週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

水空両用や水中ドローン、ドローンを使った調査の実例、ソニー製最新ドローン

国内最大級ドローン展示会「Japan Drone 2021」で見た、注目の最新ドローン

2021年06月24日 17時00分更新

新たなジャンル「水中ドローン」にも注目

 水つながりでは、スペースワンのブースに展示されていた中国・深圳のChasing-Innovation Technologyが開発した「CHASING M2」も面白かった。

 産業用ドローンは、数百万円で販売されることも珍しくないが、CHASING M2は31万7900円という実売価格ながら、業務用にも耐え得る頑丈な筐体に4Kカメラを搭載し、一般的なドローンに近い操作感を実現した「水中ドローン」だ。

 CHASING M2の試用機を操作させてもらったが、ドローンを操作したことがあれば、特に練習は要らないほどカンタンで、安定性も非常に高かった。ドローンが、従来は不可能だった調査や撮影を可能にしたように、水中ドローンもまた、環境や費用の面で難しかった水中の調査や撮影を可能にするだろう。まだ、ドローン=空のイメージは根強いが、今後は、水中という新たなフィールドにも広がっていくのかもしれない。

 スペースワンは、水中ドローンにまつわる環境整備や市場の促進を目的とした「一般社団法人日本水中ドローン協会」を2019年に設立しており、水中ドローンというジャンルの促進活動も手がけている。興味がある人は、こちらの活動も合わせてチェックしてほしい。

ドローンの社会実装はいままさに進んでいる

写真中央上部の光る球体がドローンで、モニターに表示されているのが、ドローンのカメラから出力された映像だ

 Japan Drone 2021のテーマでもある「ドローンの社会実装」について深く意識させられたのが、ブルーイノベーションの展示だ。同社は、複数のドローンやロボットを遠隔で制御し、統合管理するためのプラットフォーム「Blue Earth Platform」を軸として、ドローンによるDX化を推進し、事業課題/社会課題の解決を図ることを主事業としている。

 たとえば、廊下全体を占める長いサーバーラックの上段と下段に、それぞれ機器が設置してあり、すべてのインジケーターを可能な限り早くチェックする必要があるといったケースでBlue Earth Platformを導入すると、2台のドローンをそれぞれの高さに合わせて同時に制御し、一元的に管理するといったことが可能になる。

 さまざまなドローンが展示されていた同社のブースだが、中でもスイスFlyability製の球体ドローン「ELIOS2」を活用したソリューションのデモは注目を集めていたように思う。

 ELIOS2は、カーボンファイバー製の細長い棒状のパーツで球形を形作るユニークな形状のドローンだが、コンパクトで狭い場所にも入りやすく、またプロペラ部がカーボンファイバーの檻に守られているので、壁面などへの衝突にも強いという特性がある。

 実際に、同社のソリューションとELIOS2の組み合わせは、東京都下水道局が管理する墨田区内の下水道の点検に活用された実績もある。大規模な下水道管路施設内は、下水道管路システムとしても最重要なものとされており、定期的な点検が不可欠だ。しかし、硫化水素が発生する危険もあり、作業員が入坑しての作業は、時に危険も伴う。

 人が入ることなく、確実に調査できる仕組みを作ることが社会課題となっているが、墨田区の例では、同社のソリューションとELIOS2の組み合わせで、ドローンを活用した点検の有用性が確認できたという。

Flyability製の球体ドローン「ELIOS2」

 「危険が伴う場所で、人にはできないことができる」ことはドローンの大きな価値だが、こうした社会実装の例が増えるほど、ドローンと社会の結びつきは強くなり、やがて私たちの暮らしに無くてはならないものへと変わっていくだろう。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この特集の記事