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NECは普通の会社に戻れた、次は「何の会社なのか」という問いに応えなければならない

2021年05月27日 09時00分更新

今回のことば

「まだまだ途上ではあるが、普通の会社に戻れたと思っている。新たな中期経営計画は、『NECが何の会社なのか?』という問いに、具体的な事業戦略とその結果で答えるものになる」

(NECの森田隆之社長兼CEO)

2025中期経営計画とは

 NECが「2025中期経営計画」を発表した。2021年4月1日付で社長兼CEOに就任した森田隆之氏にとって、この中期経営計画が、自らの経営の羅針盤となる。

 森田社長兼CEOは、5月12日に開いた経営方針説明会において、この内容を公表。さらに、5月21日に開催したユーザー向けオンラインイベント「NEC Business Forum」でも内容の説明に時間を割いた。

 2025中期経営計画では、2025年度の経営目標として、売上収益3兆5000億円(2020年度実績2兆9940億円)、調整後営業利益3000億円(同1782億円)、調整後当期利益1850億円(同1496億円)などの指標を掲げ、調整後営業利益率は8.6%、EBITDAでは年平均成長率9.0%を見込んでいる。

2020年度の実績と2025年度の経営目標の比較

 成長事業として「デジタルガバメント(DG)/デジタルファイナンス(DF)」「グローバル5G」「コアDX」とともに、「次の柱となる成長事業」の4点をあげ、「成長事業は、競争優位獲得強化のために優先的に資源配分を進め、増収増益をけん引。成長事業以外で構成するベース事業は、慎重な事業環境を前提にした上で収益性の改善に軸足を置くことになる」と、メリハリをつけた経営に取り組む姿勢をみせる。

NECの成長モデル

 現在、12.7%に留まる成長事業の構成比率は、2025年度には32.9%にまで拡大。調整後営業利益率も、ベース事業は10.0%に対して、成長事業は12.9%を見込む。

 DG/DFでは、「グローバルトップクラスのバーチカルSaaSベンダーを目指す」と宣言。買収したNorthgate Public Services、KMD、Avaloqの欧州3社が持つDG/DFのアセットと、NECが持つ生体認証技術やAI技術、エンジニアリング力を組み合わせることで差別化を図る。

 森田社長兼CEOは、「中期経営計画の策定にあわせて、NECが考える2030年の社会イメージを具現化したNEC 2030 VISIONを発表し、そのなかで、地球と共生して未来を守るための『環境』への取り組み、個人と社会が調和して、豊かな街を育み、止まらない社会を築く『社会』への取り組み、そこで暮らす人々の健康で平等な環境を支援することで、人に寄り添い、心躍る暮らしを支える『暮らし』を実現することが、NECが描く未来であることを示した」と前置きし、「これらの環境、社会、暮らしの領域で、重要な役割を果たすのが政府、行政である。NECは、その領域において、日本に留まらず、アジアや米州でも重要な役割を果たしてきた。それは、生体認証、セキュリティ、通信などのNECの技術が生きる領域が数多くあったのが一因である。近年ではM&Aを通じて、DGで先行している欧州で事業を拡大している。NECのデジタルID技術との親和性が高いデジタルファイナンスでもR&DやM&Aも進めており、今後もこの分野で大きな貢献ができる」と述べる。

 グローバル5G事業では、「グローバルでのOpen RANのリーディングベンダーのポジションを獲得する」という目標を示し、楽天モバイルとの提携による世界初の完全仮想化クラウドネイティブネットワークを構築したこと、NTTとの資本業務提携により、5Gおよび6Gを見据えた技術的課題の解決に向けた研究開発段階からの協業を開始している取り組みをフェーズ1としながら、「2025年度までに、アプリケーション領域を含む、エンド・トゥ・エンドのケイパビリティをさらに強化することで、軸足をソフトウェア、サービス事業にシフトし、事業の拡大とともに、高収益事業に育てたい」と、これをフェーズ2の取り組みとして事業を加速する姿勢をみせた。

 コアDXでは、「コンサルからデリバリーまで一貫したアプローチで提供価値の拡大」、「ICT共通基盤技術とオファリングの標準化による売上総利益改善と価格戦略の強化」、「クラウド、データセンター、オンプレミスを最適に組み合わせるハイブリッドIT環境の実現」、「新たな事業機会(社会/企業改革)、技術、政策連動、E2Eの実装力を生かしたDX領域の拡大」の4点に取り組むことを示し、「アビームコンサルティングに代表されるコンサルティング力と、AIやセキュリティなどのNECの技術共通基盤を活用し、マイクロソフトやAWSなどのグローバルパートナーと協力することで、日本や社会、産業のDXを支援していく」とした。

 そして、「次の柱となる成長事業の創造」では、量子暗号やレーザー通信などの防衛技術、個人情報保護型データ分析技術など、現在の主流技術を破壊することになるディスラプティブ技術のほか、海外を含む先端顧客や研究機関との協業、dotDataやAI創薬などで培ってきた新事業開発のノウハウを活用し、事業化を進める考えを示し、「次の成長の柱となる事業を創造したい」と意欲をみせた。

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