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内閣官房(コロナ室)、内閣府(科技)主催「ニュー・ノーマル・テックピッチ」開催

空飛ぶクルマなど新しい日常を築くテック企業8社

2030年を目標に「空飛ぶクルマ」を開発、2025年大阪万博の目玉へ!

 続いて登壇したのは、株式会社SkyDrive 事業開発担当の羽賀雄介氏。SkyDriveは重量のあるモノを運ぶ役割に特化したドローンや、将来に向けて空を飛行する車の開発を進めるスタートアップ企業だ。

株式会社SkyDrive 事業開発担当 羽賀雄介氏

 冒頭、羽賀氏は空飛ぶクルマとモビリティにおける現状の社会課題に言及。大量輸送手段における満員電車や交通渋滞の弊害は、日本のみならず海外でも重要な問題になっている。また、それを支える巨額なインフラ予算も、昨今の財政余力を考えると限界を迎えていると羽賀氏は分析。さらに、世界共通の課題である地球温暖化も考慮したモビリティが必要だと話す。

現状の社会課題に対応できる新たなモビリティが必要だと羽賀氏は話す

 それらの社会課題に対する打ち手となり、ポストコロナ時代において求められるモビリティとなるのが空飛ぶクルマだという。空飛ぶクルマを通じて、日常的に空を使った移動を提供したいと羽賀氏は話す。

空飛ぶクルマには、オンデマンドやドアtoドアなどさまざまな利便性がある

 ただし、今すぐに車が空を飛び交う社会は想像しにくい。そこで、並行してSkyDriveが取り組んでいるのが、冒頭に話したドローンの活用だ。現行法で利用可能な無人地帯での利用を対象として、本年に30kg程度のモノを運べるドローンをローンチするべく最終準備を進めているという。

現状の対象は無人地帯だが、その先には有人地帯におけるモノの移動がある。空飛ぶクルマが活躍するのはStage2から。最初は、レジャーやエンタテインメントなどで体験し、徐々にエアタクシーなどの概念が登場するという。エアタクシーの実現には、5年10年のスパンがかかると羽賀氏は予測する

2025年に開催予定の大阪万博では、空飛ぶクルマが主要テーマのひとつとして、基本計画に盛り込まれている

 SkyDriveは2030年を目標に、空飛ぶクルマによって誰しもがパーソナルに空を利用できるようになる世界を目指しているという。「まずは、ドローンからしっかり地に足をつけて社会実装を進め、空飛ぶクルマという夢のような未来を実現していきたい」と話してスピーチを締め括った。

自動運転の空飛ぶクルマに乗ってオフィスへ移動するイメージ映像

 コメンテーターの本間氏からは、「空飛ぶクルマにおいてグローバルを見据えたときに、日本の強みや優位性をどのように培っていくのか」と質問があり、羽賀氏は「マルチコプター型と呼ばれるドローンに近い形の空飛ぶクルマであれば、技術の親和性は非常に高い。そういった意味でも無人のドローンから有人の空飛ぶクルマという技術のステップには合理性がある。また、海外についても当然狙っていきたい。経産省や国交相などバックアップをいただいていることもあり、日本のメーカーとしてしっかり国内の製造業を盛り立てていきたい」と答えた。

「テレイグジスタンス(遠隔存在)」技術を活用した遠隔操作ロボットを開発

 Telexistence株式会社は、社名と同じ「テレイグジスタンス(TELEXISTENCE)」という「遠隔存在」と呼ばれる技術を開発している。東京大学名誉教授の「舘 暲(たち すすむ)」氏が1980年に世界で初めて提唱しており、遠隔にいるロボットをもう1人の自分の身体のように操作することで、その場にいなくても自由に活動することができる技術を指す。

Telexistence株式会社 代表取締役CEO 富岡仁氏

実際にロボットを遠隔操作している様子。三次元の映像を見られるVRヘッドマウントディスプレイを装着してネットに接続することで、直接的にロボットを操作することができる

 テレイグジスタンスの技術を活用して、拡張労働基盤というプラットフォームを作ることを目指している。現状のコロナ禍において、知識労働者は技術の恩恵を受けており、Zoom等のオンラインで仕事を継続できている。一方、社会を下支えしている物流や小売り等に携わる労働者の重要性も再認識されているが、どうしても現場へ行かなければならない。そこで、登壇した代表取締役CEOの富岡仁氏は、エッセンシャルワーカーの労働力をネットさえあればどこからでも提供できる労働基盤を構築したいという。

 現在は、おもにオフラインの小売業をターゲットに取り組んでいる。2020年9月には、協業している竹芝にあるローソンの常設店で、実際に遠隔操作ロボットを導入して商品の陳列を行なっている。さらに、2021年10月にはファミリーマートにもアップデートしたロボットを導入予定。最終的にはおよそ5万6000店あるすべてのコンビニに導入したいと富岡氏は話す。

小売業における最も大きな4つのセグメントで合計およそ10万店舗あり、多くの人々が毎日通勤して商品を陳列している。同社の試算によるとその人件費は、年間およそ8000億円になるという

ローソンに導入された遠隔操作ロボットでおにぎりや飲料を商品棚に陳列する様子

 まずは小売業や物流業などの現場で導入を進めているが、最終的には人々の日常生活に近い領域までロボットを持っていき、自律的に動かすことが目標だという。ただし、生活空間は工場などの閉じられた環境とは異なり動的であるため、どのように自律制御をするかが大きな課題だ。そこで重要になるのが遠隔操作だという。「人々が遠隔操作した制御データを機械学習でオートメーション化する。ひと言で言えば、テレイグジスタンスにより人の身体性を拡張し、AIで制御することが、最終的に我々のやりたいこと」と富岡氏は話した。

 コメンテーターの佐藤氏からは質疑応答で、日本と海外の技術者の育成環境の違いについて質問があった。それに対して富岡氏は「我々のような多関節のロボットを自律、遠隔操作で制御する際には、ハードウェアやソフトウェア、機械学習のエンジニアが必要になる。ハードウェアは国内にもいるが、最も不足しているのは、ロボットの各関節の制御データを機械学習させるエンジニアで、日本にはほとんどいない。一番多いのはアメリカで、弊社も6~7割は海外の技術者が携わっている」と話した。

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