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最速Big Navi「Radeon RX 6900 XT」の未知の速さを検証する

2020年12月08日 23時00分更新

Rageモードでは何が変わるのか?

 実ゲームベースの検証はこの程度にしておいて、Radeon RX 6000シリーズに追加された新しいOC「Rageモード」について簡単に検証しておきたい。Rageモードへのアクセスは前掲の通り、Radeon設定から行なう。Radeon設定に当初から備わっていたOC手法と違い、製品保証の範囲内でOCをするというやや変わったOC機能である。

 ここでは前掲のTBP計測時(Time Spy Stress Test10分実行時)に、「HWiNFO」を利用してGPUの温度やクロックなどを追跡した。室温は約25度、バラック組みで測定している。

Time Spy Stress Test実行中におけるGPUクロックの推移。TBP推移グラフとほぼ同じ時間帯の値を切り取ったもの

Time Spy Stress Test実行中におけるGPU温度の推移

Time Spy Stress Test実行中におけるPPT(Package Power Tracing)の推移

 まずGPUのクロックだが、Rageモードを有効にすると定格時よりも50MHz前後高くなることが確認できた。PPTは定格時の安定値(約255W)よりも15W上昇し270Wへ上昇したが、GPU温度は意外にもほとんど変化が見られなかった。Rageモード時で79度前後となったので、高クロック動作による発熱量はそれなりにあるが、極端に熱くなるわけではない。

 ただRageモードの実ゲームでの効果は、一番大きかったもので例外的に5%、ほとんどは1~3%向上のとどまるため、消費電力増加が許容できるなら使っても良いかな、といったところだ。RX 6900 XTの性能を著しく伸ばすのはRageモードよりもSAMである、と考えるべきだろう。

まとめ:インパクトはRX 6800 XTに比べると渋め。最大の敵は入手性と価格

 今回もレビュー用カード入手から解禁まで中3日しかないという厳しい状況でのテストとなったが、RX 6900 XTのラスタライゼーションベースのゲームにおける強さは十分に確認できただろう。10月の発表時点ではSAMとRageモードを利用してなんとかRTX 3090を上回るという(やや悲観的な)予想だったが、いざフタを開けてみればラスタライゼーションベースのゲームではRTX 3090 FEを軽く上回るものもみられ、ハイエンドGPUの分野においても「Radeonの復活」を感じられる製品となった。

 その一方でDXRゲームにおけるパフォーマンスはGeForceに比べるとまだ力不足が感じられるし、DLSSのようなフレームレートを絞り出す機能(FidelityFX Super Resolutionがこれに相当する)の欠落も気になる。ライバルRTX 3090より割安設定になるとはいえ、999ドルのRX 6900 XTは日本ではそれなりの価格設定(筆者予想では14万円前後)になると考えられる。

 最高のRadeonが欲しい人にはお勧めできるが、レイトレーシングを含めた最高のゲーミング環境を求める人のためのGPUとして売り出すにはやや厳しいものがある。RX 6800 XTはリファレンス仕様のカードが10万円切りであること、仮想敵であるRTX 3080 FEに大差を付けたことで大きなインパクトがあったが、RTX 3090が相手だとRX 6900 XTの凄さにそれほど凄みは感じられなくなったのが残念だ。

 VRAM搭載量もRTX 3090に比べると8GB少ないので、大容量のVRAMが必要な人(特にCGや動画編集)にはやや中途半端な印象がある。同じ16GBならより安価なRX 6800 XTがRTX 3090 FEを上回った(こともあった)という点において評価すべきだろう。

 さらに今回検証用にと提供されたドライバーも動作に少し不安定な部分が見られた。良くいえば性能に関してはまだ伸びしろがありそうだ、というややボカした結論にとどめておきたい。

 だが筆者が最も懸念しているのは、今年AMDが投入した新世代CPU/GPUの入手性の悪さだ。Ryzen 5000シリーズの上位モデルはもちろん、RX 6800 XTの入手性の悪さは際だっている。久々に強いAMDでシステムを組めるチャンスだと言うのに、肝心のCPU/GPUの上位モデルが売っていなければ消費者は足踏みをしてしまう。

 RyzenもRadeonも、さらには家庭用ゲーム機のSoCも同じ7nmプロセスで作っているため生産量が絞られるのは分かるが、欲しい時に買えないのは残念でならない。製品のスジは良いのだから、1日も早く改善していただきたいところだ。

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