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NECは普通の会社に戻れた、次は「何の会社なのか」という問いに応えなければならない

2021年05月27日 09時00分更新

2014年のPurposeはNEC再生のための定義だった

 では、なぜ、森田社長兼CEOは、「文化」を重視したのか。

 NECは、2020年度決算で、過去最高の最終黒字を達成した。

 「バブル崩壊やリーマンショック、東日本大震災と続く、厳しい経営環境のなかで、NECは多額の赤字を出し、NECの存在意義を、自ら問いたださざるを得ない状況に追いやられた。そこでマネジメントチームの結論は、NECが持つユニークで、強いテクノロジーによって、安心、安全、公平、効率な価値を創造し、社会に貢献するしかないということであった。2014年に定めたPurposeは、NECを再生するために定義したものである」と、森田社長兼CEOは振り返る。

 Purposeは、当時のマネジメントチームの12人が、数カ月に渡り、毎週のように集まり、議論をして、作りあげたものだという。森田社長兼CEOも、そのメンバーの一人だった。

 そして、7年をかけたNECの復活を支えたのが、顔認証やAI、セキュリティ、5Gといった世界に誇れるテクノロジーや、効率性が高いR&D、社会インフラへの実装力をベースにした「戦略」と、Purposeに賛同した多様で、挑戦する人材によって戦略を実行する「文化」の醸成であった。

 「これまでの中期経営計画の中核は、この部分であった」と、戦略と文化の一体化への取り組みが復活の要因だったことを示す。

 「NECは、まだまだ途上ではあるが、普通の会社に戻れたと思っている」と語る森田社長兼CEOは、「新たな中期経営計画は、『NECが何の会社なのか?』という問いに、具体的な事業戦略とその結果で答えるものになる。それを実現するのが文化であり、文化は人が支える。人を支え、応援する文化の実現に、会社が本気でコミットすることになる」と語る。

 新たな中期経営計画は、森田社長兼CEO自らの過去7年間に渡る成功体験がベースになっており、戦略と文化の一体化をさらに高度化するものになる。

 「NECは、『未来の共感』を創ることを目指す。それを実現するのが、中期経営計画の戦略と、イノベーションの文化である。そこに期待してほしい」と森田社長兼CEO。戦略と文化の一体化が生み出す新たな中期経営計画のゴールがどうなるのかが楽しみだ。

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