1秒間に165回画面を書き換え、なめらかな映像を表示
さて、最近よく聞くようになったハイリフレッシュレートだが、基本的には60Hz以上のリフレッシュレートを指すと考えればいい。60Hzの液晶ディスプレーでは、1秒間に60回の画面書き換えを行うが、165Hzに対応するM32Q Gaming Monitorでは、165回までの書き換えに対応している。
画面書き換えの回数が増えることのメリットは、まず画面のブレが少なくなり、映像がくっきりなめらかに表示されることだ。パラパラアニメを作ったことがある人なら想像できると思うが、コマ割りの数が増えれば増えるほど、動きはなめらかになり、正確な表現が可能になる。
また表示の遅延も少なくなる。例えばリフレッシュレートが60Hzと120Hzの液晶ディスプレーで比べると、理論的には120Hz対応モデルの方が50ms速く映像が表示される。相手をスコープに捉えたり、トリガーを引いたりするタイミングも当然早くなるし、相手が近づく足先や影の表示も速くなる。165Hzに対応するM32Qなら、遅延によって判断が遅れる可能性はさらに少なくなるわけだ。
ハイリフレッシュレートを活かすには高性能ゲームPCが必要
今回は、Ryzen 9 5900XとGeForce RTX 3070搭載カードを組み合わせたPCを接続して、いくつかのPCゲームをプレイしてみた。ちなみにM32Qが搭載するHDMI端子はHDMI 2.0対応なので、対応するリフレッシュレートは144Hzまでだ。フルスペックの165Hzで利用するためには、DisplayPort 1.2に対応するDisplayPortか、後述するType-Cでの接続が必要となる。
テスト環境 | |
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CPU | AMD「Ryzen 9 5900X」(3.7~4.8GHz) |
マザーボード | ASUS「ROG STRIX B550-F GAMING」(AMD B550、ATX) |
メモリー | CFD販売「W4U3200CM-8GR」(DDR4-3200、8GB×2) |
ビデオカード | GIGABYTE「GV-N3070EAGLE-8GD」(GeForce RTX 3070) |
電源ユニット | Corsair「RM750」(80PLUS GOLD、750W) |
OS | Microsoft「Windows 10 Home」(64bit) |
さらにハイリフレッシュモードで表示するためには、PC側もそれだけのfps(frame per second、一秒間に何フレームを表示できるかの指標)をたたき出せる必要があることにも注意したい。高精細でリッチな映像オプションを有効にすると、せっかくのハイリフレッシュレート対応液晶ディスプレーの強みを台無しにしてしまうこともある。
例えば今回の検証環境では、比較的負荷が軽い「Tom Clancy's Rainbow Six Siege」だと、グラフィックス設定を最高にしても平均フレームレートは340fps。なので問題なくフルスペックで利用できた。しかし重量級の「Watch Dogs: Legion」では、「最高」設定だと平均fpsは68、最低fpsにいたっては36にまで落ち込んでおり、M32Qの本領を発揮できない。
リッチな映像を楽しむならシングルプレイ、勝つことが最大の目的となるマルチプレイのときは表示品質をあえて落として挑むなど、グラフィックス設定を柔軟に変更する必要があるということだ。
さて実際の表示品質だが、IPSパネルを採用していることもあり、色味は鮮やかで視野角はとても広い。上下左右どこから見ても色味の変化は非常に少なかった。またハイリフレッシュレートを有効にした状態でゲームをプレイしてみると、その美しい映像がくっきりと、そしてなめらかに表示される。
一般的な60Hzモードに変更して表示しているときは、画面全体が動いている場面だと微妙な画像のブレやざわつきを生じることがあり、精細さを欠いた映像として感じることがある。しかし165Hzモードで表示しているときはそうしたブレが一切ない、精細なままの映像がヌルヌルと動いていく。
ハイリフレッシュレート対応のM32Qでの映像を見なければ、60Hzでもアラが気になることはないだろう。しかし比較してしまえばその差は歴然だ。遅延も解消されてライバルに一歩先んじることができるとなれば、FPSゲーマーから注目を浴びるのは当然とも言える。
またハイリフレッシュレートは、PCゲーム以外でも有効だ。例えばウェブブラウザーでスクロールする時、60Hzモードではやや文字がぶれて表示されることがある。しかし165Hzモードではそうしたブレを抑えた表示になり、スクロール中でも鮮明な文字を表示できる。
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