ヒートシンク付き、ヒートシンク無しの2モデルから選べる
PCIe 4.0×4対応でリード7400MB/sの最新超高速SSD「XPG GAMMIX S70」シリーズをベンチマーク!
今回紹介する「GAMMIX S70」「GAMMIX S70 BLADE」は、ADATAのゲーミングブランド「XPG」がラインアップするハイエンドSSDだ。ヒートシンク以外は共通の仕様で、PCIe 4.0x4インターフェイスに対応し、シーケンシャルリード7400MB/s、シーケンシャルライト6400MB/sという、現行トップクラスの転送速度を誇る。評価用機材を入手したので性能や発熱を検証していこう。
強力ヒートシンク標準装備のGAMMIX S70
まず、GAMMIX S70は、標準で強力なヒートシンクを搭載した搭載したモデル。階層上に組み上げてエアフローを確保した独自のチャンバーデザインにより、放熱効率を最適化しており、SSDの発熱を最大30%低減しているという。
簡易ヒートシンクが付属するGAMMIX S70 BLADE
一方のGAMMIX S70 BLADEは、ヒートシンクが付属しないモデルだ。厚さ1mmの簡易ヒートシンクが標準で付属しており、装着するかどうかはユーザーが選べる。マザーボードに付属しているヒートシンクを使いたい方やノートPCに換装する場合などにはこちらが適している。
両モデルともそれぞれ1TBと2TBをラインナップ
GAMMIX S70とGAMMIX S70 BLADEの性能面のスペックは共通だ。ともに1TBモデルと2TBモデルをラインナップしており、2TBモデルのほうがシーケンシャルライトやランダム性能が良い。耐久性を示すTBW(総書き込み容量)は2TBモデルで1480TBと耐久性にも優れている。
GAMMIX S70/GAMMIX S70 BLADEの物理仕様
GAMMIX S70 | GAMMIX S70 BLADE | |
---|---|---|
フォームファクター | M.2 Type 2280 | M.2 Type 2280 |
サイズ | 80×22×15mm | 80×22×3.3mm (ヒートシンク装着時の高さ4.3mm) |
重量 | 34g | 7g (ヒートシンク装着時10g) |
ヒートシンク | 標準で装着 | パッケージに同梱 |
容量別の仕様(S70/S70 BLADEでは共通)
1TBモデル | 2TBモデル | |
---|---|---|
インターフェイス | PCIe 4.0x4 | PCIe 4.0x4 |
プロトコル | NVMe 1.4 | NVMe 1.4 |
キャッシュ | DRAM搭載 SLCキャッシュ |
DRAM搭載 SLCキャッシュ |
フラッシュメモリ | 3D NAND | 3D NAND |
シーケンシャルリード | 7400MB/s | 7400MB/s |
シーケンシャルライト | 5500MB/s | 6400MB/s |
4Kランダムリード | 350000 IOPS | 650000 IOPS |
4Kランダムライト | 720000 IOPS | 740000 IOPS |
フラッシュメモリ | 3D NAND | 3D NAND |
TBW | 720TB | 1480TB |
MTBF | 200万時間 | 200万時間 |
保証期間 | 5年間 | 5年間 |
CrystalDiskMarkで性能をチェック リードは7000MB/sオーバー
では、ベンチマークテストで性能をチェックしていこう。テストに利用したのはともに2TBモデルで、環境は別掲のとおり。GAMMIX S70とGAMMIX S70 BLADEは同じスペックだが、確認のために両方計測している。まずは定番のCrystalDiskMark 8.0.1(ひよひよ氏・作)を実施した。
シーケンシャルリードはどちらも約7400MB/s、公称値どおりのスコアが出ている。シーケンシャルライトは約6700MB/sと、公称値の6400MB/sを上回っている。
これらのデータはPCIe 3.0x4の理論データ帯域(約3938MB/s)をはるかに超えており、PCIe 4.0x4対応のSSDならではのスコアだ。それどころか、PCIe 4.0x4の理論データ帯域は約7.88GB/s(約7877MB/s)なので、リードの実効速度で約7400MB/sとなると、早くもPCIe 4.0x4の上限値に近づいているというわけだ。
また、一番下の段のQ1T1ランダム性能にも注目したい。クライアントPCでの作業の多くがQD1のリード/ライトが占めるため、実利用でのレスポンスに一番効きやすい部分だが、リードで72MB/s前後と最新の高性能モデルならではの優秀なスコア。3年前はトップモデルでも50MB/s前後であったので着実に進化していることがわかる。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 5 3500 |
メモリ | XPG SPECTRIX D50 DDR4-3200 16GB(8GB×2) |
マザーボード | MSI MAG B550 TOMAHAWK |
GPU | GIGABYTE GeForce RTX 3060 Ti GAMING OC PRO 8G |
システムSSD | XPG S50 Lite 2TB |
PCケース | XPG INVADER |
電源 | XPG CORE Reactor 750W |
OS | Windows 10 Pro 64bit |
続いてHD Tune Pro 5.75で転送速度をチェック
GAMMIX S70/GAMMIX S70 BLADEともにSLCキャッシュを採用している。SLCキャッシュとは、本来TLCやQLCのNANDフラッシュメモリをSLCモードで動作させて性能(主に書き込み性能)や耐久性を向上させる。SLCキャッシュ領域には空き容量が利用される。
このSLCキャッシュの容量、SLCキャッシュを使い切った後の性能が最近のSSDの素性を見る上で重要なポイントの1つだ。これを計測するテストとしては、大容量データを転送して性能を計測できるHD Tune Pro 5.75のFile Benchmarkが定番なのだが、これをテストサイズ200GBで実施したところ、どちらも最初から最後(200GB)まで公称値に近い性能が出た。つまりSLCキャッシュは少なくとも「200GB以上」ということになる。
ただ、200GBよりも転送サイズを大きくすると、IOエラーが出て計測ができなかった。このIOエラーは他社のSSDでもテストサイズを大きくするとしばしば出ることがあり、不具合というよりは相性によるものと考えられる。
SLCキャッシュ容量超過後も良好な性能を確認
200GB以上のSLCキャッシュがあれば、ほとんどの処理でキャッシュを使い切ることはないと思われるが、これではSSDの素性がわからないので、Windows 10のエクスプローラで約981GBのファイルを転送して、表示される転送速度がどう変わるかを見てみた。内容はデジタルカメラのRAWデータで、フォルダ数79、ファイル数は38729である。
結果としては、最初の300GB程度までは1~1.2GB/s、その後は700MB/s~1GB/sあたりで変動しつつ……といったところだが、800MB/s前後と表示される時間が多かった。つまりは、SLCキャッシュ容量は300GB程度、SLCキャッシュ領域外の転送速度は750~800MB/s。QLC NANDフラッシュメモリではこの速度が出ることはないので、TLC NANDフラッシュメモリ、それもなかなかの高性能なメモリが採用されていることがわかる。
また、コピーにかかった総時間は16分53秒だった。約1TBものデータを16分53秒でコピーできるのはなかなかのものではないだろうか。なお、今回はテスト機材の都合で、転送元のドライブにPCIe 3.0x4のSSDを利用しているためピーク性能は本来のものではなく、PCIe 4.0x4 SSD同士であればもっと早くコピーが可能なはずだが、今回はSLCバッファのおおよその容量とNANDフラッシュメモリの素の性能を知ることが目的なのでご容赦いただきたい。
PCMark 10で性能をチェック
エントリークラスのSSDとは異なる性能がわかった
PCMark 10では、システムドライブのアクセスパターンをシミュレートする「Full System Drive Benchmark」、データドライブ向けのテストである「Data Drive Benchmark」の2種類を実行した。
前者は、OS/Microsoft Office/Adobe Creative Cloud/BattleField Vといったアプリケーションの起動、JPEGイメージやISOファイルのコピーなど、広範なアクセスパターンをトレースする。
後者は多数のJPEGファイルをコピーする内容だ。比較対象がないとピンとこないと思われるので、最近筆者が購入したゲーミングノートPCに搭載されていたエントリークラスのPCIe 3.0x4対応SSD(Kingston OMPCP3512F)のスコアも掲載した。QLC NANDフラッシュメモリを搭載し、CrystalDiskMarkの実測シーケンシャルリード1953MB/s、シーケンシャルライト1026MB/sといった典型的な廉価版SSDだ。
結果は一目瞭然。PCIe/NVMe SSDであっても性能差は歴然、GAMMIX S70/GAMMIX S70 BLADEがエントリークラスのSSDとは大きく違う良い性能を持っていることがわかる。
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