置いたりすることができる。また、施設等の電子看板を通じて、どの店舗が空いているかがすぐにわかるサービスも開発している。
最後に河野氏は、同社のサービスを通じて「ポストコロナを見据えて地域の安心と快適な体験を作るために、日常や観光、災害などにも対応できるサービスを推進していきたい」と話した。
質疑応答では、コメンテーターの渡辺氏から「ビジネスモデル的に誰がお金を払うのか」という質問があった。「いくつかパターンがある。サービスを導入する施設のオーナーや自治体から直接費用をいただくケースがひとつ。また、来店する個人からいただくケースも考えられる。たとえば、これまでカフェの席を予約することはオペレーションの観点からもなかなか難しかった。しかし、座席自体に価値をつけ、予約に対して課金することも無人でリアルタイムに行なえる。その場合は、個人からいただいた収益を施設に還元することもできる」と河野氏は説明した。
「人」と「環境」の両面から感染症対策を行ないクラスターのリスクを最小限に抑える
ピクシーダストテクノロジーズ株式会社(PxDT)は、2017年に落合陽一氏が創業した産学連携のスタートアップ企業。大学や自社R&Dから生み出される研究(要素技術)を社会に存在する課題やニーズに合わせて社会実装する仕組みを作っている。さまざまな事業領域に携わっている同社だが、今回はニューノーマルのテーマに合わせ、感染症対策BCPソリューションサービス「magickiri」について紹介した。
同社は、国内におけるクラスター発生件数に注目。巷で騒がれている飲食店よりも企業の発生件数が多いことに言及した。企業の組織内でクラスターが発生すると、事業継続に大きな影響が生じる。コロナ禍ではまずクラスターを発生させないこと。さらに、陽性者が出ても事業を継続できるようにすることが重要だと、登壇した事業開発ディレクターの奈良崎翔太氏は話す。実際に北海道清水町では、町役場でクラスターが発生し、役場庁舎や文化センターなどを閉鎖する事態に発展した。
そこで同社が開発したのが、感染症対策のソリューションとなるmagickiriだ。環境(Planning)と人(Monitoring)で対策する2つのサービスを提供している。
Planningは、屋内の気流の流れに着目して、感染症の安全性をリスクシミュレーションできるサービス。Monitoringは、専用のデバイスやアプリケーションを使用して、従業員間の濃厚接触者を可視化する。それにより日々の感染予防や、万が一陽性者が出た場合の影響を即座に把握することができるという。「これらのサービスを通じて、事業継続性の確保という観点で、感染症に対して強い社会を実現したい」と奈良崎氏は語った。
本間氏からは、「今回はオフィスでの活用について紹介してもらったが、社会的な課題になっている飲食店やイベント会場などへの展開についても可能性があるのか」というコメントが。奈良崎氏は「実際に群馬県内の20店舗で、感染症対策をさせてもらっている。小規模な店舗から大規模な宿泊施設など幅広く対応しており、オフィス以外にも導入可能だと考えている。また、イベント会場とも今後連携をしながら進めていきたい」と話した。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります