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映像部門とキャラクター部門の2部門で、受賞作品が決定

世界中に知ってほしい日本のかっこよさ。クールジャパンコンテスト2020表彰式レポート

2021年07月07日 17時00分更新

キャラクター部門「コスプレ賞」を受賞したocuto69氏によるキャラクターを元にしたコスプレで登壇した、キャラクター部門 審査員のえなこ氏

クールジャパンコンテスト2020、受賞作品が決定

 「クールジャパンコンテスト2020」の表彰式が、7月3日に開催された。

 クールジャパンコンテスト2020は、クールジャパン官民連携プラットフォームが主催するコンテストで、日本の自然や風土、文化などを主に海外に向けて発信することを目的としたもの。

 新型コロナウイルスの影響で、他国への移動が難しい状況が続いており、海外からの日本への観光客を見かける機会も、現在はほとんどない。しかし、日本政策投資銀行と日本交通公社との共同調査によれば、コロナ禍の終息後に「海外旅行へ行きたい」と考える人は多く、同時に、行きたい国の上位には日本がランクインしているのだという。

クールジャパンコンテスト2020公式サイトより

 日本にすでに興味を持っている人にとっては、より深く知るきっかけに。これから日本に興味を持ってくれる可能性のある人には、日本の魅力をコンテンツの力で存分に知ってもらうために。そんな願いが込められたクールジャパンコンテスト2020は、動画部門とキャラクター部門の2部門で実施されたが、受賞作品はいずれも、強い情熱と高いクオリティーが感じられ、日本の“かっこよさ”に溢れたものだった。

 本稿では、表彰式の様子を、審査員のコメントも交えながら紹介する。

工芸、自然、着物に忍者。日本のかっこよさを凝縮した映像が揃った

 まずは動画部門の表彰の様子をお伝えしよう。表彰式は新型コロナウイルスの影響を考慮して、受賞者は全員オンラインでの参加となったほか、一部の審査員もオンラインやビデオメッセージでの参加となった。

新型コロナウイルスの影響に配慮し、受賞者は全員オンラインでの参加。式の模様はYouTubeでも生配信した

 動画部門の審査員は、MATCHA 代表取締役社長の青木 優氏、タイ国内を中心に大規模日本関連の企画・運営を行なっているジーユークリエイティヴ社CEO&Founderのユパレット エトラパカル氏、さまざまなアニメの声優として活躍する平野 綾氏、グッドイートカンパニー取締役の牧野 友衛氏、声優・女優・歌手の松本 梨香氏、XPJP 代表取締役の渡邉 賢一氏が担当した。

 動画部門の最優秀賞を受賞したのは福井県福井市の映像作家である小川 浩之氏による「匠が護る伝統工芸 その技と未来 Artisans preserving traditional crafts, skills, and the future(日本語ver.)」という作品だ。伝統工芸の制作に従事する職人たちの手先や、材料から徐々に工芸品が形作られていく様子を丁寧に描写した作品で、職人たちが話す“日本語”をバックグランドで再生しながら手先にクローズアップするなど、“音”を効果的に使っている点や、制作現場の空気感をリアルに伝える生々しさも印象的だった。

 

 小川 浩之氏は、「2020年の緊急事態宣言の際、幼い頃から楽しみにしていた地元のお祭りが中止になったり、仕事面では撮影ができず、動画素材を購入して動画を制作したりと、当たり前に思っていた日常が全部奪われてしまったと思いました。

 残念そうにしている皆の笑顔を取り戻せるようなメッセージを、動画作品で発信できたらと思ったのが制作のきっかけ。まさか最優秀作品に選ばれるとは思っていなくて、びっくりしています」とコメント。

 また審査員の青木 優氏は小川 浩之氏の作品について、「これまで、色々な時代の荒波を超えて残ってきたのが、伝統工芸などをはじめとする日本の文化。コロナ禍で、まさにいま消えてしまおうとする伝統もあるかもしれません。そんな中で、この映像は『文化のよさ』『地域のよさ』を誇張せずに取り上げている作品だと思いました。実際に行ってみたい、触れてみたいと思わせる映像です」と話した。

 優秀賞はマルチクリエイターの日常【one sense】氏による「COOL JAPAN」とYatsugatake21_4K_Japan氏による「Cool Japan Beautiful Four Seasons Mt.Yatsugatake 4K映像 クールジャパン 美しい日本の四季『八ヶ岳』絶景自然風景」の2作品が受賞。

 COOL JAPANは、富士山や桜、原生林といった日本の豊かな自然と、鹿苑寺金閣や大阪城、東京スカイツリーといった日本のランドマーク、渋谷のスクランブル交差点や大阪の道頓堀のネオン、高層ビル群といった現代の日本を表す風景を、タイムラプスなどの手法を使いながら連続して写す作品。わずか2分30秒の中に、日本を象徴する絵が詰め込まれていて、日本人にとっても日本の美しさを再発見できる作品だと思う。

 

 「近未来と伝統の融合は、日本を表現する面白いポイントのひとつだと思います。作品中ではパチンコや地下鉄といった日本の日常的な風景が、富士山などと並んで出てきますが、それをさまざまな手法でつなぎ合わせているのが面白かった。見ていて爽快感のある、気持ちいい映像だと思います」(審査員・渡邉 賢一氏)

 Cool Japan Beautiful Four Seasons Mt.Yatsugatake 4K映像 クールジャパン 美しい日本の四季「八ヶ岳」絶景自然風景は、ドローンを使って撮影した八ヶ岳の名所の映像をつなぎ合わせ、日本の四季を表現した作品。映像はすべて長野県と山梨県にまたがる八ヶ岳で撮影されたものだという。にも関わらず、「日本」と聞いて思い浮かべる自然の風景が凝縮されたようにも感じられ、とても限定された範囲で撮影されたようには感じられなかった。八ヶ岳という日本を代表する自然の持つ懐の深さに改めて気付かされる映像だ。

 

 「素晴らしい作品を応募していただき、ありがとうございます。『八ヶ岳』とタイトルに入っていますが、すべての映像が半径10km圏内で撮影されたものだと聞いて驚きました。ドローンの映像と静止画の組み合わせで、四季を表現している。八ヶ岳だけでなく、『日本の良い風景』を詰め込んだようにも思えます。私自身も、この作品を見て、いまの状況が落ち着いたら、八ヶ岳に行ってみたいと思いました」(審査員・牧野 友衛氏)

 また奨励賞には、「着物」と「踊り」をテーマとした、るりこ氏(るるる企画)の「Traditional Japanese Dance from Kyoto.(short ver.)」、ドローンによる撮影映像で「忍者」を撮った一旗氏の「NINJA×DRONE DAIJUJI」、品質の高さで知られる「今治タオル」に、「音」という要素から迫ったShiori Saito氏の「世界一やわらかいタオルの音楽【クールジャパン動画コンテスト】#CJ動画2020」の3作品が選出された。

 
 
 

 映像はいずれもYouTubeで全編無料で見られるので、合わせて視聴してほしい。

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